インテル(株)は28日、次世代のワイヤレス・インターネット・アクセス技術開発促進を目的とした“インテル
ワイヤレス・コンピタンス・センタ”(以下WCC)を開設したと発表した。
インテル(株)の傳田信行代表取締役社長 |
インテルでは、384kbps~2Mbpsという、広帯域通信が可能となる次世代携帯電話サービス市場を対象とした無線技術の開発拠点として、世界でWCCを開設するとしており、今日発表のWCCは、昨年11月にスウェーデンのストックホルムに開設されたヨーロッパ向け拠点に続く2ヵ所目。
これによりインテルは、米国にある携帯電話機器向け半導体製品を開発する“ワイヤレス・コミュニケーション&コンピューティング・グループ”(WCCG)とあわせ、日米欧に技術開発拠点を持つことになった。WCCGでは、携帯電話向けフラッシュメモリー、携帯電話向けチップセット、低消費電力の組み込み機器向けプロセッサーなどを提供している。
日本のWCCは、茨城県つくば市のインテル通信技術本部内に設置され、携帯電話を利用した広帯域インターネット接続を前提とした、コンテンツやサービスを実現するための技術開発支援を日本の企業と協力して行なうとしている。日本におけるWCCは、昨年の11月ころから準備され、実質的にすでに稼働しているという。
発表にあたりインテルの傳田社長は、同社のインターネット戦略を説明した。インテルは、携帯電話向けのチップセット、『StrongARMプロセッサ』、フラッシュメモリー、Bluetooth技術など、携帯電話にとって重要な製品や技術を多数保持している。これらの製品や技術を、関連企業と協力して次世代の“3G”(第3世代携帯電話)プラットフォームに向けて、製品の開発研究、サービスやコンテンツの普及を目指すという。
本日の時点でWCCに参画し、インテルと協業しているのは(株)アクセス、(株)サイバード、(株)ジャストシステム、米PacketVideo社の4社。
(左から)インテル通信技術本部の高橋恒雄本部長、米Packet Video社インターナショナル・パートナー・プログラムディレクターのブレット・クロセット氏、(株)アクセスの荒川亨代表取締役社長、(株)サイバードの真田哲弥取締役副社長、インテルの傳田信行代表取締役社長、(株)ジャストシステムの浮川和宣代表取締役社長 |
アクセスは、携帯電話など限られたハードウェアリソースでウェブコンテンツを見ることができる“マイクロブラウザー”を、日本の携帯電話メーカーの大半に提供している会社。インテルの組み込み向けプロセッサーであるStrongARMに特化したマイクロブラウザーを開発するとしている。
サイバードは、日本のワイヤレスキャリアー各グループに対して、提携するコンテンツ会社のコンテンツを、各キャリアーが展開するコンテンツサービスに合わせた形で配信する会社。同社では、Java、MPEG-4、音声認識/話者認識といった分野で基礎研究を行なっており、これらの技術をStrongARM向けに特化していくとしている。
次世代携帯電話によって可能になるコンテンツの例として、Javaアプレットで電子テレビプログラムガイドを表示して、MPEG-4フォーマットで番組の予告を見て番組を録画予約、さらに自宅に帰ってからBluetoothによって、ビデオにその予約を転送する、といったことが可能になるという。
ジャストシステムは、StrongARMを搭載した次世代携帯電話向けに、日本語変換ソフトATOKやそのほかのアプリケーションを開発していくというリリースを本日付けで発表している。浮川社長によれば、携帯電話向けのATOKは、すでにジャストシステム社内でエミュレーション上で動作するなど実際の開発も進んでいるという。
米PacketVideo社は、低速でノイズも多いというワイヤレス通信インフラを前提とした、MPEG-4フォーマット動画像コンテンツ伝送のソフトウェア技術を持つ会社。発表では、反射型カラー液晶とStrongARMを搭載した評価用ボードを使い、9600bpsを想定した画像再生のデモンストレーションが行なわれた。9600bpsでも秒3~5コマの再生が行なえるといい、コンテンツを持つ企業と提携して、次世代携帯電話向けに動画像や音声コンテンツを提供していきたいとしている。
評価用サンプルシステムによるPacketVideoの動画像再生デモ。ディスプレーは反射型カラー液晶 |