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タカラ、トミー、バンダイの玩具メーカー3社とロボカップ国際委員会が共同で“ロボカップ・トイズ”を創設

2000年03月14日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)タカラ、(株)トミー、(株)バンダイの玩具メーカー3社と、ロボカップ国際委員会は、共同で新ジャンル“ロボカップ・トイズ”を創設することで合意したと発表、本日都内ホテルで記者発表会を行なった。


ロボカップ・トイズは、各種センサーや複数モーターなど、ロボットの要素を取り入れたおもちゃ“ロボットトイ”を使ってサッカーゲームを模した競技を行なう新ジャンル。ロボカップ委員会は、現在ロボカップ・トイズの規格を作成中で、今後玩具メーカー各社と協議しながら、最終決定する。玩具メーカーは、ロボカップ・トイズの規格に準拠したロボットトイをそれぞれ発売する。ロボットトイは、既存の玩具と同様におもちゃ売り場など玩具流通経由がメインで販売されるが、他の流通経路での販売も行なうという。

各社のロボットトイ製品が発売された後、競技会“ロボカップ・トイリーグ”(仮称)が行なわれる。競技ルールは、基本的に“ロボカップ”の小型機リーグのゲームルールに準拠する。複数のロボットトイでチームを編成し競技を行なうもので、ロボットトイのサイズに応じて4つのリーグクラスが設けられる。ロボカップ・トイズの規格に準拠しているロボットトイでのみ参加でき、複数メーカーのロボットトイを組み合わせてチームを編成することも可能。

 ロボカップ・トイズ規格準拠のロボットトイには“ロボカップ・トイズ”マークが付いている ロボカップ・トイズ規格準拠のロボットトイには“ロボカップ・トイズ”マークが付いている



タカラ、トミー、バンダイの3社がロボカップ・トイズ準拠の試作機を披露

タカラ、トミー、バンダイの3社は、ロボカップ・トイズ準拠のロボットトイの試作機を発表会場で披露している。

タカラのロボットトイ『EX2000RCT』(仮称)。左右独立駆動のロボットトイで、前進、後退、左右旋回が可能。本体サイズは幅150×奥行き180×高さ85mm、重量は560g。電源は単3電池×3と006P電池×1。本体を操作してボールを移動できるほか、前面の“ストライカーフィギア”を前後に動かすことで目の前のボールを蹴ることも可能。転倒した際、アームを使って自力で起き上がる転覆復帰機能を搭載する。価格は4980円タカラのロボットトイ『EX2000RCT』(仮称)。左右独立駆動のロボットトイで、前進、後退、左右旋回が可能。本体サイズは幅150×奥行き180×高さ85mm、重量は560g。電源は単3電池×3と006P電池×1。本体を操作してボールを移動できるほか、前面の“ストライカーフィギア”を前後に動かすことで目の前のボールを蹴ることも可能。転倒した際、アームを使って自力で起き上がる転覆復帰機能を搭載する。価格は4980円



バンダイのロボットトイ『バトルクロス』(仮称)。4輪駆動で、前進、後退、左右旋回が可能。本体サイズは幅145×奥行き205×高さ220mm、重量は850g。電源は単3電池×4。既存のロボット型デザインで、上半身にもモーターを内蔵しており、ストレートパンチ/マシンガンパンチでロボットトイ同士の殴り合いもできる(ロボット・トイリーグでは殴り合いは禁止)。また、音声合成ICを内蔵する。価格は7980円バンダイのロボットトイ『バトルクロス』(仮称)。4輪駆動で、前進、後退、左右旋回が可能。本体サイズは幅145×奥行き205×高さ220mm、重量は850g。電源は単3電池×4。既存のロボット型デザインで、上半身にもモーターを内蔵しており、ストレートパンチ/マシンガンパンチでロボットトイ同士の殴り合いもできる(ロボット・トイリーグでは殴り合いは禁止)。また、音声合成ICを内蔵する。価格は7980円



トミーのロボットトイ『RCT-2000L』(仮称)。左右独立駆動で、前進、後退、左右旋回が可能。本体サイズは幅130×奥行き180×高さ125mm、重量は515g。電源は単3電池×3と006P電池×1。ウィリー走行や、前輪を上げての直立走行が可能。卓球台サイズの競技フィールドのゴールからゴールまでを3秒以内で移動するターボ走行も行なえる。価格は4980円
トミーのロボットトイ『RCT-2000L』(仮称)。左右独立駆動で、前進、後退、左右旋回が可能。本体サイズは幅130×奥行き180×高さ125mm、重量は515g。電源は単3電池×3と006P電池×1。ウィリー走行や、前輪を上げての直立走行が可能。卓球台サイズの競技フィールドのゴールからゴールまでを3秒以内で移動するターボ走行も行なえる。価格は4980円



3製品とも、規格に準拠した赤外線コントローラーを使って操作する。それぞれ半完成品(一部キット仕様)として出荷される。発売はそれぞれ年内の予定。将来的には、育成/成長といった要素を含め、自律思考ユニットや音声認識ユニットなど、さまざまなユニットを追加提供していくという。

