2月22日にローランド(株)が春の新製品を大量に発表したが、その中で特に注目できるのがバリフレーズプロセッサーの『VP-9000』だ。
バリフレーズプロセッサ『VP-9000』。サンプラーの概念を変える革命的製品。価格は24万9000円 |
VP-9000のフロントパネル。3つのパラメーターをリアルタイムで変えられるノブが用意されている |
バリフレーズとは同社の造語で、サンプリングしたオーディオデータをピッチ(音の高低)、タイム(再生時間)、フォルマント(音のキャラクター)とそれぞれに独立した3つのパラメーターでコントロールする技術のこと。従来のサンプラーでは、サンプリングしたデータを再生するとき、サンプリング時のオリジナルと異なるピッチで再生すると、再生時間も変化していた。たとえば高いピッチのときはデータを速く再生することでピッチを高くしていたため再生時間は短くなり、低いピッチのときはゆっくり再生するため、再生時間は長くなっていた。
バリフレーズプロセッシングでは、3つのパラメーターを独立してコントロールできるため、たとえばピッチが異なっても再生時間が同じになるようリアルタイムで処理することができる(データの間に疑似データを挿入したり間引いたりして長さを調節する)。また逆にピッチを同じにしたまま再生時間を変えるという芸当も可能だ。これまではサンプリングしたデータの時間合わせやピッチ合わせには非常に複雑な処理と手間と時間が必要だったのだが、VP-9000はこれを強力なプロセッサーパワーを使って簡単に処理することができる。たとえばあるボーカルフレーズを和音で弾いてコーラス風にしたり、弾きながらフォルマントを変化させてロボットボイス的な効果を得ることも可能だ。従来のサンプラーの概念を大きく変える製品と言えるだろう。価格は24万9000円だ。
Vギターシステムの新製品『VG-88』。新アルゴリズムの追加とエフェクト機能の強化、そして低価格化が特徴 |
4パートのバックグランド演奏ができるバッキングマシン『JS-5』。ギターを接続して、内蔵メモリーに約2分のレコーディングができる。価格は4万8000円 |
ギターシンセサイザーの新モデル『GR-33』。音源のリファインとトラッキング性能の改善が特徴。価格は5万9800円 |
定評ある同社のギターチューナーの新製品はバックライト付きの液晶メーターを搭載した『TU-70』 |
Vドラムシリーズには、専用のモニターユニット『PM-3』(足下にあるウーハー&アンプとラック上部に取り付けるスピーカーのセット)と新しいドラム音源拡張カード『TDW-1』が追加された。 |
デジタルピアノシリーズも、新音源と新鍵盤を採用した4モデルを一挙に発表した |
発表会では物理モデル音源を使ったVギターシステムの新製品『VG-88』もお披露目された。Vギターシステムは、ギターやアンプの物理的構造や特性をモデリングして音を構築する音源。コントローラーにギターを使用するが、いわゆるギターシンセサイザーとは一線を画す製品。新モデルでは新たに管楽器のシミュレートやナイロン弦ギターのモデリングも可能になった。価格も見直されて11万8000円と従来モデルよりも安くなっている。