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EIAJ、光ファイバーによるホームネットワーク研究の成果発表会を開催

2000年04月26日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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(社)日本電子機械工業会(EIAJ)は26日、同会が進めてきたホームネットワーク研究事業の成果発表会を都内の慶應義塾大学で開いた。同会は3月、プラスチック製光ファイバー(POF)とIEEE1394規格を利用し、400Mbpsのデータ伝送速度を保ちながら100m以上の長距離伝送に成功したと発表。この日の発表会では、研究の担当者らが実験成果について解説した。

慶應義塾大学で開かれたEIAJの発表会
慶應義塾大学で開かれたEIAJの発表会



発表会のテーマは“ホームネットワークと情報家電の未来を見つめて!”。EIAJでは、通産省の'99年度委託事業として“住宅分野の情報システム共通基盤整備推進事業”をスタート。POFを利用したホームネットワーク開発などの研究を慶應義塾大学とメーカーとの共同で進めてきた。

EIAJの実験では、GI型POF(広帯域伝送用に開発されたPOF)と半導体レーザーを利用。IEEE1394規格の最高伝送速度である400Mbpsを保ちつつ、100m以上離れた地点へのデータ伝送に成功した。またより安価なマルチレイヤー型POFと発光ダイオードの組み合わせでも、400Mbpsで50mの伝送を確認。従来では200Mbpsで最長50mが限界だったが、今回の実験はこれを伝送速度、距離ともに上回り、現時点での世界記録を達成したという。POFとIEEE1394によるホームネットワーク対応製品は年内にも出荷される予定だ。

慶應義塾大学理工学部教授の小池康博氏 慶應義塾大学理工学部教授の小池康博氏



成果発表会では、研究に当たった慶應義塾大学理工学部教授の小池康博氏が基調講演を行なった。

小池氏は、「石英系の光ファイバーと比べ、POFは伝送ロスが少なく広帯域データ伝送に向いている」などと光ファイバー技術を解説。「POFによるネットワークを利用した、夢のある情報家電について議論を深めていきたい」と述べ、POFがホームネットワークの主役になるとの見通しを示した。

慶應義塾大学環境情報学部教授の村井純氏 慶應義塾大学環境情報学部教授の村井純氏



続いて、同大学環境情報学部教授の村井純氏が、“ホームネットワークに期待されるインターネットの役割”をテーマに基調講演を行なった。

村井氏はまず、「インターネットは新しい経済の基盤だが、どこでも誰でもアクセスできなければ広がりようがない」と指摘。いわゆる“デジタルデバイド”を技術面から解消するものとして、家庭内にインターネットを導入するホームネットワークが重要になるという。

インターネットは端末と端末がネットワークを介して情報をやり取りする“エンドトゥエンド”の方式を採用した点が特徴。ホームネットワークでは、冷蔵庫や洗濯機といった生活家電までもインターネットに接続すると想定されているが、「地球の裏側からでも自宅の洗濯機にアクセスするには、インターネット上のすべての端末にユニークかつグローバルなIPアドレスを割り振る必要がある」と村井氏の自説を改めて強調した。

現在の規格では、携帯端末などネット上のすべての端末にアドレスを割り振ると、アドレスが足りなくなる。そこで村井氏が中心となり、すべての機器にアドレスを割り当てられる次世代IPが“IPv6”だ。今年に入り、米マイクロソフト社や米シスコシステムズ社がIPv6の正式サポートを表明した。村井氏は、「すべての端末にアドレスを割り当てる方向に進んでいくのは間違いない。POFを利用したホームネットワークの普及が、この動きを後押しするだろう」と展望を語った。

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