英アーム社の会長兼社長兼CEO、ロビン・サクスビー(Robin Saxby)氏が来日し、9日、都内で記者会見を開いた。同社のRISCプロセッサーは携帯電話や自動車部品など組み込み系で50パーセント以上のシェアを獲得しており、サクスビー氏は「10年後にはほぼすべてのデジタル機器にアーム製のプロセッサーが搭載されるだろう」と自信を見せた。
アーム社の戦略を語るサクスビー氏 |
サクスビー氏はまず、「我々はデジタル機器時代に最適なアーキーテクチャーの提供を目指している」と同社のビジョンを表明。製品の量産を支えるものとして、携帯電話や民生用デジタルオーディオ機器、自動車用のABSなどを挙げ、「2010年にはほぼすべての機器にアームの製品が搭載されるだろう」と語った。
昨年1年間についてサクスビー氏は、「今夏に発売される任天堂(株)の『ゲームボーイ
アドバンス』にアーム製プロセッサーの搭載が決まり、(スウェーデンの)エリクソン社とBluetooth技術の共同開発も行なった」などと振り返った。またプロセッサーの出荷量は携帯機器分野の成長を受けて好調に伸び、「'98年の5100万個から1億7000万個と300パーセント以上も増加した」と語った。これにより組み込み型RISC市場における同社のシェアは60パーセント弱にまで上昇したという。
この急成長を支えた同社の強みは「チップ面積が小さく消費電力が少ないといった優れたアーキテクチャーにある」という。供給先は30社以上に上り、多くのOSをサポート。強力なパートナーシップを主要ベンダーと結んでいる点も顧客にとっては魅力的だとした。
今後は同社の売上の10パーセントを占めるという開発ツールをさらに充実させる。また、「アルゴリズムはアームが提供できる付加価値サービスになってきている」としてハードに加え用途に応じたアルゴリズムなどソフトの開発も強化していく方針だ。
サクスビー氏と日本法人のアーム(株)社長の石川滝雄氏 |
日本法人のアーム(株)社長の石川滝雄氏は、「アームのプロセッサーといえば携帯電話ばかりが目立つが、自動車の要所にも多く使用されている。自動車では低温から高温まで常に正常動作が求められ、パソコンのようにハングアップするわけにはいかない」として製品の高い信頼性を強調。今後は日本人による技術サポートやマニュアルの日本語化を進める方針。「ありとあらゆる分野に製品を採用してもらえるよう、開発環境を整備していきたい」と述べ、製品普及に向けた活動をさらに進めていくという。