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「教育は世代間の情報通信」--“情報教育の明日を語る企業の会”が設立総会

2000年02月22日 00時00分更新

文● 編集部 中野潔

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学校における情報教育に関連する企業が集う“情報教育の明日を語る企業の会”(略称“企業の会”)は22日、設立総会を開催し、発足した。会長は、日本シスコシステムズ(株)の松本孝利会長。参加は、総会時点で22社。

「情報教育の現場からみると、情報通信は成熟産業ではない」

設立総会の冒頭、評議委員長の早稲田大学理工学部、後藤滋樹教授が次のようにスピーチした。「教育というのは、実は、情報通信そのものである。通常は空間の壁を越えるが、教育は世代間の情報通信である」

さらに、小中高校や養護学校教員を中心とした“『インターネットと教育』研究協議会”、早稲田大学を中心とするサポート組織である“JERIC”と別に“企業の会”を設ける必要性について、以下のように続けた。「一丸となって目的に向かって進むとき、日本のお祭りのように全員がはっぴを着て、全員が御輿(みこし)をかつぐというやり方もある。しかしこれでは、御輿かつぎの記録をする人がいなくて、後に何も残らない」

「教育は双方向の営みだし、インターネットの本質も双方向である。情報通信産業が成熟しつつあると言っている人がいるようだが、学校教育現場では、まだまだ工夫が要ると感じている。文化継承、すなわち、世代間通信には、さらにもう一工夫、必要である」

次に、(株)デジタルガレージの中村圭一取締役の議事進行にしたがい、設立趣意、規約、組織人事、事業概要、予算の5つの議案を承認し、会の設立が成立した。

世界で1つのサイバースペースに入るには外国語とインターネット

このあと、(株)内田洋行のCAI東日本営業部長、大久保昇氏が、政府予算の動向を踏まえて、短期および中期の事業展望について説明した。

続いて、松本孝利会長が挨拶した。「21世紀の情報革命は、新しい形になると確信している。いわゆるインターネットジェネレーションが、経済、社会を引っ張っていく。この傾向は、すでに、米欧アジアで進んでおり、ようやく日本が追い掛け始めたか、という感じだ」

“情報教育の明日を語る企業の会の会長に正式に就任した日本シスコシステムズ(株)の松本孝利会長“情報教育の明日を語る企業の会の会長に正式に就任した日本シスコシステムズ(株)の松本孝利会長



「大学で講演する機会などがあると、インターネットと外国語1つを、卒業までに完全にマスターするように強調している。世界中共通で、唯一のサイバースペースが存在するようになる。地球レベルで物を考える人をどう育てるかは、大きな課題だが、この“企業の会”の存在は、意義深い」

「“企業の会”の力で、教育の仕組みを知り、市場を理解して、安い費用でいいものを提供するようにしたい。今後、未加入の主要メーカーにも参加してほしい。インターネットの双方向性と同様、この会も意見を出し合いながら運営したい」

展開期に入った情報教育

最後に、評議員でもあり、“企業の会”と連携する“『インターネットと教育』研究協議会”(“イ教協”)の中心の1人でもある大阪教育大学の越桐國雄教授が、“イ教協”、JERICとの役割なども含めたさまざまな観点で、これまでの動きを総括した。時代区分の考え方については、「'94年から'98年までが情報教育の実験期で、可能性の探求を主眼に、“接続の問題”について頭を悩ました。'99年から2003年までが展開期で、本来、コンテンツの充実に力を割きたいのだが、それ以前のガイドライン、セキュリティー、モラルといった課題を主眼に、“運用の問題”について知恵を絞ることになる。2004年以降が普及期で、情報教育が日常的な風景となる中で、“実践の問題”について工夫を凝らすことになるだろう」と述べた。

今後、“イ教協”、“企業の会”、JERICの3者は、3月11日に早稲田大学で実施される“インターネットと教育フォーラム'2000”、さらに、8月下旬に東京・山の手線地区の西部か西北部で開催する予定の“インターネットと教育フェスティバル2000”に向けて、活動を強化していく。

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