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So-net、2000年度事業戦略を発表、CSデジタル放送事業に本格参入

2000年03月07日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ソニーコミュニケーションネットワーク(株)(以下:So-net)は、同社の2000年度の事業戦略について都内ホテルで発表会を行なった。

So-netは、'95年11月に設立したインターネットサービスプロバイダーで、'96年1月にインターネット接続サービスを開始した。So-net会員数は、現在月間6万人ベースで増えており、2000年2月末時点で115万人、3月末には120万人になる見込みという。

2000年の事業戦略として、So-netは“接続サービスの高付加価値化”、“エンターテインメントのNo.1プロデューサー”、“ECビジネスモデルの確立”、“放送メディアとの連携”の4点を掲げている。

接続サービスは定額制に対応、コンテンツも拡充

接続サービスでは、接続スピードの高速化を図るため、ADSL*利用者向けの試験サービスを開始、今夏に“ADSL接続サービスコース”を新設する。対応地域は、NTT東日本/NTT西日本の試験提供地域と同じ東京都と大阪府。

*Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者回線。数Mbps~10数Mbpsの高速データ通信が可能。

また、定額接続にも対応し、NTT東日本/NTT西日本が2000年5月に行なう試験サービス“IP接続サービス”利用者向けのコースを今夏に新設する。対応地域は東京都23区と大阪府。

モバイルユーザー向けサービスでは、現在NTTドコモと共同で運営している携帯電話利用者向けサービス“モバイルダイレクト”の回線数を今夏までに10倍に増やすほか、携帯端末用のフィルタリング機能付きメール転送サービスを今夏に開始する。フィルタリングは、メールのsubjectやfrom、本文文字数、メールのデータ容量によって設定可能。

コンテンツ分野では、2000年前半にさまざまなオリジナルコンテンツを20タイトル以上リリースするほか、10歳前後のユーザー向けポータルサイト“KID'Sカテゴリー”を今夏に開設、楽しめるだけでなく、教育的な要素も含んだコンテンツを、So-netが選定して提供する。また、アーティストのホームページ運営やグッズのオンライン販売、チケット販売、メールによる情報提供など、アーティストのファンクラブ運営をサポートするシステムを開発し、今夏に運用を開始する。

ECビジネス分野は、さまざまな種類の決済方法に対応していく。現在So-netサイト上でショッピングをした際の決済プラットフォーム“Smash”では、クレジットカード決済と富士銀行のデビット決済が利用できるが、2000年前半にはiモード決済、コンビニエンスストア決済、プリペイド型電子マネー決済に対応、さらに2000年後半にはICカード型電子マネー決済もサポートするという。

また、会員全体の40パーセントを占める女性ユーザーを対象に、衣類や化粧品、食料品、インテリア、雑貨などを取り揃えた女性向けのショッピングサイト“スーパーセレクトショップサイト”を2000年6月に開設する。

CSデジタル放送事業へ参入

さらにSo-netは、CSデジタル放送事業へ本格参入すると発表した。現在行なっているSo-net内の“TENNIS NET”と、SKY PerfecTV!(ch703)の“Tennis TV”との連携を強化し、カテゴリーをテニスだけでなくスポーツ全般に拡大する。

“Tennis TV”の番組制作/運営を行なう委託放送事業者の(株)デイブレイクと共同で、今夏にスポーツサイトを開設する。サイトでは映像の動画配信や選手のデータ検索、メール配信などを行なうほか、“Tennis TV”の番組と連動して観戦チケットやグッズのオンライン販売、番組視聴者参加型のオークションなどのサービスを提供する。

また、2000年4月に東京/お台場にオープンする都市型エンターテインメント施設“メディアージュ”内にSo-netが出店するコミュニケーションスペース“Communication Port“www.”so-net/cafe”にスタジオを設け、番組の公開収録や選手を迎えてのイベントなども行なう。

上記の各サービスの料金は現在検討中という。なお、So-netは今回のCSデジタル放送事業参入に伴い、デイブレイクへ出資するが、出資額など詳細は未定。

発表会場で、So-net代表取締役社長の山本泉二氏は、「インターネットそのものが新しいメディアになっていく。その中でブランドを確立したい。サービス開始以降、会員数、売上とも年ごとに倍々で伸びており、順調に推移している。コンテンツやカスタマーサポートに力を入れるといった方針が認められた結果だと思う」



「われわれは、インターネット接続サービスから始まり、コンテンツ事業、ECビジネスにおけるプラットフォーム事業と、米AOLと同じようなビジネス展開を行なっている。'99年度では、売上のうち75パーセントがインターネット接続料、25パーセントがコンテンツ事業とEC事業だ。今後はこの割合を50対50にしたい」

「2000年度の事業戦略は、“So-netをメディアの新しいブランドへ”がコンセプト。接続サービスにはより高い付加価値を付け、コンテンツに関しては更に充実を図る。ECに関しては、オンラインショッピングは着実に伸びている。日本でも今年か来年にはECビジネスが爆発的に広まると思われるので、われわれもいろいろな試みを行ないたい」

「CS放送メディアとの連携については、もう少し強くする。通信と放送はいろいろな形で融合していくことは間違いないが、どう融合していくかは今後も勉強していかなければならない。CS放送とインターネットは相性がいいと思う。ユーザーがCS放送を観ながら、放送に連動したインターネットのサイトで関連情報を入手できるなど、通常のCS放送にはないサービスを付け加えることで、双方向性も含めた新しいメディアとしてのアイデアが出てくるだろう。最終的には、CSの中にSo-netブランドのチャンネルを作りたいCS放送への参入は、次世代インタラクティブTVなどに対するサービスの開発や運営を行なうための礎だ」と語った。

So-netは、2000年度の会員数を250万人、2003年度の会員数1000万人を中期目標としている。

発表会には、ソニー(株)の出井伸之社長もビデオで登場。「So-netはAOLのように育てたいと思っている。AOLと違い、ソニーにはさまざまな資産がある。それらを活用することで新たなネットワークサービスを提供できる。ソニーとしても全力を挙げてバックアップしていきたい」
発表会には、ソニー(株)の出井伸之社長もビデオで登場。「So-netはAOLのように育てたいと思っている。AOLと違い、ソニーにはさまざまな資産がある。それらを活用することで新たなネットワークサービスを提供できる。ソニーとしても全力を挙げてバックアップしていきたい」

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