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カプコン、ワイヤレスネットワーク機能搭載のマルチメディア端末を全国展開すると発表

2000年03月23日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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(株)カプコンは23日、都内のホテルで記者発表会を開き、同社が全国の携帯電話ショップに展開しているマルチメディア端末『着メロコレクション』に、PHS端末を搭載して、ワイヤレスのオンラインシステムを構築すると発表した。また、CCDカメラやカラープリンターを搭載した高機能端末『タウンサーバーAZ-NAVI』も投入していくという。

(右から)京セラの西口泰夫代表取締役社長、カプコンの辻本憲三代表取締役社長、DDIポケットの岡田健代表取締役社長
(右から)京セラの西口泰夫代表取締役社長、カプコンの辻本憲三代表取締役社長、DDIポケットの岡田健代表取締役社長



カプコンの着メロコレクションは、携帯電話に対して、いわゆる着信メロディーや、着信待ち受け時の液晶表示用キャラクターをダウンロード販売する店頭用の端末で、現在全国に3000台が設置されている。従来、データの入れ替えなどのメンテナンスに際しては、サービスマンが内蔵のCD-ROMを入れ替えることで行なっていた。

西口京セラ社長が掲げているのが、着メロコレクションに付加されるPHS端末
西口京セラ社長が掲げているのが、着メロコレクションに付加されるPHS端末



この3000台の着メロコレクション端末を、京セラ(株)製PHS端末を取り付け、DDIポケット(株)のPHS公衆回線網を利用することで、ワイヤレスネットワーク端末化したという。これによって、有線ネットワークを利用した端末に比べ、設備工事が不要で設置場所の移動も容易というメリットが得られる。また、ネットワークで接続されることで、データのアップデートやメンテナンスが可能という特徴を生かした営業を強化し、高機能の新端末『タウンサーバーAZ-NAVI(エージナビ)』とあわせて、初年度2万台の普及を目指すとしている。

タウンサーバーAZ-NAVIのイメージ
タウンサーバーAZ-NAVIのイメージ



AZ-NAVIは、同社が4月以降に投入を予定している多機能端末で、CCDカメラ、カラープリンター、タッチペン、マイク、スキャナー、メモリーメディアスロット、紙幣識別機、PHSなど、顧客のニーズに応じてさまざまなハードウェア機能を追加することが可能という。

着メロコレクション、AZ-NAVIによる将来のネットワーク概念図
着メロコレクション、AZ-NAVIによる将来のネットワーク概念図



着メロコレクションとAZ-NAVIによって展開される予定のネットワークシステムでは、PHS回線(64Kbps)によって、バックボーンネットワーク(第二電電)に接続、バックボーンネットワークはコンテンツを提供するセンターサーバー(カプコン)と、ユーザーデータ管理や音楽データの著作権管理、ユーザーに会わせたデータ変換を行なうデータセンターサーバー(京セラコミュニケーションシステム)に接続されている。ユーザーへのデータ配信は、端末に対してだけでなく、例えばインターネット上のメールアドレスに対しても可能で、「友達へ着メロをプレゼントすることもできる」としている。

提供予定のコンテンツは、待ち受け画面用キャラクター、ゲーム、音楽、写真シール、エンターテイメント情報などで、当初はカプコン1社で提供するが、将来は他社の参入もあり得るとしている。

さらにカプコンでは、おなじネットワークインフラを利用して、キーボードの操作などパソコンが難しいと考えているような家庭や、高齢者などに向けた、家庭用の端末を計画していることが明らかにされた。会員制のネットワークサービスとあわせて提供する予定だが、価格やサービス、ハードウェアの詳細は明らかにされなかった。年内に試験運用を開始する予定という。

記者からカプコンに対し「なぜインフラとしてDDIポケットを選んだのか」という質問も出たが、これについては、「電波ネットワークの安定度、容量、コストを総合して検討した結果」(辻本社長)ということであった。

今まで、自動販売機の在庫情報の通知などにPHS網を使う例はあったが、積極的にネットワークインフラとして利用する例は、おそらく今回が初めてのもの。PHSキャリアー側から見ると、今後は個人ユーザーの大幅な増加は考えづらい状況であり、これからも、企業と手を組んださまざまなサービスの登場が予想される。

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