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Too、大容量データ伝送『WAM! NET』と低価格プルーフソリューション『ImageAxeas Studio Proof』によるリモートプルーフシステムを発表

2000年04月17日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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(株)Tooは、17日、記者説明会を開催し、プルーフ(色校正)用インクジェットプリンターシステム『ImageAxes Studio Proof(イメージアクセス・スタジオプルーフ)』を発表した。また、ImageAxes Studio Proofが、同社が取次代理店を務める米国の大容量データ伝送サービス『WAM! NET(ワムネット)』のオンラインプルーフソリューション『WAM! PROOF(ワムプルーフ)』におけるプリンターとして推奨された、と発表した。

印刷データは“スニーカーネット”から、ネットワークによる大容量データ伝送へ

印刷、出版、広告の、いわゆるプロフェッショナルのグラフィックアーツ分野において、すでにデジタル化が浸透している。しかし、そこで扱われるデータ容量は非常に大きく、通常のネットワークやインフラで支えられるレベルのものではない。そのため、デザイン事務所から印刷会社へ、といったデータのリレーにはほとんどが“スニーカーネット”(営業マンがMOディスクなどで持ち帰る)か宅配便、バイク便といったものに頼っている。

こうした状況に対して、この数年、大容量のデータ転送を信条とする新手のネットワークサービスが続々と登場している。Tooが扱っている『WAM! NET』もそうしたネットワークサービスの1つだ。

WAM! NETのパープルボックス。上のスニーカーは、“スニーカーはもう必要ない”ということと、スニーカーのように“軽い”を意味する?WAM! NETのパープルボックス。上のスニーカーは、“スニーカーはもう必要ない”ということと、スニーカーのように“軽い”を意味する?



WAM! NETは、欧米において4500サイトを超えるユーザーが利用している実績あるサービス。昨年の英国4-Sight社との合併により、日本で3000サイト、全世界では3万5000サイトを誇る4-Sight iSDN Managerとの通信環境を共有している。
 
米国のグラフィックアーツ業界(印刷、出版、広告)においては、60パーセントから85パーセントのシェアを持っており、印刷大手のR.R.Donneley、出版ではTime Inc,などがヘビーユーザーである。日本では電通、博報堂、大日本印刷、凸版印刷、共同印刷などがテストサイトとなっており、現在では本格稼働に至っている。

ユーザーが扱うデータ容量に合わせたタイプ別サービスを用意

WAM! NETは、UNIXベースのワークステーションを搭載した『パープルボックス』と呼ばれる通信端末にデータをスプールすることで、クライアント側の端末の解放が圧倒的に高速になる。ファイル伝送はこのパープルボックスが行なうことで、クライアントの手離れを大変よくしていることが特徴となっている。
 
また、送受信用ソフト『WAM! NET Transmission Manager』を使うことで簡単に操作できるだけでなく、作業効率も高いものとなる。ジョブチケット(作業指示)の添付機能や、QuarkXPress、Adobe Photoshop、Adobe IllustratorといったDTP向けの汎用アプリケーションのプラグインとして実装できるためだ。

WAM! NETには、最低転送速度が400MBを誇るATM、専用線接続タイプの“Direct !サービス”(月額基本料金16万円から)、ISDN接続の4-Sight乗り入れサービスで50~200MBの転送速度を持つ“On! Rampサービス”(月額基本料金7500円)、インターネットから接続する“Internet Gatewayサービス”(月額基本料金無料)の3つのサービスが用意されている。いずれも送信料金は従量課金制となっている。
 
ちなみにDirect !サービス、On! Rampサービスは、印刷会社などの常にデータ伝送の必要のあるユーザーをターゲットとしている。Internet Gatewayサービスは、デザイン事務所のような数MBクラスのユーザーや、時々データ伝送の必要なユーザーを対象にしているとのことだ。これらのサービスはいずれも5月上旬から開始予定となっている。

低価格インクジェットプリンターで遠隔色校正も現実的レベルに

  最近ではインクジェットプリンターの性能が飛躍的に高くなってきており、安価なプリンターでも驚くほど出力性能が上がっている。もっとも、印刷校正には専用の平台校正機やCTP対応で増えてきているDDCPが主流を占めており、この状況はそう変わるものではない。ところが、WAM! NETのようなデータ伝送が導入されれば、手軽に色校正できることが必要になってくる。しかし、こうした色校正システムではランニングコストも掛かり、頻繁に出力するわけにはいかない。ここで登場するのが、低価格なリモートプルーフシステムだ。

今回、発表された『ImageAxeas Studio Proof』も同様のもの。A3ワイド出力に対応し、専用のPostScript Level 3ソフトウェアRIP『ScriptAxes Studio PS Level3』を搭載した、優れた性能を持つカラーインクジェットプリンターだ。  

ImageAxeas Studio Proof。見た目はただのインクジェットプリンターだが、PS RIPやカラーマッチングソフトを搭載した中身が重要だ
ImageAxeas Studio Proof。見た目はただのインクジェットプリンターだが、PS RIPやカラーマッチングソフトを搭載した中身が重要だ



出力性能としては、6色/4色(オプション)に対応しており、ColorSync/ICCプロファイルを提供するカラーマッチング処理が行なえ、業務用として十分対応できる。さらに本紙校正に近い環境を提供する専用の出力マテリアルとICCプリファイルでサポートされた数種類の推奨紙が用意されている。

また、複数のホットフォルダを設定することで、異なる出力環境を管理し、PS、EPS、PDF、TIFF、JPEGといったまざまなデータフォーマットを直接出力できるので、WAM! NET Transmission Managerなどを利用した自動リモートプルーフに最適と言える。5月中旬に出荷予定で、価格はオープンプライス。同社広報担当の中川かおり氏によれば「市場想定価格は40万円程度」とのことだ。

右よりToo代表取締役社長の石井栄一氏、プロダクトマネージャーの金子栄一氏、Network営業部グループマネージャーの徳永トオル氏
右よりToo代表取締役社長の石井栄一氏、プロダクトマネージャーの金子栄一氏、Network営業部グループマネージャーの徳永トオル氏



本紙校正紙とのサンプルと比較したところ、簡易校正用としては十分な品質であるが、プリンターの個体差がどれだけのレベルか、モニターとのキャリブレーションはどうするのか、といった問題が残される。同社プロダクトマネージャーの金子栄一氏は「プリンタの調整には“キャリブレーションサービス”を実施する予定です」と語る。

いずれにせよ、リモートプルーフと組み合わせることで、数多くあるデータ伝送サービスの中でも、ひと味違った魅力を持ったサービスとなるだろう。

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