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メールマガジンを立ち上げたい人集まれ! 電子メールサービスを成功させるための秘訣とは?

2000年02月14日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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10日、東京・千代田区のOhamae@WORKビルにおいて、(株)日本コンサルティング・インターナショナルの主催により、“電子メールマガジン実践者レベルセミナー“が開催された。講師には、BARGAIN AMERICA President&CEOのTom Sato氏と、トライコーン(株)代表取締役社長の波木井卓氏が招かれ、電子メールサービスを成功させるための秘訣や配信システムなどの紹介があった。

最近のインターネットの普及と相まって、電子メールマガジンによる配信サービスがビジネスツールとして重要であると認知されつつある。電子メールマガジンは、コストも掛からず、個人でも配信できる効率的なコミュニケーション手段として注目を浴びている。このような状況を踏まえてか、電子メールマガジンをこれから立ち上げようとしているサラリーマンや、実際にすでに運用している管理者など150名近い聴衆が会場に集まった。

売れ筋商品は1時間以内で最初のオーダーが来る

最初に登壇したBARGAIN AMERICAのTom Sato氏は、“出せば直ぐに注文が来る 電子メールマガジンの実践方法”という題目で、電子メールマガジンの具体的な運用方法について解説した。Tom Sato氏は、サイバーマーケティングビジネスに5年ほど携わってきたが、これまですごく苦労したという。そして1番効率的なマーケット戦略は、プッシュ型の電子メールマガジンであるという結論に達した。

BARGAIN AMERICAのTom Sato氏。1番効率的なマーケット戦略は、プッシュ型の電子メールマガジンだというBARGAIN AMERICAのTom Sato氏。1番効率的なマーケット戦略は、プッシュ型の電子メールマガジンだという



電子メールマガジンのメリットは、印刷代や切手代が掛からないこと、テキストのまま直ぐに発送でき、相手にもすぐに届く点にある。メールマガジンはテキストベースのため、表現力はあまりないが、自分で媒体をコントロールし、商品やサービスを売ることができる。さらに媒体として成功すれば、広告も売れるようになり、ビジネスチャンスも広がる。それにも増して最も良い点は、結果がすぐに出ることだという。

Tom Sato氏が運営する“BARGAIN AMERICA”では、売れ筋の商品が1日か2日ですぐに分かってしまうという。売れるものは、1時間以内で最初のオーダーが来る。そして、こういった商品は、大抵の場合がロングヒットする商品だという。顧客の反応をダイレクトに調べて分析し、売れない商品を選別できるわけである。

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“BARGAIN AMERICA”のウェブサイト。同社は、10本のメールマガジンをサブジェクト別にコンスタントに発信している



メールの読者を飽きさせないような工夫

こういった計りしれないメリットがある電子メールマガジンだが、それを成功させるためには、いくつかのポイントがある。まず第1に、固定客をどのようにして持つか、そしてそれをどのように維持するかという問題である。メールマガジンが商品やサービスの紹介である場合、案内が多いほど反応も多くなるが、そのぶん購読中止率も多くなる。そのため、まずメールを読んでもらって飽きさせない工夫が必要だと説く。

たとえば、定期的なイベントとして、読み物としてしっかりしたコラムを掲載することや、懸賞、プレゼントコーナーを作るといった工夫をする。サービスの種類を多くし、新商品をコンスタントに出す。また、発行回数も定期的に、最低1週間に1回は発行する。発行回数については、月1回だと忘れられてしまうが、毎日だとかえって迷惑がられるので、ほどほどが良いという。

また基本的なこととして、メールマガジンとしての体裁も重要になる。読みやすいレイアウトはもちろんだが、ヘッダーはタイトルを短くして面白い順に目次を並べる、トップニュースを作る、ウェブへのリンクを張る。最後に発行者を明記する奥付けは出版物として認められる上では必須になる。さらにメールアドレス、購読中止の方法などもリンクを張っておくと親切になる。

読者を集める方法とプライバシーの問題

では、実際に読者を集めるにはどうしたらよいのだろうか? メールマガジンがビジネスとして成功するためには、少なくとも1万人以上の読者がいないと難しいという。メールマガジンを発行すると決まった段階で、すぐに読者を募り始める。同時に並行して創刊準備号を進める。オープン懸賞や購読者拡大キャンペーンを行なう、そしてコンテンツのバーターなど、あの手この手で企画を練る必要がある。

すでにある程度、顧客のメールアドレスリストを持っている場合は、創刊準備号を出して、メーリングを開始することを明言する。そして、その際にはどこでメールアドレスを取得したのかをしっかり明記することが重要であるという。たとえば、過去に商品を買った人やサービスを受けた人の中から、といった具合である。またクレームを受け付ける電話番号や、購読削除の方法も明記しておく。
最後にTom Sato氏は、メールマガジンの読者募集にも関わるプライバシーに関する問題について触れた。(社)日本通信販売協会では、通信販売における個人情報保護ガイドラインを'98年3月に制定し、インターネットでのプライバシー保護に努めている。個人情報とは何か、集めてはならない個人情報、情報を得るときの注意、集めた情報の利用範囲などを明記してある。こういった個人情報保護の問題は、コモンセンスの問題として知っておくべきだとして、講演を終えた。

自前で電子メール配信システムを作らずに代行してもらう

次に登壇したトライコーン(株)の波木井卓氏は、同社の電子メール配信代行システム『アウトバーン』について紹介した。『アウトバーン』は3年前からサービスを開始し、現在150社以上の顧客を持つ、企業向けデータベース連動型の電子メール配信システムである。システムを自社で開発しなくても、月々の使用料(スタンダードの場合、1万人で月額5万円)を支払えば、定期的に顧客へのメール配信が行なえる。

トライコーンの波木井氏。同社の電子メール配信代行システム『アウトバーン』を紹介トライコーンの波木井氏。同社の電子メール配信代行システム『アウトバーン』を紹介



アウトバーンのシステムでは、まずクライアント側の会員登録用ウェブを作り、会員の登録、変更、削除をトライコーンのデータベースに蓄積し、メールを自動配信する。ユーザー登録があった場合には、そのユーザーに“ウェルカムメール”を、削除依頼があった場合には“フェアウェルメール”を送る。また、データベースはクライアントが自由に集計し、検索できるようになっている。

クリックすると拡大されます
アウトバーンのシステムの概略図



会員登録の入力フォームはメールアドレスはもちろん、性別、電話番号などの標準属性データのほかに、フリー属性データもチェックボックス式で選択できる。配信管理は、登録したデータベースから地区、性別、年代などによって顧客対象を選択したのち自動的に配信される仕組みである。

クリックすると拡大されますアウトバーンの会員情報テーブルの項目設定画面



“エラーメールの自動判定機能”で的確な顧客管理

波木井氏は、このシステムの大きな特徴の1つとして、“エラーメールの自動判定機能”を挙げた。これは、エラー回数が指定回数以上になった場合に自動的に会員を削除し、その管理レポートを出力するというもの。今後、3月上旬をめどに、ダイナミックフィルタリング機能などを追加したバージョンアップをする予定だという。顧客の興味の対象はいつも固定したものではないため、メールマガジンの特定記事や広告に対して興味を持った会員に追加情報をメールで送信できるようにする。これ以外にも、訪問履歴を使用して、会員属性の区別をできるようにするという。

これからメールマガジンを立ち上げる場合には、データベースによって顧客を分析しながら的確にメール配信をする手段として、こうした代行システムを利用するもの選択肢の1つになるだろう。

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