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インフォ・アベニュー、個人の募金によって映画製作を支援するサイトをオープン

2000年04月06日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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5日、インフォ・アベニュー(株)は、有料のカード型CD-ROMを利用して映画製作費を募り、その製作を支援する“シネマネー”(cinemoney.com)を開始すると発表した。

インフォ・アベニューは、伊藤忠商事(株)グループで、ASP事業などを行なうインターネットサービス会社。“シネマネー”(以下cinemoney.com)は、有力タイトルのストーリーや配役などをウェブ上で公開し、応援したい人に“応援カード”というカード型CD-ROMを予約購入してもらうことで、製作の援助資金に当てる。その資金は映画製作団体に回り、cinemoney.comではその対価として“映画製作に関わる映像やテキスト情報を期間中だけ放映する権利”や、“映画事業が最終的に利益を出した場合に製作支援金の割合に応じた利益配分を受ける権利”を取得する。さらに、利益が出た場合には、応援した人にサービスやポイントという形で還元される。

海外で流行しているカード型CD-ROM。暗号化されたURLが埋め込まれている
海外で流行しているカード型CD-ROM。暗号化されたURLが埋め込まれている



予約口数(製作可能な支援金)に達した場合、映画タイトルごとに応援団が結成され、専用サイトを開設する。この専用サイトは、“応援カード”(暗号化されたURLが埋め込まれている)を購入するとアクセスできるようになっており、映画出演者や製作現場でのメーキングに関わる情報、リアルタイム中継、日記メール、iモードによる画像ダウンロード、チャットなど、さまざまなサービスを用意。このほかにも、応援サイトが運営されている期間中に接続料を無料にしたり、フリーPCを配布するといったことも考えているという。


 募集サイトhttp://www.cinemoney.com/。申し込み口数に達すると、応援団専用サイトが始まり、たくさんのサービスが受けられるようになる

映画の興行が成功し、cinemoney.comに利益配分があった場合には、ネット上のバリューとして“ポイント”に還元し、あらたなCD-ROMカードの購入や、映画で使用した小道具のオークション、将来的には伊藤忠商事グループのECサイト(ファミリーマート)などで利用できる共通ポイントとして流通させることも検討している。

応援金は1口5000円から1万5000円で、1万5000円以上募金するとゴールド会員になり、特典も増える。応援団特典には、応援団特製名刺(100枚)、応援ポイントバック、試写会の招待(抽選)があるが、これに加えて、映画鑑賞券(ペア)、映画パンフレットに応援団員として名前が掲載される。決済方式はクレジットカードによって行なうが、申し込み口数が予定数に達するまでは決済されない契約となっているため、映画が製作されずにお金だけを取られるという心配はない。

すでに第1回目の支援タイトル“天国から来た男たち”(監督:三池崇史、主演:吉川晃二 製作:ハマーズ、日活、ケイエスエス)が決まっており、4月5日から30日までウェブ上で、2000口の募集を開始する。今回は製作費の約1割にあたる募金を集めるという。

今回の発表にあたり、“天国から来た男たち”の監督の三池崇史氏と主演を務める吉川晃二氏が特別パネルディスカッションに登場した。吉川氏はもともとパソコンのヘビーユーザーとして知られている。楽曲をパソコンで作ったり、音楽データをやり取りしたり、メーリングリスト、チャットなども活用しているという。

「cinemoney.comの話を聞いたとき、いつかそういうアイデアが出てくると思った。(インターネットは)“夢の糊代”がたくさんある分野なので、これから楽しみにしている」。また、「応援団員に対して、本当はマネーバックができればいいのだが、法的な問題もあってできないのが残念」ともコメント。

三池監督は「応援団の募集は、映画を製作する前のバロメーターになる。観客が映画に参加するという感覚が今までなかったが、そういう意識が芽生えることにも意義がある」また、ウェブサイトでは、メーキングなどのサービスコンテンツをどのように展開するかは未定だが、本作と同時に作品をつくるのと同じ感覚でつくっていきたい、応援団の意見をもとに自分の中で咀嚼(そしゃく)していきたい、とした。

支援タイトル1作目となる“天国から来た男たち”製作にあたって、その感想を語る監督の三池崇史氏と主演の吉川晃二氏
支援タイトル1作目となる“天国から来た男たち”製作にあたって、その感想を語る監督の三池崇史氏と主演の吉川晃二氏



映画製作では、お金集めに苦労する。面白い企画があっても、資金がないために製作できないことも数多くある。cinemoney.comでは、ウェブ上で小説やマンガの推薦や、原作、企画の公募などもできるようにしていくという。もし、こういったシステムが定着し、良質な資金が集まるようになれば、停滞気味の映画業界も活気がづくようになるかもしれない。

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