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サン・マイクロシステムズ、“Sun .com Forum”を開催--松井証券の松井社長が“ドットコムビジネスの勝者”として講演

2000年04月18日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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サン・マイクロシステムズ(株)は18日、都内において、“Sun .com Forum”を開催した。このイベントでは、企業のドットコム化の手法や事例などを紹介するセッションを行なった。

午前中に行なわれた2つのセッション、“ドットコム時代”と“ドットコムビジネス、勝者は語る”の2つについて、この記事で紹介する。

ドットコム時代

ドットコム時代と題したセッションでは、ドットコム時代に対応するために何をしなければいけないのかという点に焦点を当てた講演が行なわれた。講演を行なったのは、米サン・マイクロシステムズ社のサン ネットスケープアライアンス、i Planet E-Commerce Solution事業部のCMO(Chief Marketing Officer)のマージ・ブレヤ(Marge Breya)氏。

マージ・ブレヤ氏
マージ・ブレヤ氏



ブレヤ氏はまずドットコムという定義について、「ドットコムとはネット社会に対応したビジネスプロセスに作り変えていくこと」と説明した。

「CD、書籍、株取引といった企業が初期の参入者でした。自分たちもそうなりたいのか、まず考えなくてはなりません。そして、初期の参入者でなければ、大急ぎで作業を行なわなければならないでしょう」

「ドットコム化にもいくつかあります。“クリック&モルタル”と言われるのは、事業の一部をウェブに対応させていくやり方です。ほかに、ビジネスモデルの全てをドットコムで行なう方法があります」と、クリック&モルタルではウェブの事業部が従来の事業と並列な位置に新規に組織されるもので、他方の全てをドットコムで行なう場合は全ての部門がウェブに関わっており、ウェブに焦点を当てた組織になると説明した。

「E*TRADEというのは極めてシンプル。インターネットを介して株取引を行なうというものだが、革命的な取引を提供することになった。ASPサービスの登場により、ASPに対応しない業務用ソフトを開発する会社は将来成り立たなくなるのではないか。また、BtoB取引市場の登場も、従来の取引のやり方がそれによって変わった」と、新たなドットコム企業の出現が新しい手法の登場や、ビジネスプロセスの変革を呼び起こしていると述べた。

講演の最後にブレヤ氏は、米サン・マイクロシステムズの会長兼CEOであるスコット・マクニーリ(Scott Mcnealy)氏の言葉を引用して、「アプリケーションは、ネット対応した形で記述しなさい。スケーラビリティーは武器になります。ネットワークの手段がDSLであるか無線であるかということは将来、何の意味もない。最も重要なものにフォーカスをしぼって、ほかはアウトソーシングしスリムな状態にしなさい」などのアドバイスを行ない、講演を締めくくった。

今起きている革命の大きさを認識しなければならない

続いて、松井証券(株)代表取締役社長の松井道夫氏が、“ドットコムビジネス、勝者は語る”と題した講演を行なった。松井氏は「2、3年もすればだれもインターネットビジネスなんて言葉を言わなくなる。今、電話ビジネスなどと言わないのと同じで当たり前のことになる。そのときに重要なのはインターネットビジネスを行なっているということではなく、本業は何をやっているのかということだ」と説いた。

松井証券の松井道夫社長。開口一番、「タイトルで勝者となっているが、まだ勝者でない」と語った 松井証券の松井道夫社長。開口一番、「タイトルで勝者となっているが、まだ勝者でない」と語った



松井氏は、「証券会社の居心地のいい状態が続くはずがないと思っていたときに、手数料の自由化、IT革命という波がやってきた。お客の求めていないコストをかければ、商売は負けると過去の経験でわかっている。インターネットというのはお客さんが全てを決めるシステムで、私の考えにぴったりくるツールだった」と、同社がインターネット株取引事業に至るまでの流れを解説した。

「現時点で、インターネット株取引に参入している会社が60社ほどあり、60万~70万人の利用者がいると言っているが、そんなにたくさんの人がインターネット取引をしているなんてあり得ない。かなりの利用者が複数に口座を開設している。実数は10数万人というところで、投資家全体の5~6パーセント程度だと思う」と、インターネット株取引の実態について言及した。

「今、起きている革命の大きさを認識しなければならない。手数料自由化前は(松井証券の)売買高が月400億円だった。手数料の自由化、インターネット株取引でそれが月1000億円になった。そしてこれは毎日5パーセントずつ増加して、3月の実績が3000億円になった。これは準大手の証券会社に相当する取り扱い高」と、同社の実績について紹介した。

情報のマーケットができたのだと認識している

松井氏は、「今何が起こっているのかというと、私は情報のマーケットができたのだと考えている。そのマーケットの中では、一番いいものが選択される。2番、3番はない。情報マーケットができたことで、天動説から地動説へ転換が求められている。系列で囲い込むような天動説的手法では成功するはずがない。一つ一つの天体はネットワークで結ばれているということを認識して、事業を行なえばよいではないか」と自論を展開してみせた。

「インターネットの取引では松井証券は半分のシェアを押さえている。完全なガリバーですね」と語るも、インターネット取引が全体のまだ5、6パーセントでしかないがゆえに最初に言ったように勝者ではないのだと説明した。

「2、3年経てば、インターネットビジネスは当たり前のものになる。そのとき大事なのはインターネットビジネスを行なっているかどうかではなく、本業は何をしているのですかということが大事になる。本当の商売をしていなければ、負けるということ」と、ドットコム化することが大事なのではなく、展開する事業が何なのかが大事なのだと講演を締めくくった。

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