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ヤフー、米ヤフー社の創業者Jerry Yang氏の来日講演を開催

2000年03月02日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ヤフー(株)とジオシティーズ(株)、ブロードキャスト・コム(株)の合併が3月1日付けで完了したことに伴い、米ヤフー社の創業者の1人であるJerry Yang(ジェリー・ヤン)氏が来日、本日都内ホテルで記念講演を行なった。

来日した米ヤフー創業者Jerry Yang氏
来日した米ヤフー創業者Jerry Yang氏



“米国インターネット市場とYahoo! Inc.の現状”と題した講演で、Yang氏は「ヤフーはグローバルな企業であり、ワールドワイドでユニークユーザー数が月間1億2000万人、先日1日で4億6500万ページビューを記録した。日本においても、ページビューではヤフーが1位、ジオシティーズが2位で、今回の合併により他の追随を許さない地位を確立した」

「われわれはプラットフォームビジネスを展開しており、1億2000万のユーザーは、ヤフーを通して、コンテンツ、コマース、コミュニティといったさまざまなサービスを利用できる。ユーザーは、チャットやインスタントメッセージなどさまざまなサービスを通して、他のユーザーとコミュニケーションを取ることが可能だ。また、今回のジオシティーズとの合併により、ワールドワイドでコミュニティの基盤を広げられる。ウェブパブリッシングツールも入手できるようになり、ユーザーは自分でコンテンツを作成できる」

「コマースにおいては、現在9000のマーチャントにヤフー経由でアクセスできる。'99年第4四半期では、ECを利用したユーザーのうち10パーセントが、ヤフーを通じてECサイトにアクセスしている。コンテンツサービスでは、今後はブロードキャストサービスが重要となるだろう。ブロードキャスト・コムとの合併によって、ウェブを通してビデオを配信できるようになる。今後は、テキスト、オーディオ、グラフィック、ビデオが1つのフォームに備わったマルチプルコンテンツプラットフォームを提供する」

「ビジネス戦略として、ブランド力を駆使してワールドワイドでサービスを展開していくが、各地域の特色に合ったローカルな形でのサービス提供を行なう。また、ヤフーのサービスは、PCのほか、さまざまな携帯情報端末で利用できるが、今後は通常の電話でもアクセスできるようにする予定だ」

「今後のサービス展開として、コミュニケーションサービスでは、音声を利用したインスタントメッセージなどを可能にするVoice IPを提供する。デバイスのサポートも重要で、携帯電話やSTBにも対応していく。コマース分野では、ECショッピングやマーケティングサービスを行なう。トレーディングオークションでは、インターネットでしかできない取引をやっていきたい。コンテンツでは、オーディオやビデオ配信を行なう。しかしTVのように一方的なものではなく、それぞれのユーザーに適切なものを配信していきたい」

「ヤフーはウェブの最大のオーディエンスであり、質の高いサービスを提供している。いまは野球の試合にたとえると、1回表/裏が終わったところくらいだ。これから先が長い。チャンスを活かして、インターネット市場において最大の企業になりたいと思っている」と語った。

続いて行なわれたQ&Aセッションでは、同氏に受講者からのさまざまな質問が寄せられた。

Q&Aセッションの様子。中央のYang氏のほか、米ヤフーのHeather Killen氏(左)、ヤフー(株)代表取締役社長の井上雅博氏も出席
Q&Aセッションの様子。中央のYang氏のほか、米ヤフーのHeather Killen氏(左)、ヤフー(株)代表取締役社長の井上雅博氏も出席



--米AOLと米タイム・ワーナーの合併が話題となったが、今後ヤフーとメディア企業との合併はあるのか

「ニューエコノミーの時代において、企業の規模は問題ではない。大事なのはスピードだ。合併において肝心なのは、どこよりも速く動くためにはどの企業と協力すればいいかということ。既存のメディアをコントロールしたいとは思っていない」

--メディア会社のNews Corporation(メディア王Rupert Murdoch氏の会社)と提携するのではという話があるが

「いろいろな選択肢をユーザーに提供するために、常にさまざまな企業とパートナーシップに関する話をしている。具体的にどの企業と話をしているかは言えない」

--放送と通信の融合について、どう考えているか

「コンテンツやサービスの内容が豊富になるだろう。誰とでもコミュニケートできるし、しかもパーソナライズだ。広帯域サービスに対応したさまざまなコンテンツを提供したい」

--ヤフージャパンは、ヤフーにおいてどのようなポジションなのか

「ヤフージャパンは、ソフトバンクと組んだ結果、お互いに学びながら成長してきた。兄弟のような関係だ。お互いに大きな成功を収めたいと思う」

--インターネット教育への貢献について

「考えている。次世代インターネットユーザーのことを考え、早期教育を行ない、インターネットの識字率を上げていきたい。そのためにヤフーはさまざまなツールを提供できるだろう。特に教師など教育を行なう人たちに、インターネットの使い方を教育していきたい」

Q&Aセッションの途中、Yang氏の講演を最前列の席で聞いていたソフトバンク(株)代表取締役社長でヤフーの取締役会長でもある孫正義氏がセッションに飛び入り参加。



ソフトバンクと世界銀行グループの国際金融公社が2月12日に発表した、世界の開発途上国約100ヵ国に対するインターネット事業について、「詳細はこれから詰めていくが、ヤフーはこの事業において中心となる会社のひとつだ。人類は農耕社会、工業社会を経て、3つ目のステージとなる情報社会に入ろうとしている。現在の先進国と発展途上国との格差は、その昔いかに工業社会に迅速に対応したかどうかの結果だ。情報社会に入るにあたり、もう1度各国に格差をもたらすのはよくないことだ。世界中の国々に対等な機会を提供し、格差が3~4年で済むようにしたい」と語った。

セッションの最後、「億万長者になったのに、なぜ毎日会社に通うのか」という質問について、Yang氏は「世界中の起業家に言いたいのだが、お金がすべてではない。お金中心では物事を対極的に見ることはできない。私は働いているという感覚はなく、好きなことをやっているだけ。お金を儲けるためにビジネスを行なうと成功しない。失敗するかもしれないけれど、このビジネスをやりたいと思ってやってみると成功する確率が高い。ビジネスはお金儲けでするものではない」と答え、セッションを締めくくった。

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