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【MACWORLD Expo/Tokyo 2000 Vol.2】『iBook Special Edition』と新型『PowerBook G3』を発表--ジョブズ氏基調講演

2000年02月16日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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“MACWORLD Expo/Tokyo2000”初日の16日、米アップルコンピュータ社CEOのスティーブ・ジョブズ氏が基調講演を行なった。この中でジョブズ氏は、『iBook Special Edition』を含む新型iBook3機種と、PowerPC G3-500MHzを搭載した『PowerBook G3』を発表。さらにPowerPC G4の500MHz版を搭載したG4の新機種も発表した。これらは18日から国内で発売される。ジョブズ氏は、「最強のプロダクトラインナップが、今回の新発表でさらに強化された」と述べ、新製品に自信を見せた。またワイヤレスLANを実現する『AirMac』の発売と、今夏リリース予定の次期OS『MacOS X』における日本語対応の強化なども同時に発表された。

iBook Special Editionを持つジョブズ氏 iBook Special Editionを持つジョブズ氏



iBookの新機種は、G4と同じ“グラファイト”カラーを採用したiBook Special Editionと、メモリーを64MB、HDDを6GBとそれぞれ倍に強化しながら価格を19万8000円に据え置いたiBookの“タンジェリン”“ブルー”の合計3機種。iBook Special Editionでは、CPUにPowerPC G3の366MHz版、64MBのメモリー、6GBのHDDを搭載するもの。価格は21万8000円。国内の発売はそれぞれ18日。

新型PowerBook G3
新型PowerBook G3



新型PowerBookは、搭載CPUがPowerPC G3の500MHz版、同400MHz版の2機種。筐体デザインに変更はないが、Ultra-ATA/66対応のHDDを搭載、グラフィックアクセラレーターにカナダATIテクノロジーズ社のATI RAGE Mobility 128を採用して高速化を図った。またFireWire(IEEE1394)ポートを2つ装備する。ジョブズ氏は、「DVカメラを接続すれば、持ち運びが可能な“小さな映画スタジオ”を実現できる」としている。価格は、500MHz版が39万8000円、400MHz版が29万8000円。出荷は18日から。

さらに、出荷が遅れていたPowerPC G4の500MHz版と、同プロセッサーを搭載したG4の発売も発表された。これによりラインナップは500MHz版、450MHz版、400MHz版の3機種となる。価格はそれぞれ42万8000円、29万8000円、19万8000円。発売は18日。

ワイヤレスネットワークを構築できるAirMacは18日の発売だが、基調講演では価格は明らかにされなかった。また日本アイ・ビー・エム(株)が今年上半期に、音声認識ソフト『ViaVoice』のMacintosh対応版を発売することもアナウンスされた。

MacOS Xでは、高価な追加フォント無しでこんな文字も出力できるという
MacOS Xでは、高価な追加フォント無しでこんな文字も出力できるという



すでに米国で1月に発表済みの次期OSであるMacOS Xについては、DTPデザイナーらの要望に応え、1万7000文字の拡張セットを盛り込んでいるという。また「新OSのCD-ROMは、世界どこでも同じ」(ジョブズ氏)として、1枚のディスクで日本語を含む各国語に対応するという。デモでは、1台のマシンで英語と日本語をユーザーごとに使い分ける様子が披露された。

基調講演は約1時間半にわたって行なわれ、新ハードウェアの発表が相次いだため大いに盛り上がった。ジョブズ氏の発言内容は以下の通り(要旨)。



「アップルはすばらしい四半期を終えた。この四半期だけで、世界全体で135万台のMacを出荷した。これは6秒に1台、世界のどこかで売れていることになり、かつてない記録的なことだ。市場シェアも上がり、日本では7.8パーセントと4位に浮上した。みなさんに感謝したい」
「今や我々は、コンシューマー、プロフェッショナル向けともに最強のプロダクトラインナップとなっている。まずコンシューマー向けでは、iMacが大ヒットした。また前四半期で発表した3機種のうち、DV Specialが特に人気が高かった。おかげで生産が追いつかなかったため増産を行なった。iMacでは、初めてコンピューターを買ったユーザーが日本では50パーセント、またほかのマシンを検討すらしなかったユーザーも50パーセントだった。iMacは本当に好調だ」



「iBookは昨年発売し、日米でポータブルコンピューターの出荷台数1位となった。ほとんどのメーカーが、ビジネスマシンをコンシューマーに販売しているのに対し、iBookはコンシューマー向けにデザインされた初めてのポータブルコンピューター。日本では、56パーセントのユーザーが、初めて購入したポータブルコンピューターだったと答えている。米国ではAirMacを14パーセントが使用している」

