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グレープフルーツの起電力でLCDを駆動!!――ザイリンクス、超低消費電力を実現したCPLDのデモを実施

2000年03月09日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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7日、ザイリンクス(株)は、1月24日に発表したCPLD(Complex Programmable Logic Device)“CoolRunner”、XPLA3(eXtended Programmable Logic Array)ファミリーの説明会とデモンストレーションを実施した。

ファーストゼロパワー技術を採用し、消費電力を低減

XPLA3ファミリーは、独自のファーストゼロパワー技術(*)を採用し、スタンバイ消費電力を100μA(マイクロアンペア)に低減、ピン間遅延時間を5n(ナノ)秒にしたもの。他社製品と比較して、スタンバイ消費電力は1000分の1レベル、全消費電力は3分の1になっているので、ポータブルPC、PDA、ワイヤレスデバイスなどの分野に利用できる。

(*)CPLDには、ロジックを構成するためのパラメーターを記憶するメモリーセルがある。これを読み出すためにセンスアンプが用いられている。このアンプはリニアアンプのため、積項(AND)を拡張するほど電流が流れるという特性があり、通常は100ミリアンペアぐらいの電流を常に流しておく必要がある。ファーストゼロパワー技術では、このアンプ部をすべてCMOSタイプに変更しているため、スタンバイ時には大幅に電力を低減できる。

米ザイリンクスInc.のマーケティング、アプリケーションマネージャー、リノ・サンチェス氏がデモと説明を行なった
米ザイリンクスInc.のマーケティング、アプリケーションマネージャー、リノ・サンチェス氏がデモと説明を行なった



同ファミリーは、再プログラミングが可能な0.35μm(マイクロメートル)5層メタルプロセスで製造しており、ゼロパワーインターコネクトアレイと、PLAロジック(*)、I/Oロジック(5V対応のI/O、PCIコンパチのI/O)などで構成。マクロセルが32(使用可能ゲート数750) から384(9000)までの5タイプを用意している。

(*)PLAロジックは、XPLA3ファミリーから完全なPLAになった。プログラマブルORとANDの組み合わせによって、ピンロックを掛けやすくなっている

XPLA3ファミリーの外観
XPLA3ファミリーの外観



パッケージは、QFPや0.5mmボールピッチのCSP(CO)と0.8mmボールピッチのCSP(CS)などを用意。32および64マクロセルのタイプではCSとCPの両CSPパッケージを用意している。現在、256マクロセルのタイプをサンプル出荷中。量産出荷時の価格は10万個ロットで、1.65ドル(32マクロセルタイプ)、11.4ドル(256マクロセルタイプ)。主なスペックは以下の表とおり。

XPLA3ファミリーの主なスペック



型番


XCR3032XL


XCR3064XL


XCR3128XL


XCR3256XL


XCR3384XL


マクロセル


32


64


128


256


384


使用可能ゲート数


750


1500


3000


6000
9000


tPD(ns)


5


6


6


7.5


7.5


fSYS(MHZ)


200


167


167


133


133


パッケージ


44VQ(32)


44VQ(32)


(最大ユーザー I/O)


48CS(32)


*48CS(32)


56CP(44)


100VQ(80)


100VQ(64)


144CS(104)


144TQ(104)


144TQ(104)


208PQ(160)


280CS(160)


280CS(216)


“CoolRunner”の“oo”の文字が、グレープフルーツをかたどっている理由

説明会では、銅と亜鉛のイオン化傾向の違いを利用し、起電力を生じさせる“ボルタの電池” の原理を使って、LCDを駆動するデモンストレーションが行なわれた。

使用した駆動ボードは、発振素子、“CoolRunner”、1個のLCD素子およびドライバーICで構成。このデモは、4個のグレープフルーツを利用し、3V、50mAミリアンペア程度の電圧電流を発生させ、ボードを駆動するというもの。LCDに“CoolRunner”というキャラクターが、1文字ずつ順次表示されているのを確認できた。

グレープフルーツに銅の棒と亜鉛の棒を挿して、LCDを駆動しているところ
グレープフルーツに銅の棒と亜鉛の棒を挿して、LCDを駆動しているところ





こちらは日本酒で。同様にLCDが駆動し、同じようにLCDに文字が流れた
こちらは日本酒で。同様にLCDが駆動し、同じようにLCDに文字が流れた



これ以外にも、起電力を発生させるデモ用の材料として、日本酒、梅酒などが用意されていた。“CoolRunner”の“oo”の文字は、グレープフルーツでデザインされているが、このデモによって、なぜグレープフルーツのロゴが採用されていたのか、読者にも分かっていただけると思う。

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