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企業はIT投資には熱心な一方、セキュリティー意識は低いまま――JUASが企業の情報化実態調査

2000年04月24日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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(社)日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は24日、企業の情報化の実態を調べた結果を発表した。それによると4割の企業が本年度のIT投資関連予算を増やすと回答。2000年問題を無事にやり過ごし、情報インフラ整備に熱心に取り組む企業の姿がうかがわれる。その一方で、セキュリティー対策を予算化していないと答えた企業が6割近くに上った。セキュリティー対策では後手に回っていると指摘される日本企業だが、今回の調査で改めて意識の低さが浮き彫りになった。

調査結果を発表するJUAS常務理事の宮崎和郎氏 調査結果を発表するJUAS常務理事の宮崎和郎氏



調査は“企業情報化実態調査2000年度版”で、JUASが'93年度から取り組んでいる。調査は同社のユーザー企業ら3000社の情報システム部門と利用部門を対象にアンケートを郵送する形式で行なわれ、情報システム部門で519(回答率17.3%)、利用部門で623(同20.9%)の回答を得た。業種は商社や流通関連が16%、電気機器製造業9%、情報処理業が8%など。年間売上が500億円未満、従業員数1000人未満の企業が約6割を占めている。

調査結果によると、2000年度のIT投資予定については、43%の企業が増額すると答え、減らすと答えたのは20%だった。予算の内訳では、およそ半数がネットワークインフラ関連費用を増額する予定で、OAソフトや業務ソフトの購入に充てる費用も3割で増加すると回答しており、企業がネットワーク導入で業務効率化に取り組む様子がうかがわれる。

具体的には、電子メールを業務に利用している企業が93%となり、前年度から12ポイントアップして初めて9割を超えた。またグループウェアの利用は7割に及んでいる。企業のウェブサイトも79%が開設し、従業員1000人以上の企業では93%。JUASでは「企業のホームページは、すでに企業の“名刺”として定着した」と見ている。

ネットワーク対応が着々と進んでいるが、ネットワークにつきもののセキュリティー対策については意識の低さが目立った。セキュリティー費用について、“特に予算化していない”と答えたのは57%で、“すべてシステム予算に含まれる”39%、“すべてシステム予算とは別枠で予算化管理”3%の合計42%を上回っている。

またセキュリティー対策の専任部門や要員を置いていると答えたのは1割に満たず、兼任で人を用意しているのが35%。組織上、特に体制はないとした企業が56%と半数を超えた。JUASではセキュリティー対策の不十分さを指摘しつつ、「2000年問題をきっかけに、経営陣にもセキュリティーの重要性の理解が深まってきている。今後は2000年問題対策に割かれていた予算や人員がそのままセキュリティー対策に振り向けられるのでは」として、来年度以降の改善を期待している。

電子商取引(EC)への取り組みについては、44%の企業がB to B(企業間)取引を行っていると答え、前年度から15ポイントのアップとなった。だが、そのうちインターネット経由の取引は38%にとどまっており、専用線を利用した従来型のEDI(Electronic Data Interchange)がまだ主流となっている。

システム面では、サーバーOSとしてもっとも多く導入されているのはWindows NTで79%。続いてUNIXが11%で、NetWareが6%。Linuxを始めとするフリーUNIXは1%で、サーバー分野での盛り上がりからすると意外な結果。だが導入してみたいOSでは、半数以上がフリーUNIXを挙げており、今後の動向が注目される。

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