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日本IBMの'99年決算――e-Business事業が30パーセント超の成長、4月に実践的ショールームを開設へ

2000年02月17日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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日本アイ・ビー・エム(株)は17日、'99年の決算を発表し、都内で記者会見を開いた。西暦2000年問題や長期不況によるIT投資の先送りが響き、'99年の総売上高は1兆4770億8200万円、前年比0.2パーセントの微増にとどまった。マイナスとなったハードウェア部門の不振に対し、サービス部門は好調で、“e-Business”事業が同30パーセント超の伸びとなった。同社では「e-Businessは啓蒙から実践の段階に移った」として、関連システムのデモと販売を行なう“イノベーションセンター”を、4月に同社箱崎事業所内でスタートさせる計画を明らかにした。

 昨年12月に社長に就任した大歳卓麻氏
昨年12月に社長に就任した大歳卓麻氏



発表によると、総売上高1兆4770億8200万円のうち、8割が国内売上で1兆1758億500万円(前年比0.2パーセント増)、輸出高は3012億7600万円(同0.3パーセント増)。経常利益は1190億4300万円(同32.1パーセント増)、当期利益は1098億3900万円(同181.2パーセント増)と大幅に増加。これは同社のデータ通信網“IBMグローバル・ネットワーク”を米AT&Tに売却した利益を特別益として計上したことなどによるもので、「実質的には横ばいだった」(大歳氏)としている。

部門別の売上高は明らかにされなかったが、サービス部門全体では8年連続の2けた成長を達成したという。中でもe-Business事業が30パーセント以上の増加、アウトソーシング事業は60パーセント増、コンサルティングは30パーセント弱の成長を見せたとしている。

ソフトウェア部門は微増としているが、『MQ Series』『WebSphere』といったe-Business関連のミドルウェアが大きく伸びたという。また音声認識ソフト『ViaVoice』は、コールセンターでの活用などビジネス用途も取り込み、100万ライセンスを超える好セールスを記録したとしている。

その一方で、ハード部門は「ひとけたの減」(大歳氏)と明暗を分けた。マイナス要因は、企業向けのメインフレームやサーバーの不振。西暦2000年問題による企業のIT投資抑制の影響をかぶった形だが、「出荷したサーバーの合計MIPS値で言えば前年度をはるかにしのぐが、売上が下回るという傾向が続いている」(同)という。コンシューマー向けパソコンは、空前の購入ブームに支えられて前年比2倍の高成長となった。だがハードとソフトの売上比率は4:6となっており、年々ハードの比率は下がっているという。

今年も引き続き、成長株のサービス部門に力を注ぐ。新事業として、“イノベーションセンター for e-Business”を4月に同社箱崎事業所にオープンさせる。電子商取引(EC)への参入などを考えている顧客に対し、コンサルティングやデモ、製品販売を行なうもの。大歳氏は、「e-Businessを考えているお客にワンストップですべてを提供する。啓蒙の場ではなく、実践の場」だとし、パートナーとの協業も視野に入れている。当初は40人程度でスタートし、年末までに100人規模に増強するという。

人事面では、子会社や関連会社を含め約4000人をサービス部門に増員。さらに業種ごとの営業の壁を超えた横断的な組織を3月1日付けで発足させ、企業の合従連衡が続く動きに企画力と専門性で対応していく。

記者会見で大歳氏は、「今年もIT分野は間違いなく伸びる。おそらくGDPの2~3倍の伸び率となるだろう」と期待を込めた。特にe-Businessへの戦略的な投資が増えて2けた成長となり、単なる設備投資はマイナスになるとの見方を示した。

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