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「日本のハンドヘルド市場でもトップ目指す」――米パームCEOのヤンコフスキー氏

2000年03月16日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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日本法人設立を発表した米パーム社CEOのカール・ヤンコフスキー(Carl Yankowski)氏は16日、都内で開かれた記者発表会に出席し、「米国や欧州と同様、日本のハンドヘルド機器市場でもトップを目指す」などと語った。Palmファミリーの普及促進のため、ハードとソフトに加え「付加価値のあるコンテンツを提供したい」としてコンテンツプロバイダーや移動体通信事業者との提携を重要視していくという。

日本法人設立を発表するヤンコフスキー氏
日本法人設立を発表するヤンコフスキー氏



ヤンコフスキー氏はまず、Palmシリーズが他のPDAより優れた点を指摘。「我々はコンシューマーに最もフォーカスした企業だ。プログラミングが簡単なデベロッパーキットも提供し、続々とアプリケーションが誕生している。Windows CEマシンと比べ非常にシンプルな構成を採用し、製品ラインナップも幅広い」。ヤンコフスキー氏は「Palmはシンプル」であることを繰り返し強調、シンプルながら多くの周辺機器やアプリケーションを追加すれば、さまざまな用途に柔軟に対応でき拡張性も高いことをアピールした。

販売戦略については、現状のユーザーの多くがビジネスマンであることから、「これからは一般コンシューマーにも普及を図っていく。そのために小売りで100ドル(約1万500円)以下の価格帯でも努力したい」として廉価版モデルの投入を示唆した。

「CIAのために特別なアプリケーションを開発できないか検討中……今話すと暗殺されてしまうが」と笑いを誘ったヤンコフスキー氏
「CIAのために特別なアプリケーションを開発できないか検討中……今話すと暗殺されてしまうが」と笑いを誘ったヤンコフスキー氏



今後の製品計画については、「すべての機種についてカラー液晶化を図りたい。多彩な本体カラーを選べるよう、スナップオンできるカバーも用意していきたい」とした。加えて「USBのサポートやメモリー容量の拡張も検討している。さらに、より小型のフォームファクターを用意する」という。だが「テクノロジーのためのテクノロジーに我々は興味はない」とし、「Palmで電子マネーを扱う“デジタルウォレット”構想もある。あくまでもソリューションを中核としていく」と述べ、プロダクト企業と見られることには反発した。

さらに続けて、「パームは必ず成長する。プロダクトとアプリケーションだけではなく、付加価値のあるコンテンツ分野にも力を入れていく」と述べた。そのためにも、PDA機能を持つ携帯電話“スマートフォン”分野での米モトローラ社やフィンランドのノキア社、米QUALCOMM社、AV機能を重視したPalm OS互換機を今夏にも発売するとされるソニー(株)など、OSのライセンスを提供した各社とのパートナーシップを重視していくという。

また同社のサイト“Palm.net”を「スーパーポータルにしたい」と語った。このため、グローバルパートナーシップを締結済みのエヌ・ティ・ティ 移動通信網(株)(NTTドコモ)のようなキャリア各社、同じくパートナーの米AOL、米ヤフーのようなコンテンツプロバイダーとの関係強化を図っていく方針を示した。

同社は3月2日に米NASDAQに株式公開をしたばかり。公開直後から急騰したものの、一転して下げるというネット株同様の乱高下が注目を集めた。株式公開についてヤンコフスキー氏は、「若干の混乱はあったものの、公開は成功だ」と自信を見せた。

ヤンコフスキー氏は'99年12月にCEOに就任したばかり。米ポラロイド社アジア太平洋地域担当会長、米ソニーエレクトロニクス社長兼COO、米リーボック社CEOを歴任している ヤンコフスキー氏は'99年12月にCEOに就任したばかり。米ポラロイド社アジア太平洋地域担当会長、米ソニーエレクトロニクス社長兼COO、米リーボック社CEOを歴任している



日本法人社長に就任したクレイグ・ウィル(Craig Will)氏は、スリーコムジャパン(株)パームコンピューティング事業本部ディレクターを務めていた 日本法人社長に就任したクレイグ・ウィル(Craig Will)氏は、スリーコムジャパン(株)パームコンピューティング事業本部ディレクターを務めていた



日本法人の社長に就任したクレイグ・ウィル(Craig Will)は、設立の理由について説明。第1の理由は米本社の分社化に伴うものだが、「戦略的な市場」(ウィル氏)である日本でのシェア拡大も重要課題だ。ウィル氏は「ソニーとパートナーシップを結んだように、別の国内企業との提携も手伝っていきたい」と語る一方で、「すでに国内にも1000人以上のデベロッパーが登録されている。彼らのサポートが一番大事な仕事かもしれない」とサポートを重要視する姿勢を見せた。このため同日、国内にインフォメーションセンターとサポートセンターを開設したことも明らかにした。

Palm OS搭載機では、日本アイ・ビー・エム(株)の『WorkPad』シリーズが販売されている。ウィル氏は「WorkPadのターゲットはビジネスユーザーであり、我々とは異なる」とし日本IBMと競合し合うのではなく、市場を互いに拡大していきたいとした。

パーム社アジアパシフィック担当プロダクトマネージャーの漢城かおる氏。「財布に家族の写真を入れていた方は、これからはPalm IIIcに入れたらどうでしょうか」 パーム社アジアパシフィック担当プロダクトマネージャーの漢城かおる氏。「財布に家族の写真を入れていた方は、これからはPalm IIIcに入れたらどうでしょうか」



Palm IIIc用デジタルカメラ『PalmPix』を発表したコダック(株)取締役でデジタルイメージング事業部長の新堀進氏。「Palm IIIcとPalmPixはベストコンビネーション」 Palm IIIc用デジタルカメラ『PalmPix』を発表したコダック(株)取締役でデジタルイメージング事業部長の新堀進氏。「Palm IIIcとPalmPixはベストコンビネーション」

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