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アナログ・デバイセズ、富士フイルムと共同でCCDシグナルプロセッサーを開発と発表

2000年03月21日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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米アナログ・デバイセズ社は21日、富士写真フイルム(株)と共同でデジタルカメラ向けのCCDシグナルプロセッサーを開発したと発表し、都内で記者発表会を開いた。A/Dコンバーターに12bitタイプを採用した上、アナログ・デバイセズ社の“PxGA(ピクセルゲイン)”技術を搭載。滑らかな階調表現など画質の向上が実現できたという。

『FinePix 4700Z』に搭載された新プロセッサー(左端) 『FinePix 4700Z』に搭載された新プロセッサー(左端)



共同開発したプロセッサーは、A/Dコンバーターなど信号処理部分を含むアナログフロントエンドと、CCDとアナログフロントエンド間で効率よく信号伝達ができるようタイミングを調節する“タイミングジェネレータ”部分の計2コンポーネントを1チップに納めたもの。

新プロセッサーを搭載することで、画像の色の深みや滑らかな階調表現が実現でき、システム全体の性能もアップしたとしている。3月1日に発売された富士写真フイルムのデジタルカメラ『FinePix 4700Z』に搭載されているほか、同社が今夏にも発売を予定する一眼レフタイプのデジタルカメラ『FinePix S1 Pro』にも採用される予定という。

新プロセッサーでは12bitのA/Dコンバーターを搭載し、これは民生用のデジタルカメラでは初めてとしている。またPxGA技術により、CCDからの信号を処理する過程で発生するノイズを低減できたという。CCDはカラーフィルターを利用して被写体の色情報を出力するが、色ごとに感度が異なるため、出力される信号の振幅も色ごとに異なる。同技術では各色信号の振幅をそろえるもので、これにより低感度な画素のS/N比を向上させ、A/Dコンバーターのダイナミックレンジを効果的に活用できるようになるという。

また新プロセッサーは低消費電力で動作する点が特徴。従来品が18MHz動作時で消費電力は160mWだったのに対し、新プロセッサーは25MHz動作時で115mWに抑えられているという。

共同開発では、富士写真フイルムはCCD関連の技術などを提供。製品は同社向けのカスタム製品のみだが、タイミングジェネレーターを内蔵していない汎用製品はすでに出荷を開始している。

左から、アナログ・デバイセズ(株)社長の杉口昌三氏、米アナログ・デバイセズ社副社長のジョン・ハッセー氏、富士写真フイルム電子映像事業部設計部課長の玉山宏氏
左から、アナログ・デバイセズ(株)社長の杉口昌三氏、米アナログ・デバイセズ社副社長のジョン・ハッセー氏、富士写真フイルム電子映像事業部設計部課長の玉山宏氏



記者発表会で、アナログ・デバイセズ社高速コンバータ製品担当副社長のジョン・ハッセー(John Hussey)氏は、「12bitのA/Dコンバーターを搭載したことで画像の色の深みが増した上、PxGA技術により色の再現性が向上している」と新プロセッサーの優れた点を強調した。

また「日本はコンシューマー市場で高性能な製品が要求されている。アナログチップは産業機器から通信やコンシューマー向け製品へとニーズが移行しつつあるため、その意味でも日本は重要な市場だ」と述べた。今後も大手メーカーとの共同開発で高性能な製品の開発に取り組んでいくという。

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