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【CeBIT 2000レポート Vol.12】Bluetooth対応製品が続々登場--TDKのPCカードや東芝、NECの画像伝送、エリクソンの“ワイヤレス財布”も

2000年02月29日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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“CeBIT 2000”では、モバイル機器向けのワイヤレス通信技術“Bluetooth”に対応した製品のデモが数多く行なわれた。パソコン間での動画伝送や、次世代携帯電話と組み合わせて使用するテレビ電話などが登場。スマートカードを利用した“ワイヤレス財布”も公開され、携帯電話と並んでCeBIT会場内でもっとも注目を集めた技術となった。

Bluetoothは携帯機器向けに仕様が策定された無線通信技術。2.4GHz帯の電波を使用し、10m以内であれば障害物があっても通信が可能。転送速度は現バージョンでは最高1Mbps。次期バージョンでは2Mbpsへの高速化が予定されている。

CeBIT 2000では、仏アルカテル社がアンテナとフラッシュメモリーまで1チップに収めたBluetoothモジュールを発表。米Palm Computing社が同社のPDA『Palm』にBluetoothモジュールをセットしてデータ通信を披露し、カシオ計算機(株)はモジュール内蔵デジタルカメラを参考出品するなど、具体的な動きが相次いだ。

(株)TDKは、PCカード用モジュールとUSB対応モジュール、モデム、LANのアクセスポイントを発表した。これらは最長約100m離れた機器間での通信が可能。PCカード用モジュールでは、離れた機器からの電源オンを可能にする“Wake-on-Bluetooth”にも対応する。

TDKのPCカードスロット対応Bluetoothモジュール TDKのPCカードスロット対応Bluetoothモジュール



こちらはモデム。デザインは統一されている こちらはモデム。デザインは統一されている



(株)東芝は、ノートパソコンからノートパソコンに動画をリアルタイムで伝送するデモを行なった。『Libretto ff』の内蔵デジタルカメラで画像を撮影し、PCカードスロット対応のモジュールから約30cm離れたノートパソコンに動画を送り続ける。動画フォーマットはMPEG-4。

PCカードスロットに差し込まれた試作モジュール。TDK製品といい、PCカード一体型PHSによく似た印象 PCカードスロットに差し込まれた試作モジュール。TDK製品といい、PCカード一体型PHSによく似た印象



Libretto ffで撮影した画像は、隣のノートパソコンにリアルタイムで伝送される。
Libretto ffで撮影した画像は、隣のノートパソコンにリアルタイムで伝送される。



日本電気(株)は、次世代携帯電話“W-CDMA”端末と組み合わせて使用する“Videophone”を披露した。Videophoneに搭載されたCMOSセンサーで動画を撮影、動画はW-CDMA標準の動画フォーマットであるMPEG-4形式にエンコードされ、W-CDMA端末で動画を端末で送信。逆に受信した動画をVideophoneの液晶ディスプレー上で表示し、ほぼリアルタイムの動画通信が可能になるという。

この際、BluetoothはW-CDMA端末とVideophoneを結ぶインターフェースとして利用される。同社では「日本国内で来年3月に予定されているW-CDMA利用開始に合わせて開発している」としており、日本のユーザーは一足先にモバイルテレビ電話を体験できそうだ。

W-CDMA端末とVideophone。デザインも洗練されており、製品化が着実に進んでいる印象を受けた W-CDMA端末とVideophone。デザインも洗練されており、製品化が着実に進んでいる印象を受けた



とはいえ、デモを見た来場者や報道関係者は最初は驚くものの、「結局は単なるデータ転送にとどまっており、現時点では“高価なケーブル”に過ぎない」として、アプリケーション不足を指摘する声が相次いだのも事実だった。

そんな中、Bluetooth規格策定の中心であるスウェーデンのエリクソン社は、携帯電話と組み合わせたBluetooth活用法を発表。同社が“Wireless Wallet”と呼ぶもので、つまり“無線財布”。名刺入れ程度の大きさの革ケース内に、スマートカード(ICカード)スロットとBluetoothモジュールを内蔵。スマートカードを差し込んでおくと、携帯電話でオンラインショッピングなどをした際に自動的に接続、決済を済ませてくれるというものだ。

ワイヤレス財布は名刺入れほどの大きさで、とても軽い。普及のカギは、スマートカードを利用した決済システムの整備 ワイヤレス財布は名刺入れほどの大きさで、とても軽い。普及のカギは、スマートカードを利用した決済システムの整備



またエリクソン社は、携帯電話用Bluetoothアタッチメントも公開した。携帯電話に取り付け、ノートパソコンのCD-ROMドライブを操作し、好きな曲を再生させるといったデモを行なっていた またエリクソン社は、携帯電話用Bluetoothアタッチメントも公開した。携帯電話に取り付け、ノートパソコンのCD-ROMドライブを操作し、好きな曲を再生させるといったデモを行なっていた



エリクソン社が参考出品したBluetooth利用の携帯電話用ワイヤレスヘッドセット。松下電器産業(株)/松下通信工業(株)も同様のヘッドセットを出展していた。“電磁波有害論争”が再燃するのは必至か
エリクソン社が参考出品したBluetooth利用の携帯電話用ワイヤレスヘッドセット。松下電器産業(株)/松下通信工業(株)も同様のヘッドセットを出展していた。“電磁波有害論争”が再燃するのは必至か



確かにデータ通信は十分に成功しているものの、まだどことなく荒削りな印象は否めなかった。とはいえ、対応製品が発売され、チップも安価に出回ってさまざまな機器に搭載されれば、各種の応用も登場してくるだろう。本格的なワイヤレス時代の到来が実感できる展示だった。

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