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日本電信電話と三菱電機、共同で次世代の共通鍵暗号アルゴリズムを開発。ISO標準への提案も

2000年03月10日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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10日、日本電信電話(株)と三菱電機(株)は、128ビットのブロック長(*)を採用した共通鍵暗号(*)アルゴリズムを共同開発したと発表した。三菱電機は128ビットの“MISTY”、日本電信電話は64ビットの“FAEL”という暗号方式を既に開発している。今回発表したアルゴリズムは、ソフトウェア実装に適した日本電信電話の技術と、ハードウェア実装に適した三菱電機の技術を応用したもの。安全性と高速性を備え、ソフトとハードへの実装を容易にしている。

(*)ブロック長:暗号化を行なうデータのまとまりの長さ。'77年に米国商務省標準局が定めた共通鍵暗号“DES”ではブロック長が64ビット。安全性を高めるために時期標準暗号を128ビットと規定している

これは“Camellia”と名付けられた暗号アルゴリズム。“Camellia”では鍵長(利用できる鍵パターンの数は、鍵長によって決まる)も128、192、256ビットに対応した。暗号化プロセスは、従来の解読法“差分解読法”や“線形解読法”(*)などのアタックから解読を防止するための主変換部と、それ以外の暗号解読法のアタックから解読を防止するための副変換部で構成している。これを解読するためには、2の128乗を虱(しらみ)潰しに総当りしなければならないという。

(*)“差分解読法”や“線形解読法”:ブロック暗号に対する強力な暗号解読法。平文と暗号文の組み合わせを使って暗号を解読する方法

また、8ビットの処理単位を用いているので、ICカード(電子マネー)から電子認証システムまで、マルチプラットフォームに対応する。ハードウェアに実装する場合には、128ビットブロック暗号化としては最小クラスの約1万ゲートの回路で構成できる。

従来、暗号を標準化する動きはなかったが、今年よりISO標準への見直しがあり、それを受けて両社は“Camellia”を標準化へ向けて提案していくとした。

三菱電機の常務取締役、従来の暗号化技術のライン
三菱電機の常務取締役、従来の暗号化技術のラインナップを広げていきたいと語る野間口有氏。左は三菱電機の情報技術総合研究所、松井充氏



日本電信電話の情報流通プラットフォーム研究所所長、
日本電信電話の情報流通プラットフォーム研究所所長、伊上誠一氏、取締役の鈴木滋彦氏、主幹研究員、岡本龍明氏

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