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マイクロソフト、ゲーム機市場参入を米国に先駆けて正式発表、開発中の『X-Box』を2001年秋に発売

2000年03月10日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は、米マイクロソフト社がゲーム専用機市場に本格参入するべく、ゲーム機専用機『X-Box』(仮称)を開発中であることを正式に発表、本日都内ホテルで記者発表会を行なった。

『X-Box』のハードウェア仕様を正式発表、CPUはAMDの600MHzで、HDDを標準搭載

X-Boxは2001年秋に発売される。CPUには米AMD社のx86互換チップ(600MHz)を採用しており、グラフィックは米nVIDIA社との共同設計による3Dグラフィックスチップを搭載する。メモリーは64MBのRAM(基板上に搭載、UMA:Unified Memory Architecture対応)で、8GBのHDDを標準搭載している。サウンドは専用設計の3Dオーディオチップを搭載し、DVDビデオ再生機能付きの4倍速DVDドライブを装備する。

今回のプレゼンテーション用に用意された『X-Box』マシン。最終形状はこれとは異なる
今回のプレゼンテーション用に用意された『X-Box』マシン。最終形状はこれとは異なる



ポートはゲームコントローラー用ポート×4とUSB拡張ポートの2種類で、外部オーディオ/ビデオ出力端子と10/100Mbps Ethernetを備えている。メモリーユニットは8MBの容量を持つ。OSはDirectXに特化したゲーム専用OSを開発して利用する。開発APIはWindows NTカーネルと同じものとなる。本体形状や価格など詳細は未定だが、既存のゲーム機と比較しても十分競争できる価格に設定するという。メインターゲットは16~26歳のゲームユーザー。

グラフィックスの描画速度は毎秒3億ポリゴン以上で、既存のゲーム機の3倍のパフォーマンスになるという。また、HDDを標準搭載することで処理速度が速くなるほか、Ethernetが広帯域ネットワークに対応しているため、オンラインゲームに適したプラットフォームだとしている。

同社はゲーム機の製造メーカーとなり、ゲーム機の開発、販売、流通を手がける。ゲームタイトルはサードパーティーに開発を依頼し、サードパーティーが開発、販売する。同社は、ゲーム開発者向けに、DirectX開発ツールなどさまざま開発環境を提供するという。

Windows 95発売当時を超える資金投入で事業を展開

同社は、X-Boxの開発やマーケティングを支援するため、Windows 95出荷当時を超える規模の多大な経営資源を投入するという。また、今回の発表に伴い、社内にゲーム専任の部門を設立した。このゲーム部門は、PCとX-Box両方の次世代ゲームを推進する部門で、ハードウェア/ソフトウェアの開発やマーケティングなどの事業を行なう。

本日現在で、X-Boxの支持表明を行なっている国内メーカーは、コナミ(株)、(株)カプコン、(株)コーエー、(株)ディースリー・パブリッシャー、(株)ナムコ、(株)ハドソン。そのほか多くの海外メーカーが賛同しており、同社は他メーカーに対しても今後積極的に協力を呼びかけていくという。

米X-Box担当者が来日、「家庭内エンターテインメント分野に注力する」

本日行なわれた記者発表会では、米マイクロソフト社ハードウェア部門担当バイスプレジデント(X-Box担当)のRick Thompson(リック・トンプソン)氏が壇上に立ち、説明を行なった。

米マイクロソフト社のX-Box担当であるRick Thompson氏
米マイクロソフト社のX-Box担当であるRick Thompson氏



同氏は、「われわれは、ビジネス向け製品だけでなく、家庭向けの製品も多く出荷している。エンターテインメントの柱へ着手する。ゲームは“息抜き”ができるものだ。X-Boxのビジョンは、考えられる最高のリアリティーを実現し、新次元のゲーム体験を提供すること。マイクロソフトは家庭内エンターテインメント市場において中心でありたい。

ゲーム市場において成功するためには、既存のゲーム機市場と同様のビジネスモデルを展開すること、他のパートナーと協力し、数多くの優れたゲームを提供することが重要だ。ゲーム開発はサードパーティーに依頼し、開発してもらう。マーケティングにおいても、販売業者などと協力して、販促活動を行なう。

われわれの強みは、従来より積み重ねている卓越した技術にある。優れたグラフィックスパフォーマンスやHDD、広帯域ネットワークにより、究極のオンラインゲームの実現を可能にする。PCとゲーム機の機能を統合した唯一の製品となるだろう。

また、われわれは開発者に対して、DirectXによる長年の実績を活かし、最適な開発環境を提供できる。X-Boxは、開発者にこれまでにない新たなゲームを作るという気持ちを奮い立たせ、ゲームの新しい可能性を広げるものだ」と語った。

なお、X-Boxの価格については「未定だが、価格そのものがわれわれの成功の障害になることはない。市場において競争力のある価格だと思ってほしい。製品寿命は発売後、4年程度と考えている」としている。

米国に先駆けてビル・ゲイツ氏が登場




米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長もビデオメッセージで発表会場に登場した。「ゲーム専用機分野において日本はリーダー的存在であるため、米国より先に日本で発表した。このX-Boxがゲーム市場への大きな布石になればと思う。われわれはこの分野で大成功を収めたいと考えている」。ビル・ゲイツ氏は10日(米国時間)に、米サンノゼで行なわれるゲーム開発者会議(Game Developers Conference)で、X-Box計画を発表する。

また、会場で日本法人代表として挨拶した同社常務取締役の阿多親市氏は、「今回のX-Box発表については、日本、米国、欧州の同時発表となる。ゲーム機市場への正式参入と、X-Boxを開発中であることを発表するものであり、タイトルや販売方法などは未定」としている
また、会場で日本法人代表として挨拶した同社常務取締役の阿多親市氏は、「今回のX-Box発表については、日本、米国、欧州の同時発表となる。ゲーム機市場への正式参入と、X-Boxを開発中であることを発表するものであり、タイトルや販売方法などは未定」としている



支持表明メーカーを代表して、コナミの上月景正氏がビデオメッセージで登場した。「これまでにないPC分野の技術が組み込まれているため、開発メーカーとしても興味深い。X-Boxにより市場が広がればいいと思う」(上月氏)
支持表明メーカーを代表して、コナミの上月景正氏がビデオメッセージで登場した。「これまでにないPC分野の技術が組み込まれているため、開発メーカーとしても興味深い。X-Boxにより市場が広がればいいと思う」(上月氏)







プレゼンテーション用『X-Box』マシンで行なわれたデモンストレーション。マシンのスペックも予定の仕様とは異なるため、グラフィック性能は正式製品の10パーセントほどという
プレゼンテーション用『X-Box』マシンで行なわれたデモンストレーション。マシンのスペックも予定の仕様とは異なるため、グラフィック性能は正式製品の10パーセントほどという

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