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NECとEMC、大規模ストレージとミドルウェアを組み合わせたシステムの開発・販売で提携

2000年02月29日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本電気(株)(NEC)と米EMC社は、オープンプラットフォーム市場向けの、高信頼性を備えた大規模ストレージ製品とミドルウェアを組み合わせたシステムの開発および販売について、ワールドワイドな提携を結んだと発表した。

米EMC副社長で、アジア・パシフィック/日本営業最高責任者のジム・サリバン(Jim Sullivan)氏(左)と、日本電気取締役支配人の川村敏郎氏(右)
米EMC副社長で、アジア・パシフィック/日本営業最高責任者のジム・サリバン(Jim Sullivan)氏(左)と、日本電気取締役支配人の川村敏郎氏(右)



NECは、'98年11月にEMCのディスクアレイ装置のハードウェアとソフトウェア製品の供給を受けるOEM契約を結んで以来、それらの製品販売に置いて提携してきた。今回、この提携をさらに進めて、NECが企業向けに提供するEビジネスシステム構築の製品・サービス体系“iBestSolutions”と、EMCが提供している、情報の保護や管理をトータルで行なうシステム“e-Infostructure”を統合する。

新しい提携によって、(1)EMCの大規模ストレージシステムと両社のミドルウェア製品を連携させることで、高信頼性と高可用性を持つシステムおよびサービスの開発、(2)これらの開発と適用にあたり、両社は共同で30名からなる“検証センター”を4月にNEC社内に設置する、(3)両社は開発したシステムおよびサービスを、それぞれの営業組織や販売チャネルなどを通じて販売する、としている。

また、具体的な提携の第一歩として、NECの銀行向けの基幹勘定系システム“BankingWeb21”へのEMC製品の適用拡大を行なう。BankingWeb21では、すでにアライアンスを組んでいる米ヒューレット・パッカード社、米オラクル社、米BEAシステムズ社とも連携する。さらに、NECが運営するISPである“BIGLOBE”において、会員急増への対応とコンテンツの強化による、トラフィックとデータの増加に対応するため、EMC製品を適用して、既存システムとの連携・統合を進めるとしている。

業務提携における実際の活動は、まず4月から国内向けに行なうが、アジアや北米市場にも拡大していきたいという。ただし、現時点では日本以外での具体的な活動内容については未定。

提携について説明した、NECの川村取締役は、北米での例として、excite.comが2年で49TB(テラバイト)、amazon.comが6ヵ月で42TB、mail.comが45日で28TBと、従来からはとても予測できないような急激なデータ量の伸びを見せていることを挙げた。そして、こういった伸びに対応するためのシステムの拡張は、無停止で行なわなければならないと述べた。今まで日本では、銀行のシステム更新などは、ゴールデンウィークや正月といった、サービス休止期間に行なってきたが、今後デビットカードなどが普及すれば、正月だからといってサービスを停止することは許されなくなる、と無停止運用によるスケーラビリティーの必要性を強調した。

さらに川村取締役は、高可用性確保の重要性を示す例として、米国である会社のウェブサイトがシステムダウンし、それによってその会社の株価が1ヵ月で182ドル(約2万円)から80ドル(約8700円)へ急落し、時価総額にしておよそ6000億円ものマイナスとなったことを挙げた。

こういったEビジネスのおかれた厳しい状況に対して、NECが持つ、インターネット・ソリューション・プロバイダーとしての実績やオープンプラットフォームにおけるミッションクリティカルシステムのノウハウと、EMCが持つ世界市場での販売実績や高機能/高信頼性ストレージシステムがチームを組むことで、「オープンミッションクリティカル分野での最強タッグの確立」だとした。そして、NECが持つメインフレーム顧客への売り込みはもちろん、他社のメインフレーム市場へも進出していきたいと述べた。

EMCのサリバン副社長は、「日本は世界第2位のテクノロジー市場。日本でEビジネス市場がどのように形成されるかは世界的に注目されている。その市場形成にEMCも関わっていきたい」「*EMCの第4四半期(9~12月期)の売り上げの伸びは、アジア太平洋地域、とくに日本で著しい。日本の社員数もこの1年で倍になった」として、EMCが日本市場に注力していることを強調した。

*
EMCの'99年度第4四半期におけるアジア太平洋地域の売り上げは、前年同期比60パーセント増で、1億ドルを超えたとしている(国別売り上げは非公開)。日本市場では、NTT移動通信網(株)のiモードサービス、BIGLOBE、富士通(株)の@NIFTY、(株)東芝が顧客に加わった。

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