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新しいビジネス案件が続々登場――大前研一氏プロデュ-スによるビジネスプランコンテスト“第1回ビジネスジャパンオープン”開催!!(前編) 

2000年03月29日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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29日、東京・港区のダスキン白金研修センターにおいて、大前研一氏プロデュ-スによるビジネスプランコンテスト“第1回ビジネスジャパンオープン”が開催された。ビジネスジャパンオープンは、有望な起業家たちを見出し、ベンチャー事業を支援していくためのプロジェクト“JAPAN-OPEN.COM”の一環として催されたもの。アイデアはあっても、資金や人的資源がないアーリーステージの起業家たちのために、ビジネスを支援するプラットフォームを作ることを目的としている。このイベントは、今後年2回ずつ開催する予定。

大前研一氏による開催のあいさつ。「今回は19歳から69歳まで、男性約9割、女性も1割程度と幅広い応募状況だった。学生の応募も約1割ほどあった」
大前研一氏による開催のあいさつ。「今回は19歳から69歳まで、男性約9割、女性も1割程度と幅広い応募状況だった。学生の応募も約1割ほどあった」



今回のプロジェクトで全国から集まったビジネス案件は合計381。最終選考を通過した12案の中から、大賞、トーマス・エジソン賞、モルガン賞、特別賞が選ばれた。

【特別賞】――ダウンロードの時間に動画CMを流す“ICMプロジェクト”に

“特別賞”を受賞したのは、“Kakaku.com”を立ち上げた菅谷俊二氏の“ICMプロジェクト”。これは、ゲーム、音楽配信などデジタルコンテンツ配信に特化した広告媒体を展開する事業である。Java技術を利用して、ファイルのダウンロードの待ち時間に、動画によるCMを流すというもの。

たとえば、音楽ファイルをダウンロードしている場合なら、アーティストのライブチケットの販売広告を、またプリンターメーカーならドライバーをダウンロードしている間に、そのメーカーの商品を売るといったことが考えられる。CMを使ってダイレクトマーケティングなども可能になる。菅谷氏は「すでに大手ゲーム会社からの打診も来ており、将来的には携帯電話など画面のある機器すべてにこのシステムを対応させていきたい」と抱負を語った。

“特別賞”を受賞した菅谷俊二氏(左)。授与者はソフトバンクの孫正義氏(右)
“特別賞”を受賞した菅谷俊二氏(左)。授与者はソフトバンクの孫正義氏(右)



プレゼンテーションにて。ダウンロードの待ち時間を利用してCMを流す
プレゼンテーションにて。ダウンロードの待ち時間を利用してCMを流す



【モルガン賞】――代表的なCADデータを変換する“建築向け動的CADデータ変換事業”

ジャンルに関係なく優れた案件に贈られる“モルガン賞”には、高橋君忠氏の“建築向け動的CADデータ変換事業”が選ばれた。

これは建築、CAD、インターネットを活用し、建築業界の情報化とコストの削減が図れるもの。現在、建築業界ではCADデータフォーマットがばらばらな状況*で、設計者が自分の使用しているCADソフトに合わせてデータを変換する必要がある。データ変換作業には時間が掛掛かるので、作図ルールのみで利用できる中間ファイルを使用し、それをインターネットで送る。個人の設計事務所から大手企業まで70万人を対象に、会員制にして収益を上げていく。将来的には建築業界の情報プラットフォームを目指したいという。高橋氏は、「基本システムの設計はすでに終了し、7月には稼動できる状態にあるが、実際に軌道に乗るには2年ぐらいは掛かるだろう」と予測している。

*CADデータフォーマットがばらばらな状況:CADのデータフォーマット代表的な、DXF(中間ファイル)、DWG、MPP、JWC(ネイティブファイル)という4つのデータ変換を行なうという

“モルガン賞”は、高橋君忠氏(右)の“建築向け動的CADデータ変換事業”に
“モルガン賞”は、高橋君忠氏(右)の“建築向け動的CADデータ変換事業”に



【トーマス・エジソン賞(GE賞)】――ウェブに電話機能を統合した“WebHotLine

” Eコマース分野において優れた案件に贈られる“トーマス・エジソン賞(GE賞)”には、村田利文氏の“WebHotLine”が選ばれた。

Eコマースで物を売る際に、サイトにアクセスする顧客の歩留まりが悪いこと、顧客単価が少ないといった問題点がある。実際に、現在あるオンラインショップは、いわゆる“ネットの自動販売機”状態になっており、新しいインターネット時代のB2Cモデルが期待されている。そこで、VoIP技術を利用し、ウェブに電話機能を統合、対話形式でサービスを行なう。これは、オンラインショッピングばかりではなく、ヘルパー的な使い方もできる。たとえば、入会案内の入力フォームなどが分からない場合などに、ウェブ上に置いてある電話アイコンを押せば、コールセンターにすぐ接続できるといったものだ。また、コンテンツプッシュ技術を使えば、画面を自動的に切り替えたり、といったこともできるようになるという。

ソフトフロント(株)の代表取締役、村田利文氏。これから電話を含めて、あらゆるものがIPベースになるという
ソフトフロント(株)の代表取締役、村田利文氏。これから電話を含めて、あらゆるものがIPベースになるという



インターネット電話を利用して、コールセンターから指示を受けているデモ
インターネット電話を利用して、コールセンターから指示を受けているデモ



【大賞】――数学的な手法とIT技術を利用した“ロジスティクス業務の包括的アウトソーシング受注事業”

“大賞”に輝いたのは嶋正和氏の“ロジスティクス業務の包括的アウトソーシング受注事業”である。これは、物流資産を持たずに、企業の物流関連サービスを全体で請け負うという事業である。企業全体の情報を調べて、トータル的にどのように物を流していけばよいのか、倉庫をどのように活用すればよいか、などを考えるもの。ロジスティクス業務は、従来、勘と経験に頼っていた部分が大きい。企業内でも部門別にばらばらになっていた。これを数学的な手法とIT技術によってシミュレーションし、最適化した仕組みを構築することで、物流費のコストを下げる。収益は成功報酬を考えている。5月に会社を設立するという。

受賞の喜びを語る嶋正和氏(左)。「B2Bも大切だが、実際に日本のビジネスを支えている物流業務も大切である」と語った。
受賞の喜びを語る嶋正和氏(左)。「B2Bも大切だが、実際に日本のビジネスを支えている物流業務も大切である」と語った。



最終選考通過者および受賞者の揃い踏み。前列1列目左から、菅谷氏(特別賞)、高橋氏(モルガン賞)、大前氏、村田氏(トーマス・エジソン賞)、嶋氏(大賞)
最終選考通過者および受賞者の揃い踏み。前列1列目左から、菅谷氏(特別賞)、高橋氏(モルガン賞)、大前氏、村田氏(トーマス・エジソン賞)、嶋氏(大賞)

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