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米IBM、銅チップの処理能力を向上させる製造技術を開発

2000年04月04日 00時00分更新

文● 編集部

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日本アイ・ビー・エム(株)は4月4日付けで、米IBMが3日(現地時間)、半導体チップの処理能力を最大30パーセント向上させる半導体チップ製造技術を開発したと発表した。

従来、半導体チップの設計において、チップの集積度が高まるに従い、チップ上の回路が互いに干渉して電子的混線が起き、半導体チップの処理能力が阻害され、電力が浪費される恐れがあった。同社が開発した半導体チップ製造技術は、“低誘電体層間絶縁膜”と呼ばれる素材を使い、チップ上の何百万の銅回路を個別にシールドするというもの。このシールドにより電子的混線が抑制され、銅回路を通る電子信号を高速化でき、半導体チップの処理能力が向上するという。同社では、この低誘電体層間絶縁膜に一般に流通しているダウケミカル社の『Silk』を用い、絶縁膜の形成に一般的に用いられる回転塗布方式の成膜装置を採用した。そのため、実用的な製造技術で、経済的にチップを製造できるとしている。新製造技術は、IBM半導体研究開発センター(SRDC)のIBMマイクロエレクトロニクス部門と、同社の基礎研究部門が5年に渡って共同研究開発を行なってきた成果で、すでにSDRCの試作ラインで新製造技術を用いたチップ生産を開始している。

同社は、新製造技術の発表と同時に、この製造技術を用いたASIC(特定用途向けIC)テンプレート“Cu-11”を発表した。このCu-11を用いたカスタムチップは、線幅0.13ミクロンで製造され、チップ上に最大4千万個の回路を設計できる。最終的に線幅0.11ミクロンで設計可能としている。同社では、設計に用いる『Cu-11デザイン・キット』を7月に発売する予定。新製造技術は、インターネットサーバーや省エネ型携帯電話に用いるカスタムチップのほか、次世代の『Power4』プロセッサーの製造にも用いられる予定。

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