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【エデュテイメントフォーラム2000京都 Vol.1】アットホームジャパンの廣瀬禎彦社長による基調講演、CATVでブロードバンド向けのコンテンツを

2000年03月30日 00時00分更新

文● 天野憲一 noriama@qa2.so-net.ne.jp

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京都府、京都リサーチパーク(株)、(財)京都産業技術振興財団で構成するエデュテイメントフォーラム2000京都実行委員会は25日、“エデュテイメントフォーラム2000京都”を京都市内で開催した。エデュテイメント産業の振興を目的に、教育関連の情報機器やソフトの展示、一般の親子が参加できるイベント、専門家によるセミナーといったプログラムを用意。27日の会期終了までに約1万4000名が会場に足を運んだという。

本稿では25日に行なわれた(株)アットホームジャパンの代表取締役社長、廣瀬禎彦氏による基調講演についてレポートする。

廣瀬氏は日本アイ・ビー・エムを経てアスキー常務取締役に就任し、その後、セガ・エンタープライゼズ副社長から、アットホームジャパン代表取締役社長に就任。アットホームが手掛ける事業は、CATVのケーブルを利用したインターネット接続および動画などリッチコンテンツの配信サービスなど 廣瀬氏は日本アイ・ビー・エムを経てアスキー常務取締役に就任し、その後、セガ・エンタープライゼズ副社長から、アットホームジャパン代表取締役社長に就任。アットホームが手掛ける事業は、CATVのケーブルを利用したインターネット接続および動画などリッチコンテンツの配信サービスなど



海外ではブロードバンド化を条件に

基調講演のテーマは“インターネットの高速化とそれがもたらすものについて”。

「現時点でのインターネット人口は全世界で1億8050万人。日本だけでも1845万人が利用していると考えられており、2001年にはさらに1.5倍に増えるだろうと予想されている。しかし、これは従来のPCユーザーの実績によるもので、携帯電話やメール端末などの利用者は考慮されていない。特に携帯電話でのインターネット利用は日本独自の状況で、昨年末ですでに400万人が利用している。今後インターネット家電が増えていけば、潜在的なインターネットユーザーは劇的に増えていくだろう」

「セガでは日本だけでなくヨーロッパやアメリカでインターネットサービスを行なっているが、海外でのサービス項目の中には、将来ブロードバンド化した時の条件までが盛り込まれている。ブロードバンドとは広帯域通信のことで、このように、電話回線などの狭帯域通信に比べて数十から数百倍の通信速度を実現できるような次世代ネットワーク環境を指している。例えば、家庭とインターネットをつなぐのは今は電話線が主流だが、今後はCATVが普及していくと最大15Mbpsという高速通信が可能になる」

「百倍という速度の違いは、人と飛行機の速度の差に等しく、これが実現することでインターネットサービスに質的な変化が起こるだろう。しかし、すべての通信回線がブロードバンド化するわけではなく、CATV、電話線、携帯電話など、その必要に応じて使い分けされると考えられる。CATVの普及率はまだ低いが、高速であり、定額で常時接続を可能とする。この特性を生かした、たとえば老人介護用のサポートシステムなどが考えられるが、ブロードバンド向けのコンテンツはまだこれからである」

会場の様子
会場の様子



ブローバンド時代に即した番組編集ツールを

「また、高速な回線を使うことで“テレビでインターネット”が現実のものとなる。過去にも同様な製品があったが、テレビの動画とインターネットの静止画やテキストとのギャップが大きく、これがブロードバンドによって解消されれば従来製品のような違和感はなくなるだろう」

「インターネットの高速化は、従来のメディアの在り方も変える可能性を持っている。同じ情報を複数のメディア(雑誌、新聞、テレビなど)で同時に発信できるようになるからだ。それに、テレビ番組をアーカイブ化して見たいものを取り出せるようになるなシステムを構築すれば、本放送で見逃した番組を後でゆっくり見たいときに見られる」

「このように、求められる情報だけを配信すできるような環境になれば、情報配信をさらに効率的にするため、コンテンツ制作ツールの標準化が重要になってくるだろう。たとえばOfficeの登場は、テキストや計算処理という作業を一般化した。映像をはじめとするマルチメディアコンテンツの制作にも、同様に標準的なツールの登場が必要だろう」

最後のまとめとして廣瀬氏は、教育にコンピューターを導入する際の問題について「経済的バックアップと、24時間サービスを維持するのに必要なサービス要員が問題」とした。その上で、「教育の世界にコマーシャリズムを持ち込んで費用を捻出するのか、社会的な問題と捉えて予算を捻出するのか。また、各先生が独自で行なっている教材制作を分担し共有していく必要もあるのではないだろうか」とセミナーを締めくくった。

このような視点を持つ廣瀬氏の指揮のもと、アットホームジャパンは、“アットネットスクール”というブランドで教育分野への活動を行なっている。この夏には、関西でも大規模なサービスを展開するようだ。

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