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KVHテレコム、光ファイバー利用の企業向け高速通信サービスを7月に開始

2000年04月27日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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米投資信託会社が出資するケーヴィエイチ・テレコム(株)(KVHテレコム)は27日、光ファイバーを利用した企業向け高速通信サービスを7月に開始すると発表した。当初のサービスエリアは通信センターを建設予定の東京都港区内とし、千代田区や中央区などビジネス需要の多い地域にエリアを拡張していく。2001年には大阪でのサービスも予定している。外資系通信事業者の参入障壁は高いとされるが、同社では「競争力ある料金と信頼性の高い回線」を武器にユーザー拡大を目指すという。

サービス概要を発表するKVHテレコム社長の松本洋氏
サービス概要を発表するKVHテレコム社長の松本洋氏



サービスは1.5Mbpsから2.4Gbpsまでの高速専用線サービスのほか、LAN接続(10BASE-T/100BASE-TX)、インターネット接続(1.5~150Mbps)を用意する。将来はデータセンター事業にも参入し、ホスティングやハウジングサービスも手掛ける予定。

6月には港区内に通信センターが完成、7月に一部地域でサービスを開始する。11月には赤坂・六本木と丸の内・大手町・銀座で本格的なサービスをスタート。2001年4月には渋谷・新宿、品川のほか、大阪の中央・北・福島にサービスエリアを拡大するという。その場合のネットワーク総延長は約130kmに及ぶ。

光ファイバーネットワークには、“SONET(Synchronous Optical NETwork:同期光伝送ネットワーク)リング”を採用。中心から外側の各点に回線を伸ばしていく“スター方式”では切断時の復旧に時間がかかるが、同社の方式では各点をリング状に結ぶ。そのためリングのどこかが切断されても逆回りにデータ転送を行なうため、「サービス復旧時間は0.05秒で済む」(同社)という。またリングを二重化して、冗長性を確保しているという。

ファイバー網の整備では、自社で敷設工事を行なうほか、NTTグループのファイバー用トンネルも利用。また大手町・丸の内では丸の内熱供給(株)の冷暖房用値地中管を光ファイバー用トンネルとして利用することで合意しており、敷設コストを抑えることができたという。

KVHテレコムは、米国投資信託最大手のフィデリティインベストメンツ社グループが'99年4月に設立した通信サービス会社。フィデリティグループは欧州にCOLT社、中南米にMetroRED社を設立して通信事業を展開している。資本金は5億円で、フィデリティグループが全額出資。'99年4月に第一種通信事業者の認可を受け、同年秋に港区内で光ファイバー敷設工事を開始している。社長の松本洋氏は日本鋼管(株)(NKK)出身で、同社ワシントン事務所長などを務めた。

KVHテレコム社長の松本洋氏 KVHテレコム社長の松本洋氏



都内で開かれた発表会で、同社社長の松本氏は、「法人向けの高速通信サービスを競争的な価格で提供する。さらに開通までのスピードなど、サービス品質は国際レベルのSLA(Service Level Agreement)により保証する」と述べ、高速で安価なだけでなく信頼性も高いことを強調した。すでに数十社へのサービス提供を見込んでいるという。今後の売上目標は明らかにしなかったが、「欧州のCOLTは設立から6年で黒字化している。インフラ整備費は欧州より抑えることができそうだ」として数年での黒字化を見込んでいる。

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