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【INTERVIEW】「一歩一歩着実にPalmを浸透させたい」――日本法人設立を発表したパーム社の漢城かおる氏

2000年03月17日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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米パーム社は16日、日本法人を設立して同社のPDA『Palm IIIc』『Palm Vx』の国内販売に乗り出すと発表した。国内では日本アイ・ビー・エム(株)がOEM供給を受けて販売する『WorkPad』シリーズがあるが、シャープ(株)の『Zaurus』やWindows CEマシンに比べユーザー数はいま一歩及ばない。パーム社が直接販売に乗り出すことで、「戦略的な市場」という国内PDA市場でのてこ入れを図る狙いもある。パーム社アジアパシフィック担当プロダクトマネージャーの漢城かおる氏に、日本での販売戦略などを聞いた。

漢城かおる(あやき・かおる)氏。神奈川県出身で、モルガンスタンレー証券日本支社、米Day-Timer Technology社などを経て、'98年6月から現職 漢城かおる(あやき・かおる)氏。神奈川県出身で、モルガンスタンレー証券日本支社、米Day-Timer Technology社などを経て、'98年6月から現職



パームと補い合うパートナー

――パーム社日本法人の設立で国内市場での製品販売が始まりますが、すでに日本では日本アイ・ビー・エム(株)が『WorkPad』シリーズを販売しています。両者の関係はどうなるのでしょうか。

「日本IBMは企業ユーザー向けに強みがあり、パームはコンシューマー向けに強い。ハードが同じでも、バンドルソフトの内容も異なるし、販売戦略も変わってくる。お互いに競合はせず、横並びで販売していくつもりです」

「パームのパートナー戦略は、我々の守備範囲以外の分野を補ってもらうという狙いがあります。インフォテイメント(情報とエンターテイメントの融合)”のソニー(株)、携帯電話のノキアなど、各分野で秀でた企業と提携しています。当社の製品では応えられないニーズに対応してもらい、Palm OSの世界を広げていきたい。パイを食い合うのではなく、パイを広げていくのが狙いです。今後はパームの製品とソニーの製品を両方持っているユーザーも出てくるかもしれませんね」

『Palm IIIc』
『Palm IIIc』



――カラー液晶ディスプレー搭載の『Palm IIIc』の価格は4万9800円。予想以上の低価格に驚く人も多いようですが。

「Palmはパソコンに取って代わるデバイスではなく、パソコンと機能を補い合うものです。10万円でパソコンが購入できる時代では、ある程度は低価格でないと受け入れてもらえないと考えています。今後はメモリー容量を減らした安価な製品の投入も考えています」

まずは販売店員にPalmを知ってもらいたい

――世界市場でトップとはいえ、日本での知名度は高いとはいえないようです。国内での販売戦略を教えてください。

「店頭販売員の方への教育など、地道な努力が必要だと思っています。米国では販売店向けのセミナーを開催したり、説明用のマニュアルや店頭のPOPディスプレーを制作して配布したりしています。とにかく消費者に直接販売する店員さんに製品を理解してもらわないと。来週から早速、日本法人のスタッフが二手に分かれて日本全国を回り、販売店向けのセミナーを開催します」

「米国のユーザーのうち、9割は友人の紹介によるものです。日本でも口コミのすごさは認識していますから、マスコミに積極的に取り上げてもらうことも必要でしょう。知ってもらうという意味では、ソニーが製品を発売すれば当社にとってもいい宣伝効果になりますね」

「ユーザーが増えてくれば、それに合わせた品揃えも必要になる。サードパーティーの豊富な周辺機器やソフトも日本ではあまり知られていません。日本のサイトに各種の製品を紹介するという方法もあります。幅の広い製品群を、いろいろと組み合わせてユーザーに提供できればと考えています」

「まずは一歩ずつ着実に進んでいくつもりです。最初から全部の課題に取り組もうとしても、我々にはそこまでの体力はありません。これから本腰を入れて頑張っていきます」

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