玩具メーカー3社の社長が揃って壇上に並んだ発表会場

発表会場には、ロボカップ国際委員会委員長の北野宏明氏、バンダイ代表取締役社長の高須武男氏、トミー代表取締役社長の富山幹太郎氏、タカラ代表取締役社長の佐藤慶太氏が登場した。

左から、ロボカップ国際委員会委員長の北野宏明氏、バンダイ代表取締役社長の高須武男氏、トミー代表取締役社長の富山幹太郎氏、タカラ代表取締役社長の佐藤慶太氏。玩具メーカー3社の社長が一堂に会したのは今回が初めてとのこと
左から、ロボカップ国際委員会委員長の北野宏明氏、バンダイ代表取締役社長の高須武男氏、トミー代表取締役社長の富山幹太郎氏、タカラ代表取締役社長の佐藤慶太氏。玩具メーカー3社の社長が一堂に会したのは今回が初めてとのこと



北野氏は、ロボカップ・トイズについて説明。「ロボカップは、“2050年までに完全自律型のヒューマノイドロボットチームで、サッカーのワールドカップチャンピオンに勝つ”をコンセプトにした草の根型の国際共同プロジェクト。各国政府機関には属さず、世界40ヵ国で3000人以上の研究者や学生が取り組んでいる。サッカーロボットを作るという過程で、ロボットに関するさまざまな技術が作られると想定され、その技術を災害救助ロボットなどさまざまなロボット用途に波及させようという目標を設定している。また、プロジェクトにおける研究成果の発表の場として、競技会を行なっている」

北野宏明氏北野宏明氏



「ロボカップは、ロボット技術の将来を担う研究者を育てる環境を作ることももミッションの1つ。今回のロボカップ・トイズを、子供たちがロボットに興味を持つ取っ掛かりとしたい。玩具メーカーには、社会的役割の1つとして次世代の子供たちを育てようという理念に賛同してもらった。今後は規格の標準化案を玩具メーカーと相談しながら提示していく。今回は、偶然国内の玩具メーカー3社との発表になったが、今後、他の国内外メーカーに参加を呼びかけ、国際的な規格にしていく」

「メーカーがどのようなアイデアを盛り込んで製品化してくれるか期待している。企業間で切磋琢磨する競争の場でもあるだろう。子供たちが創造性を発揮できるような製品を期待する。5年、10年かけて成熟していけばいいと思っている。ロボットブームに便乗したものではなく、長期的に次世代を担う子供たちのための製品を作っていただきたい。ロボットをモチーフとしたおもちゃを通して、ロボットに興味が湧いてくるような、さらに複数で遊べるようなものに仕上げてほしい」と語った。

続いて、3社の社長がそれぞれ挨拶した。

タカラの佐藤社長。「子供の夢を育む玩具としての役割を認識し、競技会を通じてロボットトイに興味を持ってもらうことは意義深いことだ。われわれの製品を使ってロボカップに参加した子供が負けてしまうと、子供の夢を損なうことになるので、他社に負けない製品を継続して出荷していきたい」タカラの佐藤社長。「子供の夢を育む玩具としての役割を認識し、競技会を通じてロボットトイに興味を持ってもらうことは意義深いことだ。われわれの製品を使ってロボカップに参加した子供が負けてしまうと、子供の夢を損なうことになるので、他社に負けない製品を継続して出荷していきたい」



トミーの富山社長。「ロボットトイの中身については、今後メーカーの努力が必要と思っている。“技術のトミー”で名を売っているので、子供たちの夢をかなえるようなロボットを作りたい。遊んでいるうちに学べるのが本来の玩具であり、子供たちが興味を持つ入口の役割を果たしたい。科学技術に興味を持った子供が多く育てばと思う」トミーの富山社長。「ロボットトイの中身については、今後メーカーの努力が必要と思っている。“技術のトミー”で名を売っているので、子供たちの夢をかなえるようなロボットを作りたい。遊んでいるうちに学べるのが本来の玩具であり、子供たちが興味を持つ入口の役割を果たしたい。科学技術に興味を持った子供が多く育てばと思う」



バンダイの高須社長。「現在の子供の遊びをみると、コミュニケーション、インタラクティブという方向に向かっている。われわれも2000年はロボット元年と思っている。ロボカップ・トイズに参加した子供たちが10年後、20年後にロボット博士になるという夢を抱きながら、ロボットを発展、進化させていきたい。今回のロボット・トイズはF1レースに似ている。ロボカップ・トイズを、ロボット分野における世界のF1レースにしていき、その中でわれわれは優れたロボットを作るメーカーになりたい」バンダイの高須社長。「現在の子供の遊びをみると、コミュニケーション、インタラクティブという方向に向かっている。われわれも2000年はロボット元年と思っている。ロボカップ・トイズに参加した子供たちが10年後、20年後にロボット博士になるという夢を抱きながら、ロボットを発展、進化させていきたい。今回のロボット・トイズはF1レースに似ている。ロボカップ・トイズを、ロボット分野における世界のF1レースにしていき、その中でわれわれは優れたロボットを作るメーカーになりたい」



それぞれのロボットトイを片手に握手を交わす4名
それぞれのロボットトイを片手に握手を交わす4名



卓球台サイズの競技用フィールド(写真左)と、試作機による競技デモ(写真右)卓球台サイズの競技用フィールド(写真左)と、試作機による競技デモ(写真右)

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