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MPEG、著作権保護と電子透かしのアドホック会合を国内で開催--著作権保護システムの標準化を行なうべきか

2000年03月06日 00時00分更新

文● MPEG IPMP Ad-Hoc Group 妹尾(松下電器産業)

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ISOの下部組織にあたる標準化団体MPEG(Moving Picture Experts Group)は2月14日から16日にかけて、MPEGアドホック(特別)会議を東京大学先端科学技術研究センターにて開催した。討議の中心は、著作権保護と電子透かしの標準化。MPEG IPMP Ad-Hoc Groupの妹尾氏が、その様子をレポートする。IPMPは、Intellectual Property Management & Protectionの略で、知的財産管理と保護の意。

「実装が可能なレベルまでその内容を公開した、著作権保護の為の共通規格を作るべき」

MPEGでは、これまでオーディオ-ビジュアルデータの圧縮符号化規格の標準化を進めてきた。さらに昨今、マルチメディアデータ(コンテンツ)の自由な流通を促進するためには、コンテンツの著作権保護システムの標準化が不可欠との認識を深め、MPEG規格の中にコンテンツの著作権保護システムを組込む事を検討してきた。

これまでのMPEG-4標準化の討議では、著作権者の権利を最大限尊重すべきとの意見が大勢を占めてきた。そのため、権利保持者が任意の著作権保護システムを組み込めるよう、著作権保護システムそのものはブラックボックスとして扱い、そのブラックボックスへのフック(具体的には、そのブラックボックスの提供者名が登録されているRegistration AuthorityのURL指定)のみを規定するに留まっていた。

一方これに対して、(社)日本電子機械工業会(EIAJ)の指導する“MPEG-4プラットフォーム開発プロジェクト”では、「現状の規格では著作権保護システムの内容が不明で標準化にそぐわず、また、今後のネットワーク社会、モバイル通信社会で実現されるエリアを超えての自由なコンテンツアクセスに対して、実質個別プライベート規格の氾濫は支障を来たす」という見解を提示。この立場から、「実装が可能なレベルまでその内容を公開した、著作権保護の為の共通規格を作るべき」との主張を続けて来た。これは、'99年12月に開催された第50回MPEG会合で取り上げられ、標準IPMP検討アドホックが結成されるに至った。

「コンテンツ保護方式の標準化が望ましい」という提言を次回MPEG会合に報告

この新アドホックの内部では、従来のブラックボックス標準の支持グループと、共通公開標準作成支持グループに分かれ、活発な議論を電子メール上で展開した。そして今回、東京大学先端科学研究センターで開催されたアドホック会合で、「コンテンツ保護方式の標準化が望ましい」という提言を、オランダNoordwijkerhout市において3月21日に開幕する予定の第51回MPEG会合に報告する事が決定された。

このアドホック会合には、日本のほか、アメリカ、シンガポールなどから31名が出席し、各種アプリケーション分野に対するシステムのリクワイヤメント(必要条件)をまとめ、標準の必要性、相互運用性を確保する為の要求条件や、システムを実現するために必要となる構成モジュールの検討を行なった。また、標準デジタル透かし技術検討アドホック・グループの検討事項である“透かし”の用途について、内容記述、著作権保護、権利表示、真贋判定の4つの分野に分け、それそれの分野での得失を討議した。

以上の討議結果は、MPEG-21(Multimedia Framework)の標準化アイテムの1つとされる可能性を視野に入れ、あわせて第51回MPEG会合で報告される予定である。

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