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「私はネットバブルを喜んでいる」--ソフトバンクの孫社長が本音を語った!?

2000年04月12日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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バブル紳士か、はたまたインターネット時代の先駆者か。ソフトバンクグループの総帥である孫正義氏が、「私はネットバブルを喜んでいる」という本音を口にしたのだから驚きだ。

11日に都内で開催された合弁会社設立の記者会見において、孫氏は「日本でもネットバブルという言葉が使われるようになった」と発言。しかも、「ある面、私は喜んでいる」と語ったのだから、ついに孫氏の本音が聞けた! と色めきたった記者も少なくなかった。

会見で満面の笑みを浮かべる孫氏。“株価が戻ってウハウハ”、と考えている投資家も多いのでは?
会見で満面の笑みを浮かべる孫氏。“株価が戻ってウハウハ”、と考えている投資家も多いのでは?



孫氏によれば、米国ではすでに3~4年前からネットバブルという言葉が使われていたが、日本でこの言葉が使われるようになったのは半年~8ヵ月前くらいからだという。その理由は、「それまでインターネットで実際に儲けた人がいなかったため」。どうやら、日本でもやっとインターネット関連事業で収益が上げられるようになった、ということを孫氏は強調したかったようだ。

記者会見では、「今回の発表に関係ない質問はお控えください」と、ソフトバンク系の記者会見ではお決まりの注意事項が伝えられた。それにも関わらず、孫氏が自らネットバブルについて口にしたのは意外。下落基調にあったソフトバンクの株価が下げ止まったこともあり、ついつい孫氏も饒舌になったのかもしれない。

“インターネット錬金術”と揶揄されることも多いソフトバンク商法だが、旧来の大手アナログ系企業と次々に提携や合弁を果たすなど、決して“虚業”のえせインターネット企業ではない。たしかに、株価の目安となる株価収益率は656倍(11日現在)と途方もない数字だ。それでも他のIT関連企業に目を転じれば、超優良企業として注目される伊藤忠テクノサイエンスでは833倍、日本オラクルでは703倍と、決してソフトバンクだけが突出しているわけではない。

このところ株式市場では一部のIT関連企業が暴落しているが、ソフトバンクは値を下げたとはいえ、反発を見せるなど、持ち直す様子を見せている。ソフトバンクグループは出版・金融・システム開発・通信・ポータルサイトなど多方面への進出を行なっており、特定分野からの売上が突出する構造ではない。かつて「インターネット財閥を目指す」と語った孫氏だが、財閥の構築は着々と進んでいるようだ。

孫氏はまた、「ソフトバンクグループのオペレーティングカンパニー(事業会社)はすべて、上場を目指している」とも語った。子会社を次々と上場するのは、ある意味非常に日本的な経営モデル。インターネット先進国の米国にはほとんど存在しないビジネスモデルだ。

ネットバブルが続く限り、孫氏のビジネスモデルは世界でも特異な例として、成功し続けるかもしれない。ではバブルが弾けてしまったら? 市場が適正と判断する株価水準でもソフトバンクグループが繁栄するのであれば、そのときインターネット財閥がひとつの完成を見たと言えるのではないだろうか。

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