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【秋葉原TV 2 Vol.2】秋葉原の音と『ソニック・インターフェイス』が生み出す音の異世界

2000年03月23日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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16日よりスタートした、世界最大の電気街・秋葉原を舞台としたビデオインスタレーション“秋葉原TV 2”。会期中はアーティストによるパフォーマンスや作家によるトークセッショッンといったさまざまなスペシャルイベントも催されている。19日から20日の2日間は、前林明次氏によるパフォーマンス『ソニック・インターフェイス』が行なわれた。

再構成されたサウンドと実風景のギャップが生み出す異世界

3連休でにぎわう秋葉原の街頭では、19、20日の2日間にわたって、アーティストの前林明次氏によるパフォーマンス『ソニック・インターフェイス』が行なわれた。このソニック・インターフェイスは、人の聴覚器官(つまり耳)を拡張し、ソニック・インターフェイスによって再構成された“音”と、被験者が実際に見ている風景との間に生じるズレを体験するものだ。

ソニック・インターフェイスはひとりずつ体験する。スリープしないように半閉じにし、可動する状態のPowerBook G3が入ったリュックを背負い、マイク付きのヘッドフォンを装着、秋葉原の歩行者天国を徘徊してくる、というもの。このソニック・インターフェイスを装着した姿は、端から見ればヘビーなヘッドフォンを付けた音楽フリークにしか見えない。

ソニック・インターフェイスは、PowerBook G3の入ったリュックとヘッドフォンという出で立ちで街中で体験するものだが、見た目にはすっかり秋葉原の街に溶け込んでいるソニック・インターフェイスは、PowerBook G3の入ったリュックとヘッドフォンという出で立ちで街中で体験するものだが、見た目にはすっかり秋葉原の街に溶け込んでいる



しかし、この外部の音を完全に遮断する大型ヘッドフォンから流れてくる音は、リアルタイムにマイクで拾った秋葉原の街中の音を、PowerBook G3の中で特別なプログラムで再構成したサウンドなのだ。マイクで拾った周囲の音や話し声などは、プログラムを通過する課程で、遅れて聞こえたり、ノイズが混じったりする。そのため、本人が実際に見ている風景と聞こえる音に少しずつズレが生じてくる。自分を取り巻く環境と感覚がすっかり変わってしまうのだ。

秋葉原のパワーがソニック・インターフェイスを圧倒

前林氏によれば、室内でのパフォーマンスは何度か試みており、昨年は東京・青山界隈で屋外パフォーマンスもした、という。

今回、この時のプログラムを使用したわけだが、「実際、初日(19日)に、この秋葉原で行なったときは、ぜんぜんだめでした。秋葉原の街や訪れている人たちのパワーの方が強くて、負けてしまっていたんです」と語った。

つまり、店頭から流れ出る雑音、街や人の熱気やパワーが強く、ソニック・インターフェイスで再構成しても、ほとんど効果が出なかった、ということだ。青山のような街に比べたら、街の生み出すパワーが違う、ということだろう。

結局、前林氏は、プログラムにかなりのチューニングを施し、2日目に備えた。チューニングされてパワーアップしたソニックインターフェイスを、来日している作家やテーブルトークの参加者などが次々に体験し、その不思議な音世界を楽しんでいた。

ソニック・インタフェースを体験しようとしているマニュエル・サイス氏に説明をする前林明次氏。この時点で被験者は、前林さんの言葉が数秒遅れて聞こえる状況を体験している
ソニック・インタフェースを体験しようとしているマニュエル・サイス氏に説明をする前林明次氏。この時点で被験者は、前林さんの言葉が数秒遅れて聞こえる状況を体験している



なお、こうした秋葉原の街頭でのアーティストによるパフォーマンスは、26日にも予定されている。

クリスティン・ルーカス氏の『サイマルキャストモバイルキット#1』は、同日の午後に秋葉原歩行者天国周辺で催される予定。アンテナのついたヘルメットにオレンジのツナギに注意していただきたい。また、アレスデール・ダンカン氏によるパフォーマンス『The New Future II』は、同日午後2時ごろから西川無線Duty Free Squareの店頭において行なわれる予定。

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