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エキサイト、2000年度の事業計画を発表--20億円のプロモーションを展開しヤフーを追撃

2000年04月13日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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ポータルサイト運営のエキサイト(株)は12日、2000年度の事業計画を発表した。テレビCMなどプロモーションに20億円を投じ、認知度を一挙に上げる計画だ。5月9日にはサイトのリニューアルを予定しており、オークションサイトのAuction.exciteを開設するなど、業界トップのヤフーを追撃する構えだ。

都内で開催された記者発表会で説明を行なう、エキサイト日本法人責任者の山村幸広氏
都内で開催された記者発表会で説明を行なう、エキサイト日本法人責任者の山村幸広氏



アクセス数と広告費は倍々で増加と予測

同社が発表した'99年度('99年4月~2000年3月)実績によると、同期の売上はすべて広告収入によるもので、8億2000万円となっている。2000年度には有料サービスや他社からのコミッションによる収入も見込んでおり、広告売上が16億5000万円、その他の売上として2億円を予定している。

今回の発表では2002年度までの売上予測が発表された。それによると、2001年度には広告収入33億円に加えてその他が7億円、2002年度には同じく66億円と14億円となっており、2000年からの3年間は年100パーセントの成長を目指している。

同社ではこの間におけるページビュー(PV=アクセス数)の伸びを、2000年度末で3000万PV、2001年度末で7000万PV、2002年度末で1億5000万PVと予測している。インターネット広告の単価下落が指摘される中、同社の予測は広告収入とPVの伸びがほぼ同じ比率になっており、強気の予測であることは隠せない。

この点について、同社セールスディレクターの田村博巳氏は「クライアントによる選別が始まる」とし、現在はほぼ横並びの広告費が、将来的には人気の高いサイトでは現状維持か微増し、PVの稼げないサイトでは下がっていくという見通しを明らかにした。

5つの重点項目を発表--5月9日にリニューアル

エキサイトでは2000年度の事業戦略として、5つの重点項目を挙げた。まず、サブサイトを増やすなどコンテンツが拡充するのに伴い、事業基盤の強化を図る。6月には10~15億円の増資を行ない、資本金を29~34億円まで引き上げる予定。これらの増資は、同社の株主である米Excite@Home、伊藤忠商事(株)、伊藤忠テクノサイエンス(株)、大日本印刷(株)の4社が、現在の持ち株比率に応じて引き受ける。また、現在40名のスタッフを、2001年3月までに90名に増員。その後、2003年3月には210名前に増強する予定だ。

2点目となる“既存サービスの拡充”については、5月9日のリニューアルなどにより、現在1日あたり800万のページビュー(PV)を、2001年3月を目処に3000万PVを目指すとしている。その後、2003年3月には1億5000万PVまで引き上げる目算だ。また、フリーメールや出会い系サイトの拡充により、ユーザー数の増加を図るとしている。

3点目に挙げられる“新規事業開発”に関しては、5月9日にスタートするオークションサイト“Auction.excite”と、10月の開始を予定するECサイトの“eshop@excite”が柱となる。オークションサイトでは当面のあいだ手数料を徴収せず、エキサイトブランドの浸透を図ることを目的にするという。

4点目に挙げる“ブランド戦略の強化”では、20億円を投じるプロモーションなどマーケティング活動の強化を行なう。テレビCMには香港の人気女優であるケリー・チャンを起用し、エキサイトがターゲットとする20代後半~30台の女性にブランドの浸透を図る。また、Woman.Exciteなどサブブランドの拡充を図り、アンブレラ(傘)ブランドとしてのエキサイトをアピールしていく方針だ。

5点目としては、PDAや携帯機器も含めた“オールデバイス戦略”の推進を行なう。本社にあたる米Excite@Homeが提唱する“All Brand, All Device, All the Time”(すべてのブランド、すべてのデバイス、いつ何時でも)を日本でも実践すべく、モバイル機器から広帯域のケーブルインターネットまで、各帯域に合わせたコンテンツ開発を行なっていくという。

透明性を上げ、企業としての責任を果たす

都内で開催された記者発表会において、同社のGM兼日本法人責任者を務める山村幸広氏は、「エキサイトのユニークユーザーは1日に60万人、1ヵ月で450万人に及ぶ」と具体的な数字を挙げて説明。その上で、「雑誌を越えて新聞に迫るメディア」になったと強調した。

日本法人責任者の山村幸広氏は、ヤフーに対する対抗心を剥き出しに、アグレッシブなスピーチを行なった
日本法人責任者の山村幸広氏は、ヤフーに対する対抗心を剥き出しに、アグレッシブなスピーチを行なった



今回の記者発表では広告収入の実績や今後の売上予測など、具体的な数字が明らかにされた。この点について山村氏は、「事業の内容、実績、ゴールについて透明性を増し、今後もデータの提供を続けていく」と説明。詳細な事業計画を発表できないインターネット関連企業が少なくない中、企業に求められるアカウンタビリティー(説明)を果たすことで、増資に対する責任を果たすと言明した。

今後の展開については、「インターネットメディアの闘いは1社だけでは闘えない」と語り、様々なパートナーと戦略的な提携を進めていくと説明。「弱いところを補って、一つのチームとして展開していく」とアピールした。また、米本社を同じくするケーブル系ISP業者のアットホームジャパン(株)との関係については、「組んでいかないほうが不自然」と明言。これまで報じられてきた“日本では一線を画す”という方針を否定し、パートナーとして組むことに積極的な姿勢を見せた。

エキサイトは業界トップのヤフーを追いかける立場にあるが、山村氏は「一番手とどう闘うか、どうやれば闘えるのかが少しわかってきた」と、自信のほどをのぞかせる言葉を口にした。また、「ヤフーは、ユーザーが名前を知っているからPVが多いだけ」と語り、エキサイトのブランド力を高めることで、ヤフーに伍していけると説明。さらに「エキサイトがターゲットとする20台のユーザーはロイヤリティー(忠誠心)が低い」と指摘し、ヤフーからエキサイトへの乗り換えユーザーを獲得することに自信を見せた。

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