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CISがトレーニングセンターを新設、遠隔トレーニングを開始

2000年03月01日 00時00分更新

文● 若菜麻里

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シーアイエス(株)(CIS)は3月1日に、東京・港区にシステム技術者向けのITトレーニングセンター“Knowledge Academy”をオープンする。教室数は3つで、収容人員は全部で54名。今年6月に5教室増設する予定だ。そのほか、インターネット経由で遠隔教育をするための発信基地となるライブスタジオが1室、Windows 2000や対応アプリケーションを体験できる“Windows 2000Plaza”も併設している。

Windows 2000Plaza。受講生が授業の合間にWindows 2000アプリケーションを体験できるWindows 2000Plaza。受講生が授業の合間にWindows 2000アプリケーションを体験できる



マイクロソフト認定トレーニングコースを増強

同社ではこれまで、東京・新橋および目黒、名古屋市の3拠点で、企業ユーザー向けにITトレーニングを開催してきた。今後、研修センターの機能を“Knowledge Academy”に徐々に一本化する計画。今年6月には、拠点の全収容人員数の3分の2にあたる約100名を、東京・西新橋の新センターで引き受ける。講師は現在約15名だが、今年末までに約40名に拡大する予定。CISの教育事業部門にあたるラーニングカンパニーの昨年度('99年1月~12月)の売り上げは約3億円。2000年度は10億円を目指す。

同社では、'91年にロータスノーツ公認トレーニングセンターを国内で最初に設立し、それ以降、ロータス(株)のグループウェア“ロータス ノーツ/ドミノ”関連を中心にITトレーニングを開催している。現在、30以上のノーツ関連コースを提供中だ。'99年4月に、マイクロソフト(株)がCISの発行済み株式の20パーセントを取得し、業務提携した。CISでは2000年の3月以降、“Windows 2000”や“Microsoft Exchange Server”などの機能を学ぶマイクロソフト認定トレーニングコースを拡充していく。

昨年までは、2~3コースしか開催していなかったが、“Microsoft Exchange Server5.5 コンセプト&アドミニストレーション”、“Microsoft Windows 2000 アップグレード”、“Microsoft SQL Server 7.0 システム管理”など17コースを新たに提供し、今後さらにコースを追加する。それにより、ロータス関連とマイクロソフト関連のコース開催の比率は、今後半々程度になる予定だ。

そのほか、CISオリジナルトレーニング(XML関連やマイクロソフトが提唱するビジネスポータル“Microsoft Digital Dashboard”の概要や構築、ナレッジマネジメントシステムの構築など11コース)、マイクロソフトの認定資格であるMCP(Microsoft Certified Professional)の認定試験などを新たに提供する。

ウェブブラウザー経由で受講できるリアルタイム、双方向の遠隔教育を実施

同社では、地方在住者などを対象に3月中旬から、遠隔教育を開始する。開催するのは、“ナレッジマネジメントの概要”および“デジタルダッシュボードの概要”の2コース。夏までに約50コースのラインナップを揃える予定だ。受講の方法は、決まった時間帯に受講生がそれぞれのPCからインターネット経由でサーバーにアクセスし、Knowledge Academy内のライブスタジオから発信される講師の授業を受けるというもの。当面は平日の昼間、週に2~3回コースを開催する。

遠隔学習システムには、米Centra Softwareのコラボレーションソフト『Centra99』を用いている。同ソフトのサーバー側は、Exchange Server上で稼動する。クライアント側は、専用ソフトをインストールするか、またはウェブブラウザーでも対応。インターネット/イントラネット環境があれば利用できる。

このソフトは、講師の音声配信やアプリケーション共有、プレゼンテーション機能などを備えている。サーバーの機能を用いて、受講生がクライアント側で入力したテストの採点やアンケート集計などをリアルタイムで行なえる。同システムは、理論的には最大250同時ユーザーをサポートする。しかし、リアルタイムで双方向にコミュニケーションする、という性格上、実際の運営では、10~20人程度での利用を想定している。

