このページの本文へ

日本オラクル、e-business戦略説明会を開催――Oracle E-Business Suite R11iを9月ごろ発表

2000年04月13日 00時00分更新

文● 若菜麻里

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本オラクル(株)は12日、記者向けにe-business戦略説明会を開催した。同社は3月に開催した“Oracle e-business Days”で、最新のデータベース『Oracle8i R8.1.6』の発表や、最新のERPソフトウェア『Oracle Applications R11i』の紹介などを行なったが、それを踏まえ、今回改めて同社のe-business戦略の全貌が紹介された。

スピードを重視したソリューションを提供

同社常務取締役の吉田明充氏は、同社のe-business戦略の概要を語った。その中で、「e-businessでは、これまでのように企業の組織力の大きさだけでなく、インターネットの進化のスピードにあわせて、すばやい対応ができるかどうかが成功の鍵である」とした。さらに同社の強みは、「社内や対企業、対顧客に向けた全てのe-business向け製品が、インターネットのアーキテクチャーにおいて展開できる唯一のソフトベンダー」であると強調した。

日本オラクル、常務取締役吉田明充氏
日本オラクル、常務取締役吉田明充氏



吉田氏は、「IT業界における第1の波をメインフレーム型集中システムとして、その覇者はIBM、第2の波であるクライアント・サーバー型分散システムの覇者は、マイクロソフトとインテルだ。今は、インターネット型分散・集中システムという第3の波にある。これから10年後に今を振り返ったときに、第3の波では、ネットワークルーターでは、シスコシステムズが、ハードウェアではサン・マイクロシステムズが、そしてソフトウェアではオラクルがNO1だと言えるのがゴール」だとしている。

また、ASP(Application Service Provider)サービスについて言及し、「21世紀のある時点では、顧客はSunのサーバーを買うことはなくなっているだろう。今後、電気、水道、テレビのサービスのように、ASPのサービスが供給される時代がくる。オラクルでは、オープンな電子商取引サイトを提供するマーケットプレイス『Oracle Exchange』などをASPなどで展開していく」と語り、米国でのOracle Exchangeの事例として、米フォードのタイヤのオークションサイト“auto-exchange”などを紹介した。

また家庭向けのインターネット端末『NCTV』については、昨年、新宿の大型ホテルの全室に導入したと報告した。

競合他社との関係については、「ERPベンダーであるSAP、J.D.Edwards、PeopleSoft、BAANのうち、一番のコンペティターはSAPだ。オラクルでは、インターネット対応の製品を揃えているという点で、SAPに比べ優位だ」と、各社の収益データなどを示しながら語った。

米マイクロソフトについては、「SQLServerでは依然としてコンペティター」としながらも、米国では、Linuxの影響により、PCサーバーにおけるWindows NTのシェアは、50~60パーセントに低迷していると指摘し、「オラクルでは、Linuxでのサポートに力を入れていく」と語った。

米IBMについては、「最近のIBMは、SIベンダーとして、ハードベンダーやソフトベンダーと提携を進める方向だ。今後は、オラクル製品をIBMのSI力でインプリしてもらうという関係になっていくだろう」としている。最後に吉田氏は、「オラクルは、ソフトウェアというドメインでNO1を目指す」として講演を締めくくった。

Oracle E-Business Suite R11iを9月ごろ発表

同社マーケティング統括本部アプリケーション製品統括部シニアディレクターの保科実氏は、日本で今年の9月ごろにリリース予定の『Oracle E-Business Suite R11i日本語版』の紹介を中心に、同社のe-business戦略を語った。

日本オラクル、マーケティング統括本部アプリケーション製品統括部シニアディレクター、保科実氏
日本オラクル、マーケティング統括本部アプリケーション製品統括部シニアディレクター、保科実氏



Oracle E-Business Suite R11iは、対企業、対顧客、社内の3つに対する一連の基幹業務の流れをすべてインターネット上で実現するための製品だ。

同製品では、既存ソフト『Oracle Applications』の、カスタマーリレーションシップマネジメントや、人事管理、プロジェクト管理、統合会計、生産管理、サプライチェーンマネジメントそれぞれの機能、特に、SCM、SEM、CRMに関するモジュールが拡張される予定だ。

保科氏は、「ビジネスの現場では、営業が在庫情報を参照したり、売上データを会計情報にリアルタイムにアップデートしたりするために、CRMとERPの統合が必要だ。オラクルでは、それらを統合DBとして提供できる」という。「ミッションクリティカルなシステムで、1つのブラウザーから、ERPやCRMが利用でき、またデータ分析や経営システムにも活用できる、そういったビジネスアプリケーションを実現するために、ポイントtoポイントのインテグレーションではなく、トータルなスイート製品として、R11iを提供する」と、製品の特徴をアピールした。

WebDBとPortal to Goで情報ポータル機能を提供

同社マーケティング統括本部システム製品統括部バイスプレジデントの佐藤聡俊氏は、分散した企業データの集約化および再展開の重要性について語った。また集約したデータの展開をサポートするソフト『WebDB 3.0β』および『Portal to Go』のデモを行なった。なおこのデモは、3月のOracle e-business Daysで披露されたものとほぼ同じ内容だ。

日本オラクル、マーケティング統括本部システム製品統括部バイスプレジデントの佐藤聡俊氏
日本オラクル、マーケティング統括本部システム製品統括部バイスプレジデントの佐藤聡俊氏



佐藤氏は、「情報の価値は断片化が減少するにつれて飛躍的に増大する」という米オラクル会長兼CEOのラリー・エリソン氏の言葉を引用し、ビジネスにおけるデータ統合の必要性を訴えた。また社内だけでなく、パートナー企業や顧客に向けたデータに対しても、連携を図るには、Oracle8i R8.1.6で強化したXMLやJava、セキュリティーの機能などが重要な役割を果たすと強調した。

また社内の人事、経理、営業、製造などのシステムのデータを統合し、集約後に、顧客や従業員、サプライヤーなど、ユーザーに見合った情報をウェブで参照するための方法として、オラクルが提供するのが、WebDBおよびPortal to Goだ。

WebDBは、ユーザーごとに必要な情報や、カスタマイズした画面を提供する情報ポータルだ。例えば、営業担当者向けポータルとしては、企業やマーケティング、セールスの情報、経費精算などが表示される。顧客向けには、企業情報や、サポート情報、オンライン商店、注文状況が、表示されるなど、1つのデータベースシステムから、ユーザーに応じたポータルが、ウェブブラウザーから提供される。

WebDB画面例。ニュースや株価、オークション、スケジュールなど、1つ1つのアプリケーションを“ポートレット”と呼ぶ
WebDB画面例。ニュースや株価、オークション、スケジュールなど、1つ1つのアプリケーションを“ポートレット”と呼ぶ



Portal to Goは、WebDBを携帯電話のサービス“iモード”、“EZaccess”、“J-SkyWeb”からアクセスするための技術だ。WebDB 3.0およびPortal to Goは、今年の夏ごろに提供される予定という。

EZaccess(左)とJ-SkyWeb(右)を利用したPortal to Goのデモ。オークションに参加するところ
EZaccess(左)とJ-SkyWeb(右)を利用したPortal to Goのデモ。オークションに参加するところ



そのほか、佐藤氏は今後の計画として、「外部のニュースサイトなど、WebDBのコンテンツ提供のためのパートナーを募集する。またサーバー・サイドJava開発者と開発ファーム育成のための支援プログラムや、有望ベンチャーの支援なども行なっていく」と語り、Oracle8iとWebDBによって社内外のアプリケーション統合と、ポータルの提供に力を入れていくことをアピールした。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン