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【MACWORLD Expo/Tokyo 2000 Vol.9】【INTERVIEW】「自分のスタイルに合わせて使えるのがPalmの強み」――米Palm社の漢城氏、アップル製互換機は否定

2000年02月18日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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スリーコムジャパン(株)は、“MACWORLD Expo/Tokyo 2000”で、日本アイ・ビー・エム(株)の『WorkPad』用Macintosh接続キット『PalmConnect』日本語版を発表した。これに合わせて来日した、米Palm Computing社アジア太平洋担当プロダクトマネージャーの漢城かおる(あやきかおる)氏に同社の戦略を聞いた。米アップルコンピュータ社がPalmOS搭載のPDAを開発中との噂について、漢城氏は、「聞いたことがない」と否定。その上で「アップルがPalmに貢献できる領域があり、協力を望めば共同開発の可能性はあるが、今はなんともいえない」とした。

漢城かおる氏。神奈川県出身で、モルガンスタンレー証券日本支社、米Day-Timer Technology社などを経て、'98年6月から現職 漢城かおる氏。神奈川県出身で、モルガンスタンレー証券日本支社、米Day-Timer Technology社などを経て、'98年6月から現職



――新製品の特徴について教えてください。

「米国で昨年発売されたものの日本語版です。Windows版と比べ、PIM関連が充実しています。日本語化の要望はとても高く、英語版リリースの翌日には早くも日本語版のバッチが出回るほどでした」

スリーコムジャパンブースで展示されたPalmConnect
スリーコムジャパンブースで展示されたPalmConnect



PalmConnectの画面。『クラリスオーガナイザー』との連携、背景の変更、アップルスクリプトへの対応などが盛り込まれている。シリアル版が1980円、USB版が4480円と安価な点も特徴
PalmConnectの画面。『クラリスオーガナイザー』との連携、背景の変更、アップルスクリプトへの対応などが盛り込まれている。シリアル版が1980円、USB版が4480円と安価な点も特徴



――今回のExpoでは、アップル社がPalmOS搭載機を発表するのでは、と期待が集まりましたが。

「皆さんからそのことを聞かれるのですが、私は本当にそんな噂があること自体を知りませんでした。(アップル社CEOの)ジョブズ氏もきっぱり否定しています」

「Palm社のパートナー戦略は、Palm社ができる範囲は限られているとの認識が基本です。例えば、パートナーとして共同開発を進めているノキアは携帯電話、ソニーはオーディオビジュアル関連など、Palm社とは違う領域で強みがあります」

「私たちは、同じパイを奪い合うのではなく、パートナーと得意分野を補い合い、協力して大きくしていく方向を目指しています。アップルがその特徴を活かし、我々のパートナー戦略のシナリオに加わって協力しあえる部分があれば、アップルがPalmOS搭載機を開発する、といったことも可能性はあるのでしょうが、私は聞いていないし、なんともいえません」

――PalmOS 3.5ではカラー表示をサポートしていますが、最初のカラー液晶搭載機は24日からのCeBIT2000で展示されるのでしょうか。

「展示がされるかどうかは言えません。楽しみにしてください」

「日本でカラー機を発売するとして、それを日本IBMが販売するのかどうかは分かりません。Palm社は日本市場を大切なものと捉えており、Palm社が日本で販売を行なう可能性はいつでもあるとは言えます」

――PDAでは、Windows CE陣営のカシオ計算機が独シーメンスと提携し、通信機能を内蔵したインターネット端末としての色彩が強い製品の開発を発表しています。これに対し、Palmは今後もPCコンパニオンとしての役割を重視するのでしょうか。

「Palmはそもそもパソコンと共存共栄の製品として誕生しました。単体ではできないことをパソコンと接続することで可能にするという考えに変更はありません」

「もちろん通信機能の強化は進めています。北米では通信機能を内蔵したPalm VIIを発表していますし、ケーブルで携帯電話と接続できる製品もあります。NTTドコモとワイヤレス分野の共同開発も進めています」

「ただデータのバックアップなどはパソコンと接続しなければできませんし、ワイヤレスはインターネット系の情報を得るために必要です。ただワイヤレス機能と、パソコンと接続して実現できる機能は補い合うものだと考えています」

「Bluetoothが実用化されれば、HotSyncを含めてワイヤレスが発展するでしょう。Bluetoothはスリーコム社が音頭をとって進めていることもあり、搭載は前向きに検討しています。ただ製品がいつになるかはコメントできません」

――一部ではPalm社はOS専業ベンダーとして方向転換するのではという見方もありますが。

「Palm社の事業には、OSを含むソフトウェアとサービス、それにハードウェアという3本の柱があります。そして私たちはハードウェアを非常に大切なものだと考えています」

「ハードウェアはユーザーと直接、接することができる機会を与えてくれます。OSのみに専念してしまうと、ユーザーと距離が遠くなってしまい、ユーザーにとって何が必要なのか分からなくなってしまうでしょう。ほかのハードメーカーが信頼できないわけではないのですが、OSのみでは他人に任せてしまうことになる。ハードウェアは本当に大切な部分であり、これからもそうです」

「Palmはブームになり、サードパーティーも多く、すでに4000以上のソリューションが発表されています。ハードとソフトの両面において、拡張性の高いポテンシャルを持っています」

「これらのソリューションを、ユーザーがそれぞれのワークスタイルに合わせて、自分なりの使い方を構築できる点が大きなセールスポイントであり、利点だと考えています」

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