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自分の道を切り開け! ベンチャーを志す金の卵たちによる意見交換――産業復興 NEXT STAGE 阪神淡路大震災5周年記念事業より(後編)

2000年03月06日 00時00分更新

文● 天野憲一 

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2月18日、19日の両日、神戸クリスタルタワーにおいて“ベンチャースピリットで挑む新たなステージ”と題して、産業復興 NEXT STAGE 阪神・淡路大震災5周年記念事業が開催された。本稿では、このイベントの最後に行なわれた学生討論会の模様を報告する。

会場の様子
会場の様子



討論会は、(財)21世紀ひょうご創造協会の地域政策研究所長、三木信一氏をコーディネーターに、 神戸大学、関西学院大学、甲南大学、流通科学大学から各2名ずつの学生が討論に参加した。

コーディネーターの三木信一氏
コーディネーターの三木信一氏



起業は、まず就職して経験や知識を得てから

三木氏の、学生達はベンチャーをどう考えているのか?という問い掛けに、「不安定という印象が強い」、「ブームに乗って浮かれている」、「成功した例ばかりが目立つが、もっと資金繰りなど苦労する部分も見るべき」など、悲観的、現実的な意見が出た。その一方で、「リスクは大きいがチャレンジする価値がある」、「新規の雇用を作るなど、社会に貢献できる」など、肯定的で前向きな発言もあった。

流通科学大学からの学生
流通科学大学からの学生



甲南大学からの学生
甲南大学からの学生



自分自身がベンチャーを起こそうとしているかという問いには、8名中5名の学生が手を挙げた。しかし在学中、あるいは卒業と同時にではなく、まず就職して経験や知識を得てからという慎重な意見が多かった。

「年をとってからでは家族や地位など守るものができて挑戦しにくくなるのでは」という質問に対しては、「これからの社会は何歳で年収いくらとは計算できなくなるので、ある程度の貯金とアイデアがあれば年をとってもベンチャーを起こすだろう」という発言や、中には「大きなことをやりたいのであれば、やはり大きな会社に入るほうがいい。小さなベンチャーでは限界がある」といった意見もあった。

関西学院大学からの学生
関西学院大学からの学生



大学の教育環境も時代に合わせて変化している

「今の大学は学部間に大きな壁があり、情報交換が難しい」と、大学の教育環境についても学生から意見が出され、企業との共同研究やベンチャーについての講義を望む声もあがった。ベンチャー講座については「個人の素質もあり、講義を聞くより知識を広めるために一般教養を充実させればどうか」という意見もあった。しかし、コーディネーターの三木氏は「新しい教育方針では学生自身の時間の使い方に自由度が増したこと、現実に私学と企業が共同して研究を行なっている例がある」と報告。大学も時代に合わせて変化しつつあることを伝えた。

その流れで、日本の学生は大学卒業前になっても目標を掴みきれないが、米国の学生は小さなころから自立を促す教育をしており、それが現在の米国におけるベンチャーの大成功を生んでいるのだろうという発言もあった。このように今回の討論会では、社会状況や育てられてきた教育環境、また日本の慣習など、学生にはどうにもできない外的要因についての発言が多く見られた。ただ、そういう日本の環境にあってもベンチャーを志し成功している例がたくさんあり、参加した学生たちには自ら諦めることなく、自分の道を切り開いていって欲しいと感じた。

神戸大学からの学生
神戸大学からの学生



最後に三木氏が「今回のイベントでは学生の声を聞きたいという主催者の狙いがあった。それは十分果たせた。ベンチャーは統一的な理解ができていないが、だからこそベンチャーといえる。仕事には社会参加や自己実現するという意味がある。自分が生きるためのすべてのことを成し遂げるために、学生たちには大志を抱いて頑張って欲しい」とコメントし、学生討論会を締めくくった。

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