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ASPは企業情報システムの効率アップを実現する――“ASP World Conference and Expo”が開幕

2000年04月19日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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“ASP World Conference and Expo”が19日、東京ビッグサイトで開幕した。主催は(株)IDGジャパン。期間は21日までの3日間。ASP(Application Service Provider)は各種のアプリケーションをホスティングし、ネットワーク経由でユーザーに提供するもの。会場ではカンファレンスやセミナーを中心に、新ビジネスであるASPの将来性やASPを実現するインフラについて各社がPRを行なった。



ASPは企業の生き残りを左右する切り札

基調講演の中から、慶應義塾大学教授の中島洋氏の講演“ASP革命――21世紀への企業革新”を紹介する。

慶應義塾大学教授の中島洋氏
慶應義塾大学教授の中島洋氏



中島氏はまず、情報インフラが劇的に変化しつつある点を指摘した。米国内のインターネット接続は、主にCATVによって広帯域化が進んでおり、近い将来に日本でも広帯域なインターネット接続が一般的になると見られている。

中島氏は、「“ムーアの法則”に従えば、コンピューターは10年で100倍の性能アップを達成する。だがビル・ジョイ(Bill Joy:米サン・マイクロシステムズ社の共同創立者で、UNIX カリフォルニア大学バージョンのチーフアーキテクト)によれば、ネットワークは10年で1000倍の進歩を遂げるという」とネットワークが加速度的に進歩しつつある点を指摘。「つまりスタンドアローンのコンピューターより、ネットワークを利用したほうが効率がいい。従って、クライアントパソコンにソフトを詰め込むより、ネットワーク上にソフトを置いて使った方がメリットがある」とASPの考え方を解説した。

その上で、「従ってネットワーク優位の時代には、もう一度情報システムを構築し直す必要がある。これが現在のASPをめぐる動きだ」と述べた。

インターネット経済の発展は、企業に徹底した効率化や経営のスピードアップ、事業の集中と選択といった要求を突きつける。だが、「自社のシステムだけでは、経営環境や事業の急激な変化への対応にも限界がある」として。ASPを利用してシステムをアウトソーシングし、コスト削減と効率化、変化への迅速な対応を行なうべきだと提言。「ASPを利用してすぐにでも事業モデルを切り替えないと、企業が21世紀に生き残るのは難しい」と訴えた。

米プラネットイントラ社が日本市場への本格的な参入を表明

会場では、米プラネットイントラ社が記者発表会を開催、日本法人を設立して日本市場に本格的に参入すると発表した。

日本市場参入を発表する米プラネットイントラ社CEOのアラン・マクミラン(Alan McMillan)氏 日本市場参入を発表する米プラネットイントラ社CEOのアラン・マクミラン(Alan McMillan)氏



同社は中小企業向けイントラネット構築ソフトと、ASP向けのセキュリティー管理ソフトが主力製品。米サン・マイクロシステムズ社や米IBMと戦略的パートナー契約を結んでおり、米AT&T社と組んでイントラネットソフトのASPサービスも手掛けている。

日本法人の“日本プラネットイントラ株式会社”は今年1月に設立され、助走期間を経て本格的な活動を開始する。社長にはインターナショナル・ネットワークセキュリティー(株)社長の岩崎進氏が5月1日付で就任する予定。資本金は非公開だが、米本社が100パーセント出資した。日本市場では伊藤忠グループと戦略的パートナー契約を締結しており、伊藤忠グループは米本社に対して50万ドル(約5250万円)を出資しているという。

日本法人社長に就任する岩崎氏は、「日本ではASPが始まったばかりだが、2000年度のASP市場は250億円を超えると言われている。初年度の売上はこの5パーセント程度を目指したい」と意気込んだ。

日本法人社長に就任する岩崎進氏 日本法人社長に就任する岩崎進氏

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