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日本電気と三菱電機のディスプレー合弁会社“NMビジュアル”がスタート、初年度の売上目標は2000億円

2000年04月17日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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NEC三菱電機ビジュアルシステムズ(株)は、同社の営業開始にあたり、業務内容についての記者説明会を開催した。同社は日本電気(株)と三菱電機(株)のディスプレーモニター事業を統合した合弁会社で、両社が5億円ずつを出資する。呼称は“NMビジュアル”とし、人員は700名。売上目標は460万台、2000億円で、初年度からの黒字化を見込んでいる。

発表会で挨拶する高山由代表取締役社長。同社の社名が17文字と長いことから、覚えやすい“NMビジュアル”を呼称にしたという
発表会で挨拶する高山由代表取締役社長。同社の社名が17文字と長いことから、覚えやすい“NMビジュアル”を呼称にしたという



NMビジュアルの設立は1月18日で、4月1日から営業を開始している。代表取締役社長には日本電気の高山由専務取締役が、代表取締役副社長には三菱電機の山崎宣典常務取締役が就任した。

副社長の山崎宣典氏。両社から1名ずつ代表取締役を出した格好になる
副社長の山崎宣典氏。両社から1名ずつ代表取締役を出した格好になる



2000年度の出荷台数は460万台を見込んでおり、内訳はCRTが380万台、LCDが80万台。売上高は2000億円の見込みで、CRTが約1100億円、LCDで約900億円を予定している。地域別の売上高構成は、日本が32パーセント、北米が41パーセント、ヨーロッパが25パーセントの予定。7月を目処に、米シカゴと独ミュンヘンに販売会社を設立する。

両社の業務を統合するにあたって約30パーセントの人員削減を実施しており、700名体制で初年度からの黒字化を見込んでいる。開発は湘南事業所、長崎事業所、同京都分室に加え、台湾にも拠点を置く。生産については主に中国とメキシコでローエンド製品の生産を行ない、高付加価値のLCD製品については長崎事業所に加え、NEC長野に生産を委託する。

国内市場ではトップ、5年以内に世界トップ3を目指す

日本市場における'99年度の市場シェアは、日本電気と三菱電機の合計で28.4パーセント。以下はソニー19.8パーセント、飯山電気12.7パーセントと続き、NMビジュアルはその発足当初から、合弁効果によりナンバーワンのシェアを獲得している。

世界市場における販売台数シェアは、台数ベースで2000年には4.6パーセント、2002年には6.2パーセントを見込んでいる('99年度は4.0パーセント)。ディスプレー市場の規模は2000年が約1億台、2002年が1億1740万台で、年8.7パーセントの成長が見込まれている。また、金額ベースでは単価が高いLCDの伸張により16パーセントの成長が予想されており、「チャレンジャブルな市場」(高山社長)だとしている。

同社では、特にミドル・ハイエンドの製品に重点を置く予定。CRTではアパーチャグリル-ナチュラルフラット(AG-NF)モニターによる先行性を持ち、LCDでも先行していることから、市場で優位を保つとしている。同社は三菱電機のDiamondtron、日本電気のMultiSyncという二大ブランドを持ち、自社ブランドの販売に強みを持つ。今後はPCメーカーに対するOEM供給を増やし、現在は32パーセントを占めるバンドル製品の比率を高めていく予定だ。

今後の事業目標としては、5年以内に出荷台数1000万台規模を達成し、世界市場においてトップ3の一画に食い込む。また、2002年から2004年を目処に株式公開も視野に入れるとしている。

「モノ作りの重要性を訴える」--高山社長

都内のホテルで開催された記者発表会において、高山社長はNMビジュアルという呼称について、「生活の中で“ビジュアル”が大事な役割を果たす」と説明し、同社のスローガンを「美しい映像が主役の時代に~NMビジュアル誕生!」と紹介した。同社の目標については、「顧客・生活者が求める“感動・情緒的満足”を満たすディスプレーの開発を目指す」とした。

高山社長は「モニターという名前は嫌い」と発言。この言葉には、ディスプレー・モニターが単なる表示デバイスに留まらず、生活者のエモーショナルな欲求に応えるものという意図が込められていた
高山社長は「モニターという名前は嫌い」と発言。この言葉には、ディスプレー・モニターが単なる表示デバイスに留まらず、生活者のエモーショナルな欲求に応えるものという意図が込められていた



また、ネット関連企業が伸張しているIT業界の現況について、「モノ作りの重要性を訴えていきたい」とし、「ディスプレーなくしてベストソリューションなし」と、自社製品の競争力について自信のほどを覗かせた。

今後のディスプレー市場については、ポストPCやDVDプレーヤーなどの伸張により、需要が大幅に伸びると指摘。また、LCDの割合が2000年の5.1パーセントから2002年には10.4パーセントに達するとし、「ミドル・ハイエンドが伸び、新しい付加価値が求められる」と語った。市場規模についてはテレビと合わせると年2億台を越す市場になるとし、世界トップ3を目指すことで“グローバル・カンパニーを目指す”とした。

高輝度のマルチメディアディスプレーを展示

発表会では、今後の発売を予定する新製品がデモ展示された。“17型マルチメディアCRTディスプレイ”は、従来モデルに対し3倍の高輝度(300cd)を持ち、動画の表示に適しているという。

“17型マルチメディアCRTディスプレイ”は、2001年度の発売を予定
“17型マルチメディアCRTディスプレイ”は、2001年度の発売を予定



“15型マルチメディアLCDディスプレー”は、“高輝度高速対応パネル”を採用。輝度が従来比で30パーセント増の260cdとなっており、応答速度を25ミリ秒と速めたことにより、高速動画への対応を図っている。また、カラーマッチング規格の“sRGB”をサポートしており、高画質へのニーズに応えるとしている。

“15型マルチメディアLCDディスプレー”は、今年秋の発売を予定している
“15型マルチメディアLCDディスプレー”は、今年秋の発売を予定している



“LCDマルチスクリーン”は、複数のディスプレーを平行使用する使用環境の提案モデル。Windowsに搭載されるマルチディスプレー機能を活かし、ウェブブラウザーとワープロソフトなど、異なったソフトをウインドーを切り替えることなく利用するというもの。

2000年秋の発売を予定する“LCDマルチスクリーン”。モニター部が回転し、縦横に自由な配置が可能
2000年秋の発売を予定する“LCDマルチスクリーン”。モニター部が回転し、縦横に自由な配置が可能

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