『Centra99』のクライアント側の画面(専用クライアント版)。講師の設問に対し、“イエス”、“ノー”の意思表示をボタンで選択できる。“(手を)挙げる”ボタンで、受講者から音声による質問も可能(ただし専用クライアントソフトを利用した場合のみ。ウェブ版はこの機能はサポートしない)『Centra99』のクライアント側の画面(専用クライアント版)。講師の設問に対し、“イエス”、“ノー”の意思表示をボタンで選択できる。“(手を)挙げる”ボタンで、受講者から音声による質問も可能(ただし専用クライアントソフトを利用した場合のみ。ウェブ版はこの機能はサポートしない)



『Centra99』の授業を体験。ヘッドフォンを通じて講師の声が聞ける。参加者全員で図形などの書き込みが可能なホワイトボードも用意している『Centra99』の授業を体験。ヘッドフォンを通じて講師の声が聞ける。参加者全員で図形などの書き込みが可能なホワイトボードも用意している



ガラス張りのライブスタジオ。ここから講師は全国の受講者に向けて授業をするガラス張りのライブスタジオ。ここから講師は全国の受講者に向けて授業をする



ビジネス系やコンシューマー向けのトレーニングにも着手

CISが開催してきたトレーニングは、システム技術者向けのものだったが、3月10日に、ビジネス系の教育コンテンツ『ビジネスアドバンテージ』シリーズを発売する。このコンテンツは、企業でナレッジマネジメントを実現するためのもの。情報を提供、活用できる人材や、本当に有効な情報をナレッジとして形式知化できる人材、暗黙知として取り込める人材の育成を目標としている。ナレッジマネジメント向けのシステムを導入したものの、実際に活用していない企業向けに、ナレッジマネージャー的な人材育成を促進していくのが狙い。

『ビジネスアドバンテージ』シリーズは、ロータスの遠隔教育向けのソフト“ロータス ラーニングスペース R3.01”上で利用可能なコンテンツとして提供する。そのため、あらかじめ、社内にノーツ/ドミノ環境およびラーニングスペースが導入されていることが利用の条件になっている。ラーニングスペースを用いると、研修を受けている参加者同士や講師との間で非同期でディスカッションできる。また自習教材として利用する場合、主催者側が受講生の進捗状況を把握できるなどの特徴がある。

今回発売されるのは、(株)レビックのビジネス教育向けCD-ROMを、ラーニングスペースに対応させた『ビジネスプロデューサー入門』、『ザ・マネジメント』、『成功する対人関係』という、中堅リーダー向けの3タイトル。価格は未定だ。

そのほか、エンドユーザー向けに、ワードやエクセルなどのトレーニングをウェブサイト“トレタウン(仮称)”から提供する計画もあり、これは夏ごろ実施する予定。

こうしたトレーニングメニューの拡大について、CISのラーニングカンパニー、マーケティングチームマネージャーの青木順一氏は、「ITトレーニングは、他社の研修センターとパイを奪い合うような状況だ。マーケットを拡大するために、ビジネス系やコンシュマー系のトレーニングに今後力を入れていきたい」と話している。「コースメニュー的には、IT研修が8割、それ以外が2割程度になるだろう。また提供の形態は、IT関連研修は、高度な操作を伴うため集合研修が中心に、そのほかの研修は、インターネット経由で提供するという傾向になるだろう」としている。

CISのラーニングカンパニー、マーケティングチームマネージャの青木順一氏
CISのラーニングカンパニー、マーケティングチームマネージャの青木順一氏



さらに青木氏は、「Knowledge Academyは、教室で利用するすべてのPCに、2月18日に発売されたばかりのWindows 2000を導入するなど、最新の設備を整えている。またCentra99を用いた遠隔教育は、米国では事例があるが、日本で本格的に開始するのは、おそらくCISが初めてだろう。CISでは、システム構築のコンサルティングや、開発、アウトソーシングサービスなどもしているため、市場のニーズを探りながら、遠隔トレーニングサービスを充実させていきたい」と抱負を語った。

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