バーテックスリンク、1台のPCを2台の仮想マシンとして動作させるPCIバス用カードなどセキュリティー関連の5製品を発表

2000年02月15日 00時00分更新

文● 編集部　小林伸也

(株)バーテックスリンクは14日、ネットワークセキュリティー関連の5製品を発表し、都内で発表会を開いた。中でもPCIバス用のアドオンカード『2in1 PC』は、パソコンに装着することでHDDを2つのパーティションに分割し、2台の仮想マシンとして動作させることで、別々のネットワークに接続することを可能にするもの。これにより、インターネットで外部に接続しているネットワークと、完全に閉じた機密ネットワークとを1台のパソコンで使い分けることができ、内部ネットワーク侵入による機密漏えいもなくなるという。


『2in1PC』

2in1 PCは、パソコンに取り付けることで機密漏えいを防ぐセキュリティー製品。イスラエルのVortair Advanced Data Security社の製品で、バーテックスリンクが国内総代理店として販売する。

同製品はPCIバススロットに装着して使用する。IDEコネクターを装備しており、使用時はHDDを接続し直し、ドライブを“セキュア”“パブリック”の2つのパーティションに分割する。OSやソフトウェアをインストールすることで、それぞれのパーティションをメインドライブとして持つ2台の仮想マシンとして扱うことができるという。同製品は10BASE-T/100BASE-TXのEthernetポートを2つ備えているため、インターネットと接続されて外部と通じているネットワークと、外部接続を遮断し、機密情報を扱う閉じたネットワークを、1台のマシンで使い分けることが可能になるとしている。

仮想マシンの切り替えは、画面上の切り替えアイコンをクリックすることで行なう。切り替えの際にはその都度OSを再起動する。これはメモリー常駐型のウイルス感染被害を最小限にとどめるためだという。

同社によると、セキュリティーに厳しい企業では、ネットワークを使い分けるために1人で2台のパソコンを使用している例は多いという。2in1 PCを使用すれば、1台のマシンを2台の仮想マシンに分割して使用できるため、重要なデータをセキュア領域に格納しておけば、インターネットを利用しても外部からの侵入による機密漏えいの恐れはないという。2台の仮想マシンを1台で実現するため、コスト削減にもつながるとしている。すでにイスラエル社会保健省や軍事関係で導入実績があるとし、同社では官公庁や機密レベルの高い情報を扱う企業などをターゲットにしている。

OSはWindows 3.1/95/98/NT、DOS、Linuxをサポート。発売は3月1日で、価格は6万4000円。また同製品を利用したパソコン向けの8台までのマシンを2つのネットワークに接続できるHub『2in1 NET』も同時に発売する。価格は11万2000円。さらに、日本アイ・ビー・エム(株)と日本電気(株)、(株)富士通などの企業向けデスクトップパソコンに同製品を組み込んで“セキュアPC”として販売を行なう方針。


8台までのマシンを2つのネットワークに接続できるHub『2in1 NET』

このほか、同社が販売しているウェブフィルタリングソフト『SmartFilter』に中国語(簡体・繁体)サイトリスト4万件を追加した『SmartFilter for Asia』を発表した。登録サイトは日本語、英語、中国語の3ヵ国語、約50万件となっており、中国や台湾、シンガポールなどアジアを中心に販売する。価格は、9400ドル(約102万円)。

さらに、同社のウイルス対策ソフト『アンチドート』のクライアント管理システム『アンチドートマネージャ』と、CD-ROMだけで起動してウイルスチェックを行なう『アンチドートサービスライセンス』を発表した。

アンチドートマネージャは、同システムをインストールしたマシンをネットワークに接続することで、ネットワーク上のすべてのクライアントパソコンのウイルスデータベースを自動的に更新するシステム。ユーザーによる更新のし忘れなどを防ぎ、常に最新のウイルス対策が可能になるという。価格はソフト単体が8万3000円(10クライアント)から、Celeron-466MHz搭載マシンにソフトをプレインストールしたセットモデルが18万1000円からとなっている。

アンチドートサービスライセンスは、CD-ROMから起動できるため、パソコンにインストールする必要のないウイルス対策ソフト。パソコンメーカーやシステムインテグレーター、ユーザーサポート部門などでの利用を想定している。価格は、基本CD-ROM5枚組で29万8000円。