「新しいiBookを発表しよう。これはメモリーとディスク容量が2倍になりながら、価格は従来と同じ」

「ところで、iMac Special Editionはとてもすばらしいマシンだ。そこで、iBookのSpecial Editionはどうだろう。これは本当に美しいものだ。ブースでぜひ見てほしい」

「PowerBookの話をしよう。PowerBookは最高のモバイルツールであり、最高のポータブルコンピューターだ--今まではね」

「新しいPowerBookを紹介しよう。我々は多くのユーザーから意見を聞き、改善に取り組んできた。美しいデザインはそのままにした。だが500MHzのG3を搭載した。これはモバイルPentium IIIよりも高速だ。ドライブはATA/66、グラフィックアクセラレーターも速い。FireWireポートも2ポート搭載した。これにより、もっともニーズが大きかった、“持ち運べる映画スタジオ”が実現できる。AirMacにも対応する上、バッテリーは5時間と長時間もつ」

「G4は最速のマシンだ。ここではG4-500MHzを発表する。これでG4のラインナップは3機種になる。また22インチの『シネマディスプレー』も生産する。G4とデジタル接続できるもので、前回生産した分はすぐに売れてしまった」

「AirMacだが、今後、ワイヤレスネットは大変重要になる。AirMacは標準でIEEE802.11に対応しているため、どの製品とも互換性がある」

ジョブズ氏は、iBookとAirMacを利用し、ステージ上でワイヤレスでウェブブラウジングをしてみせた
ジョブズ氏は、iBookとAirMacを利用し、ステージ上でワイヤレスでウェブブラウジングをしてみせた



「デスクトップムービーも重要だ。FireWireがあればDVカメラを接続できる。DTPよりも大きな現象で、重要なキラーアプリケーションになるだろう。これからの“Think Different”キャンペーンでは映画監督が登場する。ヒッチコックやチャップリン、フェリーニ、コッポラ、そしてクロサワのポスターが東京中に貼られ、CMも流す。デスクトップムービーを経験したことがなければ、ぜひ試してほしい」

iMac DV Editionを使ってデスクトップムービーを作成するデモ
iMac DV Editionを使ってデスクトップムービーを作成するデモ



「そしてとてもすばらしいMacOS Xを紹介しよう。最先端のフィーチャーを搭載し、最高のグラフィックを提供する。インターネットを初めから意識して開発し、XMLを多用している。またグローバルなOSであり、1枚のCD-ROMですべての言語に対応する」

「最終ベータ版を春にリリースし、発売は夏を予定する。来年初頭からすべてのマシンにプレインストールしていく。だが1年間はMacOS 9からの移行期として、ゆるやかな移行を目指していく」

「OSのコア“Darwin”は超近代的なカーネルだ。グラフィックスでは、3DはOpenGLに対応し、2DではPDFを改良した“Quartz”を、コアのイメージングモデルとして採用している。ストりーみんぐ再生も可能なQuickTimeもOSに組み込まれている。また“Classic”“Cocoa”“Carbon”の3APIを搭載する。Classicにより過去のソフトも動作し、OSの能力を十分に活用するにはCarbonを利用してもらう。Cocoaはオブジェクト指向の最先端APIだ」

新ユーザーインターフェース“AQUA”。ウインドウの左上に赤、黄、緑の透明なボタンが表示され、それぞれウインドウのクローズ、最小化、最大化に対応する。ウインドウのスクロールバーも半透明。プルダウンメニューも半透明で、その下のウインドウが透けて見える
新ユーザーインターフェース“AQUA”。ウインドウの左上に赤、黄、緑の透明なボタンが表示され、それぞれウインドウのクローズ、最小化、最大化に対応する。ウインドウのスクロールバーも半透明。プルダウンメニューも半透明で、その下のウインドウが透けて見える



ジョブズ氏が「もっともクールなフィーチャー」という“DOC”。画面下に、各ソフトや画像ウインドウがそのまま小さくなった形で並び、使用する時はクリックすれば元のサイズに戻る。「ユーザーがすぐに必要なものを見つけられる仕組みを作りたかった」
ジョブズ氏が「もっともクールなフィーチャー」という“DOC”。画面下に、各ソフトや画像ウインドウがそのまま小さくなった形で並び、使用する時はクリックすれば元のサイズに戻る。「ユーザーがすぐに必要なものを見つけられる仕組みを作りたかった」



このようにアニメーションしながら画面下に格納される
このようにアニメーションしながら画面下に格納される



「堅牢性、ユーザーインターフェース、日本語フォントとすべて最高のOSであり、どのようなOSよりも優れている。今後も我々は、ユーザーの声に耳を傾け、最高のプロダクトを作る努力をしていく」

講演終了後のジョブズ氏
講演終了後のジョブズ氏

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