米ECnet社は17日、日本法人を設立して国内市場に本格的に参入すると発表し、都内で記者発表を行なった。同社はB
to B(企業間)の電子商取引(EC)を行なうインターネット上の仮想市場を運営しており、特にハイテク製造業向けに特化している点が特徴。日本法人では新規顧客の獲得に力を入れ、近くサービスの日本語化も行なう予定としている。
左から、日本法人社長に就任した小口武氏、本社上級副社長のパット・キャセイ氏、同アジア担当副社長のクリス・クローリー氏 |
同社はシンガポールで設立され、アジア各国を中心に営業を展開している。今月、社名を変更しており、旧社名はAdvanced
Manufacturing Online(AMO)社。日本法人は“イーシーネット株式会社”で、17日付で都内に設立。'99年6月に日本支社を設立しているが、国内での営業強化を図って法人化した。資本金1000万円で、本社が100パーセント出資。社長には日本支社長を務めた小口武氏が就任した。社員は小口氏を含め3人で、年内には10人程度に増強する予定という。
ハイテク企業間のECマーケット“ECpart”などのサービスを提供している。ECpartではまず、売り手企業が部品の在庫状況を登録。買い手側はサイトを通じて発注し、部品を調達する。買い手と売り手は互いに匿名での取引も可能。決済や配送もECnet社が仲介する。利用する企業は毎月の定額料金を支払うほか、取引ごとのデータ量に応じて課金される仕組みとなっている。
また社名ともなった“ECnet”サービスは、企業間の基幹システムをインターネット経由で接続するプラットフォーム。受発注や物流と企業のERPシステムを直接連動させ、在庫管理や製品管理を統合、ECと直結したSCM(Supply
Chain Management)を実現できるという。このサービスを利用することで、在庫管理コストの削減や新製品への素早い対応などが可能になるという。
同社によれば、サービスを利用している企業は米ヒューレット・パッカード社や松下電器産業(株)、オランダのフィリップス社ら約1000社。月間の取引は10万件、5億円(約530億円)に上るという。
記者発表に出席した同社アジア地域担当副社長のクリス・クローリー氏は、「我々はハイテク製造業に特化している分、業種特有のニーズに応えることができる」と語り、同社のサービスが他のECプラットフォームと異なる点を強調した。
日本法人の社長に就任した小口氏は、「国内の顧客のために、サービスの日本語化を近く行なう。既存の顧客に新しいサービスとサポートを提供するほか、新規顧客の獲得にも力を注ぎたい」と抱負を語った。