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【入社式挨拶ニュースリリース】(株)NTTデータの青木利晴代表取締役社長

2000年04月03日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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平成12年度 入社式挨拶

【はじめに】

新入社員のみなさん、入社おめでとうございます。
心からお慶び申し上げます。

【環境の変化】

さて、IT関連のみならず情報や金融、技術などの変化のスピードは、益々加速しています。
インターネットの利用数は、全世界で約2億人、日本において燒・000万人を突破しました。
インターネットは、電子メールだけでなく、世界から様々な情報を瞬時に集めてくる手段として活用されていますし、ドットコム企業を通じて、書籍、音楽CDの購入、証券取引などが盛んに行なわれるようになりました。
これは、ビジネスでのプロフェッショナルな使われ方から一般の利用者で日常使われるものに変化してきているということであります。

インターネットがもたらす新しい市場は、ビジネス市場向けのB to Bで2003年には、約68兆円、B to Cで約3.6兆円になると言われています。その牽引役としての期待が当社を含んだ情報処理産業全体に今、寄せられています。
しかしながら、私は、当社がこれまでの延長でやっていては、この変化に取り残されるという危機感を感じております。
市場環境の変化はたいへん激しく動いています。NTTデータが得意とする分野へ、他業界からの新規参入が相次ぎ、競争は激化する一方です。
また、当社は、着実な成長は持続してきましたが、いま環境変化への対応を怠れば流れに取り残されるのは確実であります。先程新聞にも掲載されてた11年度業績予想を見て驚いた方もいると思います。主力である公共分野、金融分野、産業分野の競争力を強化し、新分野へのビジネス拡大を積極化させることが当面の重要課題です。

【3年後の企業イメージ】

特に新分野へのビジネス拡大は急務です。
そのために、今まさにいろいろ種まきをしていますが、現在のところそれらのビジネスは、当社の収益の柱になっていません。これから2~3年は、仕込みの時期として将来の飛躍のために戦略的に展開しなければなりません。
既存ビジネス領域でSI力を強化し、さらには競争力をつけるとともに、我々の会社を従来の狭い意味でのSolution ProviderからService Providerへ脱皮させたいと考えています。

【3つのパーフェクト】

さて、私は、これから先の変化を「インターネットは、顧客主導のフェアな社会をもたらす」と思っています。
それは、インターネットの普及が3つのパーフェクトな状態作り出してくれるからです。顧客すなわちコンシューマが今まで「当然」とか「仕方がない」といって半ばあきらめてきた「制約された状態」から解放されるということです。
その制約とは、
・情報の不均衡
・時空間の制約
・共通価値重視の制約
であり、それらの制約から解放されるわけです。
私は、その状態を3つのパーフェクトな状態と呼び、それぞれ
「パーフェクト・マーケット」
「パーフェクト・コミュニティ」
「パーフェクト・バリュー」
と表現しています。
この3つの完全な状態がもたらされるとどのような事態が起きてくるかと申しますと、まず「パーフェクト・マーケット」では、利用者サイドすなわちコンシューマとサプライヤがお互いの情報を完全に知ることができる。従って、価格を交渉したり、製品を比較検討して選択したり色々なことができる、言わばオープンな場でのオークションやフリーマーケット、集団購買などが自由にできるようになります。
また、「パーフェクト・コミュニティ」すなわち時間や地理的な制約に縛られることのない新しい社会環境が成立します。例えば、そんなに大げさな話ではありませんが、時刻表とか天気予報をもとにこれからの予定をどうするか等という日常生活の中でデータに基づく即時の意志決定の場面が増えていきます。
さらに、「パーフェクト・バリュー」すなわち今までの大量生産大量消費という共通価値観の世界から、ニッチな価値観をも満たしてくれるようになります。それは、インターネットの世界が常に全世界を相手にするため、どんなニッチ領域の要望でもビジネス規模が確保できる可能性があるためです。

【日本発のビジネスモデルの創出】

このように考えてきますと、製品だけでなく、サービス、情報など、価値があるものすべてが取引される時代がやってきます。
これまでは、当社の利益の源泉が、ハードやソフトという有形の製品の販売に依存していましたが、「価値」から利益を生む「価値ビジネス」企業に大きく変わっていかなければならないと考えます。どの企業もこの「価値で利益を産むビジネスモデル」を必死に今、考えております。
一般的には、米国はこの分野で先行しており、成功しそうなビジネスモデルをつくりつつあります。短期的にはこれを模倣して日本に持ち込むことは悪くありませんが、私は、iモードの成功やコンビニの普及のように日本発の成功モデルが存在すると考えています。
だからこそ、2~3年後は、Solution Providerからさらに一歩前に進み、Service Providerすなわち『価値ビジネス』を基盤とした会社を目指したい。そしてだからこサ、新入社員の想像力とチャレンジ精神に期待をしています。

【新入社員への期待】

皆さん、NTTデータを志望したということは、決して楽な道を歩むのではなく、荒波を先頭切って泳いでいくことを選んだとい、ことであります。そして、IT革命と言われる千載一隅のチャンスにNTTデータという場において、新しいことに果敢に挑戦していただきたいし、これから会社が大きく変革する時期にちょうど皆さん達に思う存分活躍してもらえると思っています。
あわせて、皆さんが元気良く勤務しながら、自立した社会人として自らの価値観と目標をしっかりと持ち、人生を多いに楽しまれることを期待します。皆さんの入社を心から歓迎するとともに、将来の活躍を期待して挨拶といたします。

(用字用語は原文のまま)

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