このページの本文へ

【入社式挨拶ニュースリリース】(株)日立製作所の庄山悦彦取締役社長

2000年04月03日 00時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷


平成12年度入社式 庄山社長訓示(要約)

今年は20世紀最後の年にあたり、同時に当社は創立90周年を迎えます。このような大きな節目の年に、皆さんが社会での活動の場をこの日立製作所に求められ、これから一緒に仕事ができるということを、心から歓迎するとともに、皆さんに、大きな期待をしております。

当社の創業は、90年前の1910年で、銅鉱山付属の電気機械修理工場としてスタートしました。創業時の姿を省みますと、まさに、小さなベンチャー企業としてのスタートでした。以来、「自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」ということを理念とし、各分野において、独創的で、最新・最先端の技術と信頼性に支えられた製品を開発し、世の中に送り出すとともに、ベンチャー的に考え、活動する人達が集まって、成長を続けてきたのだと考えています。
当社は、一昨年の98年度に大きな赤字を計上しましたが、昨年の4月から、意思決定のスピードアップのために、「実質的独立会社制」の導入や、全社レベルの意思決定機関を「経営会議」に一本化するなど、思い切った改革を実施した結果、99年度は黒字転換できる見込みです。但し、当社の持つ力から考えると、まだまだ十分とは言えないと思っています。
当社は、昨年11月に、中期の経営計画として「i.e.HITACHIプラン」 をまとめ上げました。21世紀の日立は、「製造業」から知識と情報技術をベースにした「ベストソリューション・パートナー」へと変革していきます。皆さんも私とともに、「変化を創造」し、日立を「世界でいちばん信じられる会社」にしましょう。また、この実現のためにも日立のブランド価値を高めていくことが重要だと思います。
創業以来、当社が成長を続け、広範な事業フィールドと知識・技術を有するまでに至ったのは、やはり、多種多様な従業員が企業人としての考えを共有したうえで、お互いの知識・技術・価値観を尊重してきたからです。今後とも、皆さんに常に均等の機会が与えられ、常に対等の立場で議論をし、生き生きと働ける企業にしていこうと考えています。
今後は、高齢化や少子化、女性の職場進出が進んでいく中で、男女を問わず、「仕事と家庭の両立」ということが、今以上に重要となってくると考えます。この4月から「ジェンダー・フリー&ファミリー・フレンドリー・プラン(F.F.プラン)」を実施致します。この「F.F.プラン」では、個を尊重した性別を意識しない人材活用の観点から、これまで以上に女性が活躍できるよう、積極的な採用や管理職の登用を図っていきます。また、社員による仕事と家庭の両立を支援するために、男女を問わず育児・介護を行う社員が働きやすい弾力的な勤務制度等により、多様なニーズをサポートしていきます。

また、社員のやる気を喚起するには、会社として、社員の個々人に求めるものを明確にし、かつ 公正に社員を評価できることが重要です。従って、先般の「i.e.HITACHIプラン」の策定の際に、とりわけ当社のリーダー層に求める価値・行動基準を「Hitachi Value」として明確にしました。この基準は「顧客満足」、「信頼」、「スピード」、「チャレンジ・変革」等の10項目で構成されています。「Hitachi Value」による社風改革を目指すとともに、多様な個性を活かしていく 仕組み等を引き続き確立していきたいと思っています。

私は、日立はもともと「ボトムアップ型の会社」であり、権限と責任をきちんと与えれば、各部門の自立性は高まると考えています。自分で企画し、自分で実行し、成果を上げることが、次の企画を生むのです。若い人ほど、最も事業に近い最前線で仕事をしている訳であり、もっと権限と責任を与えて、自分で企画して 自分でやり遂げてもらいたいと思っています。
さらに、自分の専門分野だけに拘ることなく、常に物ごとを多面的に捉え、周囲の意見をよく聞き、関係先を引っ張っていくような人になって欲しいと思います。時代が変化しているのですから「従来はこうしてきた」といって変化しないことがむしろ、リスクに繋がってくるのです。米国ではベンチャーの台頭によるサクセスストーリーが語られていますが、その影で どのくらいのベンチャーが消えていったかを考えてください。挑戦しなければ、失敗もできません。行動を起こすことが「変化を創造」し、スピードを生み出すのです。日立の更なる活力になるべく、ベンチャーの精神をもってどんどん挑戦して下さい。

私の失敗談はいろいろあります。直流機の設計がうまくいかず、火花が出て、運転できなくなってしまったということもありました。先輩は、1、2回で調整してしまうのに、私は3回も4回もやっていました。私は先輩にも恵まれて、何度も失敗しましたが、よく我慢して見ていてくれたと感謝しています。先程も申しましたように、基本はボトムアップです。のびのび実行し、上が責任を取る。私はこれからもこの風土を大切にしたいと思います。

最後になりますが、私は、これからは個性を大事にする「個の時代」であり、特にソリューションビジネスには「個」が大事であると考えています。従って、皆さんにいろいろな知恵を出して欲しいと思います。若い人は経験という面では未熟ですが、既成概念にとらわれない斬新な発想があります。新鮮な目で感じる知恵をどんどん提案して欲しいと思っています。私は昨年から「庄山オンライン」というイントラネット上の電子メールを通じて、社員との一対一のコミュニケーションを図っていますが、この中で入社間もない人からもメールをいただきます。私自身にも刺激になることが多く、非常に役立っております。
柔軟な発想をするためには、リフレッシュも兼ね、仕事以外で積極的にいろいろなことを経験し、感動し、感性を豊かにすることが大切だと考えます。「感動すること」は何も、スポーツや優れた芸術作品に限った話ではありません。私たちのビジネスもしかりです。積極的に様々なことを経験し、感動し、感性を豊かにして、皆さん一人ひとりが「感動の送り手」となりましょう。日立の目指すソリューション企業への変革とは、お客様に「感動を与えられる企業」になることだと考えます。
皆さんも、常にチャレンジする強い意思を持ち、積極的に行動することによって、変革・飛躍のステップを歩む日立の大きな力になってもらいたいと期待しています。

以上

(用字用語は原文のまま)

・日立製作所
 http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/0004/0403a.html

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン