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【入社式挨拶ニュースリリース】富士通(株)の秋草直之代表取締役社長

2000年04月03日 00時00分更新

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2000年度入社式挨拶

皆さん、富士通への入社、おめでとうございます。世界中の富士通グループの仲間とともに、皆さんを心から歓迎いたします。
皆さんを仲間に加えた富士通グループは、半導体を中心としたテクノロジ、ネットワークやサーバを中心としたプラットフォーム、お客様のシステム構築を中心としたサービスの3つの柱をもつインフォメーションテクノロジの先端企業グループです。国内はもとより、アメリカ、ヨーロッパ、アジア・オセアニアで、約500社19万人。連結ベースで売上が5兆円を超えるグローバルグループ企業です。

歴史的な変革の時期

さて、今、社会全体が、インターネットという新しい秩序に向かって動き出しています。大きな社会変革の時には従来の社会秩序が崩れ、混乱とともに新しいことが起きます。このインターネットを中心とする情報革命-今までとは全く異なった新しい大きな波は、私たちのお客様である消費者や企業の価値観、行動様式を大きく変えようとしています。また、社会の仕組みも変えようとしています。そういった大きな変革のなかで、富士通グループは"Everything on the Internet"という事業戦略をたて、その変革をリードするNo.1インターネットカンパニーを目指しています。

そして、インターネットをベースとしてあらゆるビジネスや社会が動きはじめるにしたがって、お客様の富士通に対する期待は非常に大きく、かつ高くなります。これからのお客様のビジネスを考えたとき、その成功は富士通グループの力量にかかっているといっても過言ではないくらい、我々は重要な仕事を担っているのです。我々は、その期待に応えるだけの感性と発想力、実行力を持たなければなりません。

ゴールではなくスタート

さて皆さん、厳しい競争を勝ち抜いて当社に入社されて、ほっとされているかもしれません。大きな企業グループですし、先端産業だから将来も安心だと思っておられることはないでしょうか。しかし、当たりまえですが、これはゴールではなく、本当のスタートだということです。今までの努力も勉強も、これから仕事の中で成果を出す為の準備でしかありません。

そして、このスタートに当たり皆さんには是非大きな夢を持っていただきたい。米国の作詞家のオスカー・ハマーシュタインが「If you don't have a dream , how you gonna have a dream come true? - 夢を持たないで、どうして夢が実現できるのか」と書いています。夢をもつということは、すべての活動のスタートです。富士通グループは「夢をかたちに」ということを企業のメッセージとしています。大変よい言葉だと思っています。お客様の夢、我々の夢をかたちにしていこうということです。この言葉を皆さんの活動の中心に据えていただきたいと思います。

プロとしての自覚

さて、皆さんはこれから、会社の中で働くわけですが、皆さんの給料というのは、会社からもらうのではなく、お客様からもらうのだということを徹底して意識してください。お客さまからお金を頂戴するプロとしての自覚を持っていただきたいと思います。

私は、社内にホームページを持っています。そのホームページに「社長の秋草です」というコラムを持っていて、いろいろな思いを発信しています。そのなかで、先日ダイエーホークスの城島(じょうじま)選手の話を書きました。その話は、ある会合で経営者の方から聞いた話ですが、「彼は生意気なキャッチャーで、大先輩のピッチャーに自分の要求通り投げないと文句を言うし、外野の配置にうるさいし、また王監督にも喰ってかかる。周りからみると、不遜で態度が大きい奴だとみえる。ある時に城島選手に、『若いのに、どうしてそんなにつっかかっていくのか』と聞いてみた。彼は、『自分はダイエーの捕手というポジションを任されている。それをやり遂げる責任がある。捕手という司令塔のポジションに、年齢も先輩/後輩もない。当然のことではないか』と、平然と答えた。」ということです。

