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インテル、Itaniumに関する記者説明会を開催――日本電気、日立、富士通がItanium搭載機を展示

2000年03月17日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は16日と17日の両日、東京・港区で開発者に向けて“インテル・デベロッパ・フォーラム '00 Spring Japan”(IDF Japan)を開催した。17日には、今年後半に正式リリースが予定されている64bitプロセッサー“*Itanium(アイティニアム)”の、報道関係者向け説明会が開かれた。会場には、日本電気(株)、(株)日立製作所、富士通(株)のItanium搭載サーバーが展示された。

*Itanium:以前は“Merced”というコードネームで知られていた。また、日本語での正式な表記は決まっていない。“アイティニアム”は広報代理店による表記。

今日の発表内容は、先月15~17日に米カリフォルニア州パームスプリングスで開かれた、“IDF Spring 2000”での説明と同じであるが、Itaniumについて、インテルが記者向けに説明を行なうのは、日本では今回が初めて。また、Itanium搭載システムが紹介されるのも、昨年12月の日本電気のプライベートショー“Express World '99”以来のこととなる。

米インテル、IA-64マーケティングマネージャのリサ・ハンブリック氏
米インテル、IA-64マーケティングマネージャのリサ・ハンブリック氏



米インテル社、IA-64マーケティングマネージャのリサ・ハンブリック(Lisa Hambrick)氏から、Itaniumに関する現在の状況について、説明が行なわれた。それによると、Itanium搭載システムは、ソフトウェアおよびハードウェアの開発を行なうメーカーを対象に、2000システムが稼働中。

Itanium搭載システムのメーカーとしては、米コンパックコンピュータ社、米IBM社、米ヒューレット・パッカード社、米デルコンピュータ社、米ユニシス社、米SGI社、フランスのBull社、NEC、富士通、日立など15社が開発を行なっている。Itaniumが正式に出荷されるのは今年後半とされているが、年内に30システムが発表予定としている。

8プロセッサーをサポートするチップセットも、NEC、日立など各社が開発しており、2プロセッサー搭載のワークステーションや、4から512プロセッサーを搭載するサーバーが計画されているという。

Itaniumをサポートする64bitOSについては、米マイクロソフト社の『64bit版Windows 2000』、米IBMの『Monterey』、米HPの『HP-UX』、『Linux』、米ノベルの『Modesto』、米サン・マイクロシステムズの『Solaris』の6つが開発中で、まもなくそれらのOSのβリリースが始まるとしている。アプリケーションについても、米オラクル社の『Oracle』、ドイツのSAP社の『SAP』といったデータベースや営業支援システムなどが、試験稼働中であるという。

プロセッサー自身の情報については、最初のリリースが800MHz駆動のものになることや、カートリッジに4MBの3次キャッシュ(オンダイキャッシュではない)を搭載すること、システムバス速度が毎秒2.1GBであることなどが示された。

800MHzという動作クロックはPentium IIIよりも低いクロックになるが、*EPICテクノロジーによって、1クロックあたり最高20命令を処理することができる。「クロックは1つの指標にすぎない」(ハンブリック氏)としている。なお、Pentium IIIなどのP6コアでは、1クロックあたり5命令程度という。また、『UltraSPARC III』や『PA-8600』といった現行のRISCプロセッサーと比較して、トランザクション処理や浮動小数点演算に優れるとしている。

*EPIC:(Explicitly Parallel Instruction Computing:明示的並列命令セットコンピューター)インテルとHPが、IA-64に向けて共同で開発した並列処理技術。

IA-64プロセッサーの今後のロードマップも示されたが、それによると、Itaniumの後継となる“McKinley”(マッキンリー:コードネーム)は2001年後半、さらにその後継となる“Madison”(マジソン:コードネーム)は2002年に投入予定。McKinleyではItaniumと比較して、バスが高速化されるほか、同時に実行できる命令数の増加、3次キャッシュのオンダイ化が行なわれる。Madisonについては、0.13μmプロセス技術で製造されることが明らかにされた。

クリックすると拡大されます
IA-64プロセッサーのロードマップ ※クリックすると拡大します



右側に見える大きな筐体が、Itaniumを最大16基搭載可能な“AzusA”(あずさ:コードネーム)。NECでは、エンタープライズ向けサーバー『TX7シリーズ』(現在はPA RISCプロセッサーを搭載)に追加する形で、Itanium搭載サーバーを投入する予定。Itaniumの浮動小数点演算の高速性を生かして、科学技術計算用途を中心にマーケティングを行なうとしている
右側に見える大きな筐体が、Itaniumを最大16基搭載可能な“AzusA”(あずさ:コードネーム)。NECでは、エンタープライズ向けサーバー『TX7シリーズ』(現在はPA RISCプロセッサーを搭載)に追加する形で、Itanium搭載サーバーを投入する予定。Itaniumの浮動小数点演算の高速性を生かして、科学技術計算用途を中心にマーケティングを行なうとしている



なお、NECは17日、同社のスーパーコンピューター『SXシリーズ』や『TX7シリーズ』で稼働している『科学技術計算ライブラリASL』、『科学技術計算統計機能ASLSTAT』を、Itaniumサーバー向けに移植することや、Itanium搭載のグラフィックワークステーションを開発すると発表した。またHP-UX用の各種設計、解析プログラムを提供している独立系ソフトウェアベンダーに対して、Itanium搭載サーバーやワークステーションへの移植と最適化を働きかけるとしている。

Itanium4基を搭載する、日立の高密度CPUボード。このCPUボード2枚を使って、19インチラックで10Uの8wayサーバーを構成する。黒く見えるのがItanium(とそのヒートシンク)で、金色に見えるのはその電源のヒートシンク。64GBのメモリーが実装されている
Itanium4基を搭載する、日立の高密度CPUボード。このCPUボード2枚を使って、19インチラックで10Uの8wayサーバーを構成する。黒く見えるのがItanium(とそのヒートシンク)で、金色に見えるのはその電源のヒートシンク。64GBのメモリーが実装されている



富士通は企業サーバー『GRANPOWER5000』シリーズと、ワークステーション『FMV-PRO』シリーズのそれぞれにおいて、Itaniumの正式出荷に合わせて、搭載モデルを投入する予定としている
富士通は企業サーバー『GRANPOWER5000』シリーズと、ワークステーション『FMV-PRO』シリーズのそれぞれにおいて、Itaniumの正式出荷に合わせて、搭載モデルを投入する予定としている

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