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【MDOnline】米アップルコンピュータがビデオ編集ソフト『iMovie』をフリーで配付開始

2000年05月01日 00時00分更新

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iMovieのフリー配付を開始、デスクトップビデオがより身近に

AppleはiMac DVだけにバンドルしてたビデオ編集ソフトのiMovieをフリーで配付を始めた。初心者でも手軽に扱えるビデオ編集ソフトとして高い評価を得ていたが、iMac DVでないと使えないという点では多くのユーザが不満を感じていた。有償で別売するという予測もされていたが、フリーで配付というユーザにとってはいちばんうれしい結果となった。FireWire搭載のPowerBook、Power Mac G4が対象機種となっている。つまり、FireWireが最初から組み込まれいる機種向けだ。Mac OS 9.0.4、QuickTime 4.1が動作条件で、メモリは64MB以上となっている。現在、米国のアップルのサイトで、英語版のiMovie 1.0.2がダウンロード可能となっている。サイズは20MB弱だ。また、アメリカとカナダのユーザ向けには、実費程度の費用(米国向けで$19.95)で、CD-ROMの提供も行っている。CD-ROMには、160MBに及ぶチュートリアルが含まれているため、安価であることもあり、CD-ROMを入手する価値はある。

ダウンロードして少し使ってみた。プロジェクト名に日本語文字があると、パネルでの表示が文字化けるが、基本的には日本語システムでも使える。テロップをOsakaフォントにすると、なぜがビットマップフォントの拡大状態になりかなりジャギーなのだが、平成ゴシックなどTrueTypeフォントを使えば、きちんと見られる状態となる。対応機種としては、FireWire標準搭載のものだけになっているが、規約上はどのマシンにインストールしても問題ないものと思われる。Blue & WhiteのPower Macintosh G3にインストールしてみたが、稼動させることはできた。FireWireの拡張カードでの利用が可能なのかは不明だ。FireWireからのビデオのやりとりをスムーズにするために、こうした制約を付けているものと思われる。

ところで、ダウンロードしたiMovieでは、既存のビデオファイルのインポートがメニュー操作ではできなかった。DV圧縮のムービー、DVストリームのムービーもインポートができない。インポートできるのは、静止画とサウンドだけのようだ。しかしながら、既存のムービーを利用する方法もある(有名なチップスだが…)。既存のムービーをQuickTime Playerを使ってDVストリーム型式のファイルに書き出し、そのファイルを、iMovieのプロジェクトフォルダにあるMediaフォルダにコピーしてiMovieを起動する。そうすれば、少しのエラーメッセージが出るが、右側のムービーのライブラリのボックスに、ムービーが登場する。あとは、編集ができるようになる。

iMovieは確かにムービー編集ソフトだが、デジカメで撮影したJPEGファイルを並べて、テロップを付けて、スライドショー的な使い方もでき、それはそれで効果は高いと言えるだろう。もちろん、「DVビデオ」という装置との併用は効果的ではあるが、ソースは動画には限らないツールだと思う。サポートの問題もあるかもしれないが、FireWire搭載機に限定するのはある意味では可能性を狭くするものではないだろうか。だが、MacintoshのラインナップのすべてのマシンにFireWireが搭載されるのはそう遠くない話だとも考えられるため、こうした機種限定の不快さはいずれ解消されると考えられる。
いずれにしても、iMovieのフリー化によって、今後のPower Mac G4、PowerBookにはiMovieが標準で添付されることが十分に予想される。アップルの定義する4つの市場のうち、iBook以外ではiMovieが標準で添付されることになる。iBookもFireWireが搭載されるモデルの出現で、やはり同様にiMovieが付属するだろう。ちょっとオーバーだと自分でも思うが、これは、80年代のHyperCardの再来を予感させる。HyperCardはプログラミングツールで、iMovieはオーサリングツールという違いがあり、用途は異なるが、今後、ビデオ編集によるオリジナル映像作品作成が、Macintoshの世界での大きなトレンドになる可能性に現実味が出てきた。ハードウエアの性能が高くなって初心者でもスムーズにビデオ処理ができる。さらに手軽に使えるソフトウエアの存在が大きな起爆剤になる可能性がある。そして、それはHyperCardと同様、Windowsの世界が追随できないトレンドとなるだろう。Windowsの世界ではコスト競争が激しいため、FireWireが標準搭載となる可能性は低く、「ビデオはオプション」という状況に変化はないと見ることができるからだ。

Get iMovie
http://www.apple.com/imovie/download/
カテゴリー:ビデオ編集

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