プロの意識とはこういうことではないかと思います。これからインターネットの時代になります。皆さんは、就職活動でもインターネットを使いこなしてこられたわけです。インターネットの利用という面では、ある意味で最も先端をいっている世代です。これから、インターネットをどう使うか、どうすればビジネスにつながるのか、どんな技術が必要なのかといったことに対しての感性は非常に高いのではないかと思います。もちろんチームで仕事をする以上、先輩や上司の言葉に誠実に耳を傾けるということは、非常に重要ですが、自分がこうだと思ったら、ぜひ臆せず意見をいい、自分で進んでやっていただきたい。インターネットはまだこれからの技術です。新しい発想やアイデアがもっと必要です。皆さんの若く柔らかい発想が即戦力として期待されています。是非一日も早く先輩を脅かす存在になっていただきたいと思います。

自分の価値を磨く

当社は皆さんご存じのとおり成果主義を取り入れています。これは、意欲の高い人には非常にメリットがあり、意欲のない人には非常に厳しい制度です。もちろん意欲のない人は入社出来なかったはずですから、この制度は皆さんのチャレンジ精神を支える大変良い制度だと思っています。そして、皆さんの価値というのは、社内での評価ではなく、お客様、つまり市場の評価が一番重要です。これからは、会社の中でしか価値が持てない人は、淘汰されて行きます。給料も上がりません。成果を積み重ねることではじめて給料もあがり、職責も重くなっていくのです。同期だから皆横一列という時代ではありません。そのためには、常に自分を磨くということを心がけて下さい。いつでも、市場で闘えるスキルを身につけていただきたいと思います。

4つのコーポレートカルチャー

富士通は新しい時代に向けて4つのコーポレートカルチャーを掲げています。

一つはカスタマ・フォーカスです。我々はソリューションを売るというビジネスをしています。ソリューションというのはソフト・サービスやハードウェアによって、お客様の様々な課題を解決して、お客様にその価値を認めていただき対価を頂戴してはじめて成り立つビジネスです。そのためには、お客様を知ること、お客様の視点で考えること、これが、我々のビジネスの基本です。常にその意識をもって仕事をしていただきたい。

二つ目が、グローバルブランドです。富士通グループは世界を相手にビジネスをやっています。今までのグローバル化というのは、日本で作ったものを世界に売るというスタンスでしたが、ソリューションビジネスのグローバル化というのは、各地域のローカルな文化の領域にまで踏み込んだ世界です。日本からの発想だけでは通用しません。海外のお客様のことをもっともっと知らなければなりません。皆さんに英語のスキルを要求したのも、こういった背景があります。グローバルで"Fujitsu"というブランドが、そして皆さんが通用するようにしていくことが必要です。

三つ目が、地球環境重視です。当社はもともと環境重視の企業としてやってきました。環境による格付けでも非常に高い評価を貰っています。これは大変大きな経営資源です。常に環境ということを意識に入れた仕事をやっていただきたい。後から考えるのではなく、製品やサービスのなかに環境を作り込むという発想が必要だと思います。また、当社のベトナムの植林事業に、一口千円で社内のネットワークで募金をしたら、すぐに400万円を超えるお金が集まりました。こういった意識は大変誇りにできることです。ぜひ、このカルチャーを皆さんも持っていただきたい。

四つ目がベンチャー・スピリットです。皆さん就職活動の中で、当社については研究をされたと思いますが、当社はもともとベンチャースピリットにあふれる企業です。常に新しい目標に果敢に挑戦する文化を持っています。そして、今、インターネットのマーケットは、ベンチャーそのものです。待ちではなく、自分のやりたいことを見つけて、ぜひチャレンジングな姿勢を持ち続けて欲しいと思います。

もうすぐ21世紀です。インターネットは、新しい産業革命を起こし、新しい社会をつくり出します。そういう大きな変革の中で、我々はインターネットのリーダになれるポジションにいます。リスクを恐れず、勇気をもって、グローバルなレベルで新しい世紀を牽引できるような企業になれるように皆さんと一緒に努力していきたいと思います。
どうか健康に十分気をつけて、若さあふれるスタートをきってください。

以 上

(用字用語は原文のまま)

・富士通
 http://www.fujitsu.co.jp/jp/profile/akikusa/
aisatsu00.html

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