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IBM、ソフトウェア事業の戦略セミナーを開催--4つのフォーカスでe-businessを展開

2000年02月10日 00時00分更新

文● 若菜麻里

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日本アイ・ビー・エム(株)は8日、プレス向けにセミナーを開催し、2000年におけるソフトウェア事業戦略について発表。冒頭、同社理事でソフトウェア事業部長の長野一隆氏が、2000年のソウトウェア事業部の体制について説明した。

長野氏は'99年のビジネスを振り返り、「SolarisやWindows NTといった他社プラットフォームにおけるビジネス増加や、アプリケーションサーバー『WebSphere』の2000ライセンスの突破、音声対応ソフト『ViaVoice』の年間売り上げの100万本突破など、ソフトウェア関連事業は好調だった」と語った。

日本アイ・ビー・エムの長野一隆ソフトウェア事業部長
日本アイ・ビー・エムの長野一隆ソフトウェア事業部長



e-businessの確立に向けた4つのフォーカス

日本アイ・ビー・エム全体では、ソフトウェア/サーバー/サービスと、大きく分けて3つの事業部がある。その中でソフトウェア事業部における2000年の体制は、e次の4つのフォーカスに基づいて編成された。

(1)ビジネスの変革と統合
ウェブセルフサービスやビジネス統合、eコマースのソリューションを推進する。中心となる製品は、WebSphere、アプリケーション開発環境『VisualAge for Java』、トランザクション向け製品『MQSeries』、EC向け製品『Net.Commerce』、ロータス(株)のグループウェア『ロータス ドミノ』。

(2)情報の有効活用
データベース製品『DB2』を核としたビジネスインテリジェンスやOLTP、コンテンツマネジメントの提供。関連する製品は、分析ツールの『OLAP Server』、『IntelligentMiner』および、管理ツール『Content Manager』。

(3)組織の効率化
ディスタンスラーニングやナレッジマネジメント、情報共有ウェブアプリケーション分野のソリューションを提供。この分野で中心になるのは、同社の関連会社であるロータスの製品で、ロータス ドミノ、リアルタイムコミュニケーションツール『Sametime』、遠隔学習向けソフト『ラーニングスペース』、文書管理ソフト『ドミノ.ドック』。

(4)ITインフラの管理
システム管理やe-businessへの連結、e-businessの信頼性を提供する。中心になる製品は、IBMの関連会社の日本チボリシステムズ(株)のシステム管理製品『Tivoli』および『SecureWay』。

各フォーカスにおける戦略の概要

“ビジネスの変革と統合”について、同社ソフトウェア事業部e-ビジネスソフトウェア営業推進部長の大古俊輔氏は、「顧客満足度を第一の仕事と考えている」と、ユーザー志向な戦略であることを口にした。

具体的には、「WebSphereにより基幹業務をウェブに移行し、MQSeriesにより、さまざまなアプリケーションをe-business環境へ統合していく」とし、e-businessへ注力する姿勢を見せた。

また、「Net.CommerceをWebSphereに統合したWebSphere Commerce Suiteを発表し、ウェブを使った電子商取引を情報システムに統合していく。IBMは“Integrated Business Model”の略語であると言えるよう、e-businessを推進する」と語った。

“情報の有効活用”について、同社ソフトウェア事業部データマネジメント営業推進部長の大沼明穂氏は、「DB2に関するSAPとのアライアンスをひとつのステップとして、DB2の優位性をアピールしていく」と、SAPとの密な関係をアピール。

その上で、「OLAPツールや、データおよびコンテンツ管理ツールを充実させることで、マルチメディアを含むあらゆるデータに対し、TB以上の大容量レベルまでサポートしていく」という。

また、「米国では発表済みのビジネス向けポータル機能『IBM Enterprise Information Portal』を日本でも近日中に発表する」との予定を明らかにした。

“組織の効率化”について、ロータスのマーケティング本部長の中田和夫氏は、「コラボレーションインフラの強化を図り、Outlookに対応したiノーツや、携帯端末に対応したモバイル・ノーツを新たなノーツクライアントとして提供する」と述べ、ノーツによる効率化を提言。

さらに、「ナレッジマネジメント・スイート製品『Raven』(コード名)を出荷し、ナレッジマネジメントを推進する。ドミノサーバーのウェブ機能も強化していく」とし、企業においてナレッジマネジメントが求められている現状に対する解答を口にした。

“ITインフラの管理”について、日本チボリシステムズの代表取締役社長である中畑恒夫氏は、「チボリ製品を核に、運用管理ソリューションプロバイダーとして、インターネットビジネスに対する強化を図る」と語り、同社と日本アイ・ビー・エムの強い関係をアピール。

具体的な内容としては、「ネットワーク管理や、セキュリティー管理、ASP/ISP、携帯端末向けのソリューションを提供していく」と、全方位に向けた戦略を口にした。また、ストレージ関連製品については、「Storage Area Network(SAN)に対応したソリューションを提供し、また、サービスレベル管理ソリューションは、引き続き強化していく」と説明した。

同社における2000年のソフトウェア事業部は、長野氏を頂点として、各部門をライン化する体制に再編成された。長野氏は、「これまでは、ひとつの製品に対していくつかの窓口があった。営業は営業部内で、マーケティングはマーケティング部内でそれぞれ各ソフトウェア製品を扱っており、中には、責任の所在が営業部なのかマーケティング部なのか、はっきりしない部分もあった」と述べ、従来の問題点を指摘。

だが、「今回の組織改編で明確にすることができた」としており、e-businessの推進に向けて組織的に強力な基盤が整ったことをアピールした。

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