(財)画像情報教育振興協会(CG-ARTS協会)は、25日から東京・赤坂の草月会館において“Robot-ism
1950-2000~鉄腕アトムからAIBOまで~”を開催する。一般公開に先立って24日、報道関係者向けにプレビューを実施した。
このイベントは、文化庁が主催するデジタルアート、アニメ、漫画などの作品を紹介、表彰する“文化庁メディア芸術祭”の企画展として開催されるもの。CG-ARTS協会が主催、制作に当たっている。
今回の展示は、ロボットが日本のアートとテクノロジーに与えた影響や、ロボットとメディアアートとの関わりの検証が目的。“鉄腕アトム”を祖とする日本のロボットアニメの系譜や、AIBOなど最先端ロボット技術に関する展示が行なわれる。
“SIGGRAPH”や“IMAGINA”のような世界的なものに
実行委員会による記者会見では、CG-ARTS協会の滝川精一理事長が「この芸術祭を将来的には秋の芸術祭に対する春版として大きく育てていきたい」と挨拶した。
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実行委員会による記者会見。手前から東京大学教授の河口洋一郎氏、今回のイベントをプロデュースした伊東順二氏、陰になっているのが滝川精一理事長、漫画家の里中満智子氏、漫画家のモンキー・パンチ氏、CG-ARTSの秋葉俊幸氏 |
プロデューサーを務めた美術評論家の伊東順二氏は「手塚治虫先生の鉄腕アトムにはロボットに対するすべてのメッセージが詰まっており、ロボットの中にヒューマニズムを見ることができる希有な作品」と話し、「アトムに始まる日本の特徴あるロボット作品を取り上げることになった」と展示コンセプトについて説明した。
また運営側では、このイベントを米国の“SIGGRAPH”やフランスの“IMAGINA”などといった世界的なものにしていきたいとのこと。
“Robot-ism Park”は実物のロボット目白押し
それでは会場の様子を紹介しよう。草月会館の1階には“Robot-ism Park”として、ホンダの2足歩行ロボット『P3』、ソニーの『AIBO』、PHSで遠隔操縦できる『TMSUK
IV』などの最新ロボットのほか、明和電機や金丸賢也氏らアーティストが製作した作品が展示される。いわゆる3Dの会場になる。
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明和電機製作の『魚型電動ハープ』 |
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金丸賢也氏製作の『チャブロボ』。一定時間後にちゃぶ台がひっくり返る |
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おなじみソニーの『AIBO・ERS-111』も展示されている |
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ホンダの『P3』は、ジョイスティック(右下に小さく見える)で動きをコントロールできる実演も |
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PHSを使った遠隔操作ロボット『TMSUK IV』。テムザック社製 |
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綜合警備保障の巡回ガードロボ『C2』 |
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村上隆氏作の『SMPKo2シリーズ』の巨大フィギュア |
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岸啓介氏作の『愉快な機械』 |
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『鉄腕アトム』や『鉄人28号』、『エヴァンゲリオン』などの大型フィギュアも並べられる |
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モンキー・パンチ氏の原画を元に立体化された『e-ROS』。峰不二子型ロボットも |
コンテンツも充実。約40のロボットアニメーション作品が一堂に会す
6階会場は、『鉄腕アトム』や『マジンガーZ』から『エヴァンゲリオン』まで、約40のロボットアニメーション作品を21台のモニターで再生するコーナー。それぞれの作品がDVDに収録されており、来場者が自由に視聴できる体験スペースになっている。
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21台のモニターで往年の名作から最新作までのアニメを鑑賞できる。モニターの上にはフィギュアが |
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檜山巽氏のCGアート『ENCYCLOPEDIA ROOTANICA』 |
プロデューサーの伊東氏によると「これだけたくさんの作品の著作権をクリアーして、一堂に集めたのはこれが最初で最後になるのでは」とのことだ。
イベント期間中は、これらの展示のほかデジタルアートや漫画、ロボットのメカニズムなどをテーマにしたシンポジウムや、メディア芸術祭の表彰作品の上映が連日行なわれる予定。25日から3月2日まで開催される。詳しいスケジュールは、
CG-ARTS協会のウェブページを参照のこと。