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【週刊京都経済特約】作家・ライター対象に「スター誕」--「まぐまぐ」がオーディション、新しい才能と出版社結ぶ

2000年03月08日 00時00分更新

文● 週刊京都経済

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メールマガジン配送事業の世界最大手、まぐまぐ(京都市下京区中堂寺粟田町、大川弘一社長)は、メールマガジンなどで自分の作品や記事を発信している独立の作家・ライターと新しい書き手を求める出版社・新聞社などを結びつける新プロジェクトを打ち出した。プロジェクト名は「まぐまぐオーディション」で、書き手の企画書や作品をもとにインターネット上でオーディションを行う。いわばライター版「スター誕生」。すでに大手を含め80社余りが参加を表明しており、マンネリに陥っている出版業界の人材発掘の構造を大きく変える可能性も出てきた。

これまでに参加を表明しているのは講談社、ダイヤモンド社などの大手出版社から中小出版社、地域出版社、専門出版社、新聞社など。200万人近いまぐまぐ会員向けに発行しているメールマガジンで告知しているため認知度が高く、参加出版社・団体が急速に増えている。

今回のプロジェクトは出版社、書き手ともに参加費は無料。インターネットのファイル共有機能を活用するため、ほとんどコストがかからないという。まぐまぐは出版物の奥付に「協力・まぐまぐ」といったクレジットを入れることを求めており、それによる一般への告知効果を期待している。 

書き手側の参加者はメールマガジンを発行していない人でもエントリー可能。書き手はカテゴリーを指定して自分の作品を登録。参加出版社はオンライン上でそれを閲覧して、自社の出版企画に合う人材を探し出すことができる。

登録作品を出版社以外の人も自由に閲覧できるサービスも提供し、書き手と一般読者との間の共同作業で作品を磨いていくことができるようにする。

また、まぐまぐ側によるコーディネート/マッチングも行う予定。書き手の才能を評価して、それに合う出版社に紹介するということも考えているという。

このプロジェクトはまぐまぐが提供しているメールマガジン配送サービスの開発者でプロデューサーの深水英一郎氏が提唱している。深水氏はこれを皮切りにまぐまぐから独立し、「書き手、表現者のための場を提供する事業」を行うための新会社設立準備に着手している。

書き手、出版両者にメリット--深水氏にメールインタビュー

まぐまぐの深水氏は京都経済新聞社のメールインタビューに応じた。一問一答は次のとおり。

深水英一郎氏 深水英一郎氏



1)なにがきっかけで今回のプロジェクトを構想したのですか。

メールマガジンの発行者さんや、出版関係の方々に会う機会を最近多く持つうちに、こういったプロジェクトが必要かなと思うようになってきました。発行者さん側で、「本を出したい」と思っている方はもともと多くいましたし、出版社側も、想像していた以上にメルマガ作者に興味を持っていました。この両者をうまくつなぐことができないかな、と考えたわけです。

2)現在の「出版社・新聞社とライターとの関係」のどこに問題があると考えていますか。

出版をしたり、新聞に記事を書いたりといったことは、これまでですと、経歴が必要だったり、運が必要だったり、コネが必要だったりしたわけです。しかし、ネットワークを利用することにより、書き手として自然な欲求である、「書きたい、表現したい、それを多くの人に読んでもらいたい」といったものを高めていくだけで、編集者の目にとまる可能性はでてきました。今回のプロジェクトは、さらにその流れを加速するためのものです。

3)今後どのような展開になりそうですか。

まだどのような企画にするかみなさんのご意見をいただきながら、システムイメージを作っているところですが、既に60社以上の出版社、新聞社から賛同の意を得ることができました。非常に心強く思っています。5月スタートを目指して、システムを作り込みたいと考えています。

※記事の転載にあたっては、外来語の表記など用字用語の一部のみをASCII24の表記に合わせて書き換えた。その他はすべて原文のまま。

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