このページの本文へ

日本AMD、2次キャッシュをプロセッサーダイ上に統合した『モバイルAMD-K6-III+』と『モバイルAMD-K6-2+』を発表――モバイルK6-III+-500MHzは2万1160円

2000年04月20日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本AMD(株)は20日、2次キャッシュメモリーをプロセッサーコアに統合したモバイル用プロセッサー『モバイルAMD-K6-III+プロセッサ』および『モバイルAMD-K6-2+プロセッサ』を発表した。これらのプロセッサーにはそれぞれ500MHz、475MHz、450MHzバージョンがあり、すでに出荷が開始されている。

256KBの2次キャッシュ搭載の『モバイルAMD-K6-III+プロセッサ』

『モバイルAMD-K6-III+』ロゴ『モバイルAMD-K6-III+』ロゴ



『モバイルAMD-K6-III+プロセッサ』(以下K6-III+)には、動作クロック500MHz(100MHz×5、2万1160円)、同475MHz(95MHz×5、1万8630円)、同450MHz(100MHz×4.5、1万6100円。価格はすべて1000個ロット時)の3種類が用意される。パッケージはSocket7互換の321ピンCPGA(Ceramic Pin Grid Array)で提供される。

従来の『AMD-K6-IIIプロセッサ』、『モバイルAMD-K6-III-Pプロセッサ』と同様、プロセッサーコアと同じダイ上に64KBの1次キャッシュメモリーと256KBの2次キャッシュメモリーを備え、同社が“TriLevel Cache”と呼ぶキャッシュアーキテクチャーにより、外部に最大1MBの3次キャッシュメモリーを追加可能。K6-III+では0.18μmプロセス技術によりテキサス州オースチンのFab25で製造(従来は0.25μm)されているが、コア電圧はK6-III-Pと同じ2.0Vとなっている。

またK6-III+では新たに、バッテリー動作時の消費電力を抑える“PowerNow!テクノロジ”が搭載(後述)されているほか、“3DNow!”命令セットも拡張(後述)されている

なお、今回のK6-III+の投入により、従来のモバイルK6-III-Pは、K6-III+に置き換えられるとしている。

128KBの2次キャッシュを搭載した『モバイルAMD-K6-2+』

『モバイルAMD-K6-2+』ロゴ 『モバイルAMD-K6-2+』ロゴ



『モバイルAMD-K6-2+プロセッサ』(以下K6-2+)には、動作クロック500MHz(100MHz×5、1万2880円)、同475MHz(95MHz×5、1万1270円)、同450MHz(100MHz×4.5、9775円。価格はすべて1000個ロット時)の3種類が用意される。パッケージはSocket7互換の321ピンCPGA(Ceramic Pin Grid Array)で提供される。

従来K6-2では2次キャッシュメモリーは外付けとなっていたが、K6-2+ではK6-III+の半分の容量ながら128KBの2次キャッシュメモリーがプロセッサーと同じダイ上に搭載されている。製造プロセスはK6-III+と同様に0.18μmで、Fab25で製造される。コア電圧もK6-III+と同様2.0Vとなっている。

また、K6-III+で採用された“PowerNow!テクノロジ”の搭載や、“3DNow!”命令セットの拡張も行なわれている。

従来のK6-2-Pプロセッサーについては継続して販売される予定で、AMDのモバイル用プロセッサーのラインアップは、K6-III+、K6-2+、K6-2-Pの3系統となる。

PowerNow!テクノロジ

“PowerNow!テクロノジ”(以下PowerNow!)は、インテルがMobile Pentium IIIの上位製品で搭載している“SpeedStepテクノロジ”に似た技術で、バッテリー動作時に、動作クロックだけでなくコア動作電圧も抑えることで、大幅な消費電力の低減を狙ったもの。“Gemini”というコードネームで開発中であることが知られていた。

PowerNow!では、パフォーマンスを重視し最大周波数、通常電圧で動作する“高性能モード”、消費電力を抑え、低周波数、低電圧で動作する“バッテリ・セーブ・モード”、システムがプロセッサーの使用状況をモニターし、それに応じて動作電圧や動作周波数を変化させる“自動モード”の3つのモードが用意される。このモードはWindowsのコントロールパネルに追加されるユーティリティーによって、ユーザーが任意に変更できるという。

現時点ではコア電圧に何段階の設定があるのかなど詳細は不明だが、通常で2.0Vの動作電圧が、バッテリ・セーブ・モードではコア電圧1.4Vまで下がる。標準アプリケーション動作時のK6-III+/K6-2+の平均消費電力は約12Wで、バッテリ・セーブ・モード時には約3Wにまで下がるとしている。

拡張された3DNow!

AMDはAthlonにおいて、3DNow!命令セットを拡張し、DSP関連命令とストリーミングコントロール関連命令、整数演算命令を追加した“エンハンスト3DNow!”を採用した。今回発表されたK6-III+とK6-2+では、エンハンスト3DNow!で追加された命令のうち、DSP関連命令のみが追加された。これにより、MP3フォーマットのエンコード、ドルビー・デジタルなどのサラウンド処理、ソフトウェアxDSLモデムといったアプリケーションのパフォーマンス向上が図られるという。

命令追加にともなう名称は特に行なわれておらず、リリースでも「3DNow!テクノロジの拡張バージョン」とされている。

AMDのウェブページには、K6-III+-500MHz、K6-2+-500MHzと、Mobile Pentium III-500MHz、Mobile Celeron-500MHzを比較したベンチマークテスト(Ziff-Davis WinBench 99 CPUmark 99)の結果が掲載されている。それによると、K6-III+はMobile Pentium IIIの47.6に対して53.8(約12パーセント)、K6-2+はMobile Celeronの41.9に対して45.4(約8パーセント)といずれも高速という結果となっている。

今回の2種類のプロセッサーの発表は、4月6日に米AMD社のサンダース会長が来日した際に明らかにされたロードマップに沿ったもの。Athlonコアを使ったモバイル製品が登場する今年後半までは、インテルのモバイル製品に、この2製品にK6-2-Pを加えた製品群で対抗していくことになる。

なお、K6-III+とK6-2+はSocket7互換製品であり、デスクトップ用のK6-2およびK6-IIIと差し替えることは物理的には可能だが、AMDでは「コア電圧が異なるほか、K6-2+では2次キャッシュも搭載されているため、BIOSや専用に設計されたのハードウェアがなければパフォーマンスを発揮することはできず、動作は保証しない。またノートPC向けの製品なので、秋葉原などで販売する予定はない」とコメントしている。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン