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キヤノテックがセミナーを開催--3年で全てのビジネスモデルが出尽くしてしまう、緊急戦略会議を開きなさい

2000年04月20日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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キヤノテック(株)は20日と21日の両日、都内のホテルにおいて、“インターネット・トレード・ソリューション・フェア”と“キヤノテック・エンタープライズ・ソリューション・セミナー”を開催している。

本稿では、20日にセミナーの基調講演として行なわれた、多摩大学経営情報学部教授の田坂広志氏の講演“これから日本市場に何が起こるのか--ネット革命が市場にもたらす12の変化”を紹介する。

多摩大学経営情報学部教授の田坂広志氏。(株)東洋経済新報社から講演のタイトルと同名の書籍を出している 多摩大学経営情報学部教授の田坂広志氏。(株)東洋経済新報社から講演のタイトルと同名の書籍を出している



新たなキープレイヤーが出現

田坂教授はまず講演の冒頭で、「講演を聞いて、わかったよで終わるのでは意味がありません。会社に戻ったら、緊急戦略会議を開いていただきたい」と、半分真面目に、半分冗談交じりに言い放った。

「日本の経営者は“インターネット音痴”な人がほとんど。新聞社の社主が輪転機の回し方を知らなくてもいいように、経営者がインターネット音痴でもかまわない。音痴でいいが、インターネットがマーケットをどう変えるのかを見る洞察力は求められます」

「何が起こっているのかというと、アメリカで“バイヤー・セントリック・マーケット”、日本語で言うと顧客中心市場がすごい勢いで生まれてきています。これにより、ビジネスモデルがガラガラと音をたてて組み替えられていて、新しいキープレイヤー“ニューミドルマン”(新中間業者)が生まれてきているのです」と、インターネットが市場に革命を起こし、その結果として新たなキープレイヤーが出現してきているのだと説明した。

神様を味方につけたミドルマン

田坂教授は、「アメリカで4、5年前にいろいろな人に聞いてみると、皆同じ答え“ミドルマン・ウィル・ダイ”(中間業者は死ぬ)と返してきました。メーカーがインターネットで直販し、中抜き現象が起こり、卸業者や小売業者などの中間業者はなくなると見たわけです。しかし、1年半ぐらい前に同じく質問すると今度は“ミドルマン・ネバー・ダイ”(中間業者は死なない)に変わったのです。これは“オールドミドルマン”は死んでいったけれども、ニューミドルマンが出てきたということなのです」と、中間業者が変わったのだと語った。

どう変わったのかというと、「ミドルマンは向く方向を変えたのです。販売代理から購買代理になり、メーカーから消費者のほうへ向くように変わったのです。ドットコム企業のほとんどがこれ。ドットコム企業は成功しますよ。なんといっても神様を味方につけていますから」と、“お客様は神様”のお客のほうを向くニューミドルマンが市場に生まれたのだと解説した。

3年でリーダーが決まる

田坂教授は、「このニューミドルマンが市場のルールを変えてしまう。“ゲートウェイ戦略”が中心になる」のだという。これは、顧客が真っ先に相談に来る場、例えばポータルサイトに立とうという戦略で、“ウイナー・テイクス・オール”のポーカーゲームの始まりだと説明した。

「勝負は3年だと思います。3年後には全ての分野、業種でビジネスモデルが出尽くして、リーダーが決まっているでしょう」と、3年しかないのだからすぐに緊急戦略会議を開きなさいと始めに言ったのだと冒頭の発言の意味を語った。

「大きなトレンドは世界共通だが、詳細は地域、国よって異なります。マーケットは個性的で、それを見据えた上で手を打つべき」と、講演を締めくくった。

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